2018年3月3日 建設部門、河川砂防科目の方のスカイプによる指導
この日のコーチングによる指導時間は16時00分から、1時間行なわれ,その受講者様は建設部門、河川砂防科目を目指す方で、居住地の愛知県からスカイプを用いて相談されました。
まず、この1週間前に提出されていた業績論文では、問題点と解決策の分析がうまくいっていませんでした。それは次のような内容となっていました。検討過程で用いる課題様式「技術的体験チェックシート」の項目4-1と4-2を、順次1から5のチェックシートの修正段階ごとに示します。
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4-1 技術的問題点
① 既往の〇〇解析ではピーク水位、流量については計算値が実績と整合しているのに対し、波形については10㌫(〇センチ)も誤差が生る。これはモデル上幹線水路のみをモデル化しているためである。〇〇時の水位上昇が1時間に〇センチ程度であり、内水ポンプへの停止依頼からから停止までに1時間を要することから〇センチの誤差は大きすぎる。
② 一般的〇〇解析モデルの堀込河道への排水方法は堤防越流モデルが多く堤防が不連続となっている理由で10㌫もの誤差が生じてしまう。
③ 一般的な〇〇シミュレーションでは出発水位を朔望平均満潮位として〇〇事象だけを対象にしていた。しかし最近、高潮時の長期水位上昇が発生しており、さらに水位が上昇する危険性があった。
4-2 解決策
① 河道追跡を安定化するため、〇〇解析モデルの降雨初期の集水性をモデル化して、誤差を2.5㌫(5センチ)以下に改善した。ポンプ停止水位を5センチラウンドで設定していることより誤差を5センチ以下としたい。
② 堀込河道区間の河道への排水方法を越流モデルと樋管モデルを組み合わせることで誤差を2.5㌫以下に改善した。
③ 従来の〇〇モデル以外に高潮モデルを加えることで安全側の評価とした。
この状態では問題の趣旨やねらい、問題点を取り上げ挙げる理由がよくわかりませんでした。文章が冗長なせいもあって読み取りにくいという問題もありました。
そこでまずは簡潔に内容表すことをご指示申し上げました。その結果、次のように修正されました。
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4-1 技術的問題点
① 既往の〇〇解析では、計算値と実績が整合していない。堤防決壊を避けるために必要な準備時間での〇〇上昇に相当する〇センチの誤差は大きすぎる。
② 一般的〇〇解析モデルの〇〇河道への排水方法は堤防越流モデルが多く堤防が不連続となっている理由で〇センチもの誤差が生じてしまう。
③ 一般的な〇〇シミュレーションでは、〇〇事象だけを対象にしていた。しかし最近、高潮時の長期水位上昇が発生しており、さらに上昇すると堤防が決壊し、浸水被害〇〇戸被害総額〇〇億円となる。
4-2 解決策
① 河道追跡を安定化するため、〇〇解析モデルの降雨初期の集水性をモデル化して、誤差を5センチ以下に改善した。
② 堀込河道区間の河道への排水方法を越流モデルと樋管モデルを組み合わせることで誤差を5センチ以下に改善した。
③ 従来の〇〇モデル以外に高潮モデルを加えることで安全側の評価とした。
この上記の答案では一応、説明しようとする努力は感じられましたが、最終的な結論に結びつく分析や対策とはなっていなかったために、やはり読み手側が推論しないと意味がわからないという問題がありました。
そこで、答案に加筆して正解を示し、添削する方向性を詳しくお伝えしました。
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4. 技術的問題点と解決方法
4-1 技術的問題点
① 既往の〇〇解析では、計算値と実績が整合していない。ポンプ停止が含まれてないため〇〇〇〇〇〇〇〇〇〇〇〇〇〇となり堤防の決壊危険性がある。
② 一般的〇〇解析モデルではたとえ〇〇を改善しても〇〇のため〇〇〇〇〇〇〇〇〇〇〇〇〇〇となり堤防の決壊危険性がある。
③ 一般的な〇〇シミュレーションでは、〇〇事象だけを対象にしていた。しかし最近、高潮時の長期水位上昇が発生しており、さらに上昇すると堤防が決壊し、浸水被害〇〇戸被害総額〇〇億円となる。
4-2 解決策
① 〇〇のため、〇〇解析モデルの降雨初期の集水性をモデル化して、誤差を5センチ以下に改善した。 (←これはどういう意味か、何故これを書いたか理由が不明)
② 堀込河道区間の河道への排水方法を越流モデルと樋管モデルを組み合わせることで誤差を5センチ以下に改善した。 (← どういう意味か不明)
③ 従来の〇〇モデル以外に高潮モデルを加えることで安全側の評価とした。
その後、いただいた答案においても、問題の焦点やその背景、そして対策のねらいなのがよくわからない状態が続いていました。こうした業績の骨子に関する部分ついての周辺事項がわからないと、業績に対する正しい評価が得られません。そこでこの日、最終的に、受講者様からいただいた答案に対して直接解決修正して添削を行うことをいたしました。その結果、的確に意味が通じる業績論文の骨子が出来上がりました。
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4-1 技術的問題点
① 既往モデルでは降雨初期の水路を通じて河川に早く流入する集水性を考慮していないため計算値と実績に〇センチ(〇〇上昇時間で1時間)の差が出ている。この精度が悪いモデルからポンプ停止水位を設定することは、ポンプ停止が遅れ堤防の決壊危険性がある。
② 一般的な〇〇シミュレーションでは、〇〇事象だけを対象にしていた。しかし最近、高潮時の長期水位上昇が発生しており、さらに上昇すると堤防が決壊し、浸水被害〇〇戸被害総額〇〇億円となる。
4-2 解決策
③ 解析精度向上のため、〇〇解析モデルの降雨初期の小水路から幹線水路が満杯になるまでは到達時間が早い通常の流出現象として取り扱う集水性をモデル化して、誤差を5センチ以下に改善した。
⑤ 新たに作成した詳細な〇〇とポンプ稼働を考慮した高潮モデルに、実績潮位と実績降雨波形を確立降雨1/100に引き伸ばした外力で解析することで安全側の評価とした。
この結果をもって、受講者のS様は、内容的に完成したと判断したので、提出形の業務内容の詳細にこれらの結果をまとめることにしました。チェックシートから業務内容の詳細はテンプレートがあって、テキストを流し込むだけですぐに出来上がりました。出来上がった業務内容の詳細の技術的問題点と解決策の提案をご覧ください。簡潔に技術内容がまとまっていて、一読して技術士にふさわしいと読み取れる内容となっています。
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1. 立場、役割 省略
2. 業務概要 省略
3. 技術的問題点 既往モデルでは降雨初期の水路からの流入がなく、水位の計算値と実績とは堤防破堤の危険となる〇センチもの差が生じた。また、最近、高潮時の長期水位上昇が発生し、〇〇と高潮の複合型災害も予想された。
4. 解決策の提案 ①〇〇モデルの精密化:〇〇解析モデルの降雨初期については、等流計算により流入量を求め距離による時間遅れを考慮して河川に流入させるようモデルを改良した。この結果、水位の計算値と実績との差を5センチ以下に改善した。
②〇〇と高潮の複合型災害:詳細な〇〇と〇〇ポンプ稼働をモデル化した。外力には実績潮位と確立降雨1/100を使用して潮位と〇〇のピークに降雨波形を合わせて解析した。この結果、高潮時には新たにポンプ停止水位の基準点と下流部の排水調整エリアを設けてポンプ運転調整することでポンプ停止時間を短縮し、〇〇安全度を向上させた。
5. 成果 省略
以上、建設部門河川砂防科目のS様の業績論文作成についてのご説明をしました。
本講座の指導では、各種チェックシートと音声ガイドをコーチングによってどんな難解な業績であろうとも、その業績が抱えている最大の技術的課題を的確に捉えて、対策を明確に提案するという書き方を指導しています。このため、業績に不安を抱えている方、またこれまでの口頭試験でプレゼンが不調に終わった方でも十分口頭試験を突破できるように指導しております。
こうした申込書段階でのコーチング指導については高い満足を頂いており、その様子がアンケート調査結果より読み取れます。もしよろしければ、各受講者様が異口同音に挙げている講座の満足度をご覧ください。