メールマガジン技術士合格への道 2011年 第3回
 今年こそ合格する 技術士二次試験合格講座
  ― 合格に必要な要件  その2 「問題分析、課題立案、対応策の提案」 


 技術士二次試験を楽勝で合格するにはどうすればよいか。技術士合格への道研究所では過去11年間、数々の指導法の研究をしてきました。その結果、昨年に引き続いて今年の合格発表でも驚異的な成果を生みました。なんと、

合格率 65%、 満足度80%

という驚異的成果を生み出しています。

 技術士合格への道研究所では、「わかる指導、力の出る指導」を目指して「コンピテンシー理論+コーチング指導」を実践してきました。この一環として、日本橋セミナールーム開設や音声ファイルコーチングなどを行ってきました。

 今後とも技術者としての再考の資格、技術士の能力開発の専門機関として指導法の開発に努めてまいります。ぜひご期待ください。


1.はじめに

 技術士合格への道研究所では「わかる指導、力の出る指導」を目指して

コンピテンシー理論+コーチング指導

を行っています。

 「コンピテンシー理論」とは高い能力を発揮している人の行動特性であり、そのような能力開発理論を応用して効果的に技術者指導を行うものです。
http://www.gijutsushi1.com/category/1261095.html#conptency

 「コーチング指導」とは、論文添削だけでなく、答案の考察方法や解答姿勢、ご自分にピッタリの試験戦略を毎回口頭で解説して、かつご自身でも正しく考えられる思考力を養うものです。
http://www.gijutsushi1.com/category/1261095.html# couching

 技術士試験の評価尺度が何かは明かされていません。一説には4つの尺度なるものが言われていますが、つまるところ有能なコンサルタントの条件に他なりません。

 本マガジンでは、過去11年間の指導結果より合格に役立った本質的な考え方、「合格に必要な要件」を4回シリーズで紹介します。今回はその2回目です。


2. 合格に必要な要件とは
 
 本研究所の講座では筆記試験後に再現答案で独自の合否判定を行っています。そして、合格発表後に見直して合否判定の尺度を修正してきました。その結果、大きく四つの要件が浮かび上がってきました。それは、

(1)出題者の意図を正しく読み取る
(2)問題分析、課題立案、対応策の提案の展開
(3)技術を用いて問題解決していること
(4)簡潔に単刀直入に述べる
(5)「知るところを述べよ」とは「知識」ではなくノウハウ

 といった5項目です。今回は、「(2)問題分析、課題立案、対応策の提案の展開」について詳しくご説明します。

 なお、これらの成果は無料セミナーで公開しております。関心ある方はぜひご参加ください。直近では、4/2、4/9、4/16に予定しております。

3. 合格に必要な要件その2「問題分析、課題立案、対応策の提案」

 技術士試験問題の例年の傾向として、次の3段階での問題解決過程が求められています。

・現状を分析し、問題点を整理する。
・課題を立案して方針を提案する。
・対応策を示して解決のための実施方法を明示する。

 こうした3段階での問題解決過程は、正しい問題解決には不可欠なものであり、正しい成果を導くための必須条件と言えます。その意味で問題解決に当たるコンサルタントの試験では頻出傾向となってるわけです。

 そして、3つの段階ごとすなわち、問題点、課題、対応策の項ではそれぞれ次のような厳密な試験のねらいがあるようです。
「問題点」 現状の悪さを明らかとして要因に迫る
「課題」  大まかな方向性を示すこと
「対応策」 実現可能性、具体的な方法論

 そしてそれら3つが、「問題点が~だから、課題が~である。課題が~だから対応策が~である」と因果関係がつながっていないといけません。問題解決全体として論旨展開の論理性が求められているということです。

 では、問題点、課題、対応策をどう展開すべきか、それぞれ考えてみましょう

4. 技術士試験問題から読みとる「問題点、課題、対応策」のあるべき姿

4.1 「問題点」のあるべき姿

 問題点とは基本的に「対処すべき悪い状況」です。コンクリートで言うとクラックとかコールドジョイントであり、状況として「好ましくないこと」としてすぐに把握できるものと考えてください。

 コンサルタントの務めは問題解決ですから、まずはクライアントが問題を把握したところから始まります。その意味で「問題点」はスタートなのです。ただし、専門家としてはその状況を「コンクリートのクラックやコールドジョイント」と正しい専門用語で定義する必要があります。

 「問題点」で大事なことはもう一つあり、それは根本原因や要因を分析することです。問題解決を正しく進めるには、だだ見た目の現象としてとらえるだけでなく、根本となる要因を突き止めねばなりません。

 ですから「問題点を述べよ」は、「問題点を分析して要因を述べよ」と読みかえてもかまいません。出題文によってはそのように書かれている場合もあります。

 いずれにせよ、「問題点」は次の「課題」に進めるためのデータであって、分析しないと的確な課題がわかりません。正しい問題解決の第一歩として、まずはデータから正しい要因を見出すことが大事です。

 例えば平成22年の建設部門コンクリート科目の問題は、

Dグループ
I-15  コンクリート構造物の設計で考慮すべき施工への留意点について,以下の問いに答えよ。 (各問1.5枚程度 )
(1)設計段階で施工に対する検討不足が原因で,施工困難や欠陥が生じた不具合の例を3つ挙げ,どのような検討が不足していたか具体的に述べよ。
(2)このような不具合の発生を防ぐための対策について,幅広い観点か らあなたの考えを述べよ。

 このような問題となっています。
 問題I-15ではコンクリート構造物の施工時に生じた、問題点として「施工困難や欠陥が生じた不具合の例」を求めています。悪い状況の典型みたいなものですから簡単です。

 クラック、コールドジョイント、レイタンス・・

と挙げれば良いのです。この問題(1)での難しさは「設計段階で施工に対する検討不足が原因で」に相当する根拠にあるようです。

4.2 「課題」のあるべき姿

 次に「課題」では問題点から抽出された要因、実はそれが専門家としての問題点なのですが、それに対して解決に至る方針を示します。

 ここでいう「方針」とは、具体的に実施内容は決定しないが、概念的にどのような方法論なのか検討すべき内容の絞り込みができるようにするという意味です。

 先のコンクリートのクラックの問題では、加水による原因が想定されるとしたら、「水セメント比の管理」や「スランプの適正化」が課題となります。具体的に「水セメント比」をどう管理するかは別として、とにかくクラックに対して支配的因子である「水セメント比」を管理することは間違いなく効果が見込めます。

 このように、「課題」とは解決に至らなくとも、必ず効果が見込める対策の方向性(方針)と言えるのです。コンサルタントとしては、まずは問題を整理して、正し方向性を示し、問題解決の考え方を間違えないようにすることが求められています。

 「課題」の注意点としていくつかあげておきます。

(1)「問題点」と同じ言葉か「問題点の『防止』」は「課題」ではない

 「課題」の言葉として世間では「問題点」がそのまま用いられることが良くあります。たとえば、

「新規の顧客が開拓できないことが課題であった」
「顧客の減少を防ぐことが課題であった」

と日常会話として話すことがあります。正しくは

「新規の顧客が開拓できないことが問題であり、商品開発が課題である」

でしょう。つまり、「問題点」の言葉で悪い状況を表したり、あるいは「問題点の『防止』」のように問題点を否定するだけでは解決策の方針として意味がないため「課題」とはならないということです。

(2)複数挙げるときは、もれやダブりがあってはならない

 「課題」は解決策のスタートに当たります。このためこれ以降の作業の成果を左右することとなり、無駄のない仕事を進めるにはもれやダブりがあってはならないということです。

 ダブりがいけないことはわかりやすいです。対策を考えたときに同じような対策が並列してきて意味がないことになります。

 一方、「もれ」があると結果として、本来期待できたはずの良い結果を得られない可能性があります。コンサルタントの務めとして最上の結果を提供するためには漏れはあってはならないのです。

4.3 「対応策」のあるべき姿

 「対応策」では「課題」を受けてどう実施するかを述べます。書き方としてはあまり難しくはないと思います。対策は技術者の仕事の主要な部分ですから誰でもなれていることかとは思います。「対策」を書く上での注意を申しあげます。

(1)ねらいにぴったりの対策を示す

 「対策」の目的は「課題」で示したねらいがあったはずです。したがってそのねらいが確かに満たされるというぴったりの答えでなければなりません。

 たとえば平成22年の建設部門トンネル科目の問題は、

問題Ⅰ-1-1 都市部の土砂地山において土被り1D(D:トンネルの掘削幅)以下で施工される山岳トンネルについて、次の問いに答えよ。
(1)覆工及びインバートの設計上の留意点を3つ述べよ。
(2)施工中に問題となる可能性がある現象を3つ挙げそれぞれについて対策の概要を述べよ。

 この(2)の対策については、まず、

  • 施工中に問題となる現象
  • 都市部の土砂地山でかつ土被りが薄い山岳トンネル
  • 覆工及びインバートに関すること

の3つの全てに該当しなければなりません。

 この対策の一つとしては土砂地山からくる土圧によって覆工が変形し、地盤が陥没して地上の建物基礎に変状が生じるため、覆工や地盤の変形を計測監視するとか、土圧を低減するため地盤改良するなどの対策が挙げられます。

 つまり、その問題ごとに

  • 出題者が一番求めている要求に対して確実に解決できること

が求められます。

(2) ビジネスとして実現性が高いと感じられること

 技術士の提案は実務的な問題解決ですから、その答えはビジネスで通用しなければなりません。このため、答案の答えといってもハンドブックの記述ではなく、最新の実勢に準拠したものでなければならないわけです。

 この「ビジネスとして実現性が高い」とは現在のマーケットで経済性が高いことと同じと考えて良いでしょう。

 平成22年の建設部門コンクリート科目の問題は、

鉄筋コンクリート構造物の初期欠陥について以下の問いに答えよ(各問1.5枚程度)
1.鉄筋コンクリート構造物の初期欠陥のうち施工に起因する欠陥を2つ挙げその原因を説明せよ。
2.上記で示した初期欠陥のうち1つに対して、現在、一般的に行われている防止策の現状と課題を説明せよ。また、その課題解決に向けた設計・施工のあるべき姿について、幅広い観点からあなたの考えを述べよ。

となっており、この問題の答えとして「クラック、ジャンカ」を欠陥とした場合、その防止策としては、高性能AE減水剤を入れるなどが挙げられます。こうした方法で、コンクリートのワーカビリティーを上げることが現場で広く良く行われており、その一因が、高性能AE減水剤のコストパフォーマンスが良いことです。

 コンサルタントというものは、究極的にクライアントの経済メリットに貢献するものでなくてはならず、技術士としてはそうした最新の経済性の高い方法を提案できることが務めなのです。

 (3)「白書のキーワードをちりばめる」?

 「白書のキーワード」は技術士の合格法として良く言われることですが、その真意を誤解されていませんか。キーワードを知っていること、つまり知識が大事なのではありません。

 「白書のキーワード」は、いずれも一般性の高い専門用語であり、それ自体がある程度確立した技術用語であるといえます。技術士の仕事が専門多岐にわたることから、その細部に至るまで誤解のないように意志を伝えるには専門用語で表現するのが一番です。

 たとえば「アセットマネジメント」というキーワードがあります。

橋や道路などの公共物に対して、適正な管理により更新時期を平準化し、ライフサイクルコストを考慮した効率的な管理によりその価値を高め利益を最大化すること。

 その考え方の中には次のようなプロセスがあります。

1 資産状況の把握
   統一した基準により点検を実施し、すべての資産の状況を把握
2 資産の評価・分析
   データベースを使った定量的な分析により資産を評価
   ライフサイクルコストを算出
3 事業計画の策定
   個別の施設について修繕、転用、更新、売却などを判断
   重要性の観点から優先順位を決定
4 事業の決定・実施
   財政状況を踏まえ事業化、実施
6 事業評価
   データベースや計画の修正

 つまり、アセットマネジメントには、概念的にこのような多くの意味があり、それらをいっぺんにしかも正確に表せるということです。逆にキーワードを使わなければとても非効率となってしまいます。

 専門家の仕事としてはたくさんのことを誤解なくスピーディーに表現する必要があります。その意味で白書のキーワードはプロコンサルタントとしての重要な能力と言えるでしょう。このような意味で技術士試験でキーワードが重要視されるということです

 ですから「白書のキーワードをちりばめる」とは、だた個数をたくさん引用すれば良いということではなく、キーワードを用いて多くの実務的な解決策を簡潔に表現することが大切だということなのです。

5. 「問題分析、課題立案、対応策の提案」のまとめ

 技術士試験問題では画一的な答えというものはなく、誰もが正しい結論に至る答えを自分の言葉で表す必要があります。逆に、このようにして専門家が出した答えが正しいか否かは、ふつう専門家でなければ判断できません。技術士試験ならば試験官が採点しますが、実務ではそうはいきません。

 このため、コンサルタントはクライアントに対して常に正しい結果、しかもそれが正しいと納得できる答えを提供できるという問題解決過程の品質管理をしなければなりません。技術士はその担保として、

  • 正しい問題分析をして問題の要因を見極める。
  • 問題の要因から、正しく課題立案する。
  • 課題から正しい対応策を提案する。

 こうしたプロセスでもって結果の正しさを保証している、だから試験でも求められるということなのです。


■最近の指導より
 
 さてみなさんは試験申込書の準備はもう始められましたか。技術士合格への道研究所の指導では、今年の受験申込書に書く業務経歴の書き方を指導しています。体験業務の分析により、だれでも自信の持てる業務経歴を作り上げられるようにしています。

 この中で一番大事なことは、

(1)物件名

 大きさや複雑さと共に、所在地や発注者など物件の難易度に関する情報があれば固有名詞で表すことが有効です。大手機関からの依頼物件を「某○○施設」などと隠す必要はありません。

(2)技術名や貢献と成果の因果関係

 あまりくどくどと書かず、成果を導くのに寄与したことは何か?絞り込んで書くことです。良い結果を導くテクニックはいわゆるノウハウであり、それはコンピテンシーの一大要素なのです。仕事のできる技術者が実務的なテクニックや役所の届け出関係など、たくさんのノウハウを持っていることからもうかがえます。

 大事なことは、その成果とは経済性や生産性、高品質をイメージさせるうれしい結果の数値で表すということです。こうしたイメージがなければ成果として効果がなく、数値がなければ曖昧なものとなってしまいます。


技術士合格への道研究所
代表者 佐武良祐
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