H26年 建設部門、鋼構造・コンクリート(コンクリート)の答案について合格判定を致しました。
(1)音声ガイドによるコーチング指導前半(12分51秒)がダウンロードされますのでお聞きください>
(2)音声ガイドによるコーチング指導中盤(13分11秒)がダウンロードされますのでお聞きください>
(3)音声ガイドによるコーチング指導後半(21分28秒)がダウンロードされますのでお聞きください>
解答
1.留意すべき事項とその理由
(1)打込みについて
寒中コンクリートとして取り扱うことから、コンクリートの打込み温度が5℃以上であることに留意しなければならない。その理由は、5℃を下回る場合は、コンクリートの初期硬化中、異常凝結し強度不足になるからである。
■ 書き方がくどい、前置きです。
(2)養生について
現場における寒中コンクリートとして取り扱うことから、コンクリートの初期養生対策に留意しなければならない。その理由は、適切な初期養生対策を行わなければ、表面の異常凝結や凍結から、ひび割れが発生し、耐久性が低下するからである。
■同じことがダブっています
2.取るべき対策
(1)打込みについて
打込み温度が5℃を下回る場合は、コンクリート材料である骨材や水の加温を行う。
(2)養生について
初期養生対策として、コンクリート打設後、構造物全体をシート養生する。また、養生中はシートの中で10℃以上保つために練炭を設置する。
さらに、脱枠直後に外気温とコンクリート温度との差が大きい場合、温度応力ひび割れ発生が懸念されるため、工程が許す限り脱枠時期を遅らせる。
問題 Ⅱ−1−7
コンクリート構造物の乾燥収縮ひび割れの発生メカニズムを説明せよ。また、その対策としてコンクリートの低収縮化するための材料または配(調)合上の手法を2つ挙げ、その概要と留意点を述べよ
解答
1.乾燥収縮ひび割れの発生メカニズム
乾燥収縮ひび割れは、コンクリート中の水分の長期的な減少による収縮変形を拘束したときに生じる引張応力で発生する。
2.低収縮化するための手法とその概要と留意点
(1)水セメント比の低減化(配合上)
水セメント比を低減化することにより、コンクリート中の水量を低減し、コンクリートの低収縮化を行う。
留意点としては、水セメント比を低減化すると、コンクリートのワーカビリティーを低下させる。
■同じこと、繰り返し。
ワーカビリティーを確保するため、高性能AE減水剤を添加して水セメント比を低減化し、低収縮化を行う。
(2)膨張材の使用(材料)
膨張材を使用することにより、コンクリートの低収縮化を行う。
留意点としては、収縮量と膨張量が均等になるように、膨張材の混入量を決定することが重要である。
■これは原則であってどうやったら確実に出来るが求められています
問題 Ⅱ−2−4
設計が完了しているコンクリート構造物において、施工に着手する段階で、施工工期を短縮する必要から、主要部材のプレキャスト化に取り組むことになった。しかしながら、プレキャスト化においては、在来工法時に比べて検討すべき項目が多く存在する。この業務を遂行するに当たり、コンクリート構造物を1つ想定して、下記の内容について記述せよ。
(1)工期短縮のために想定した構造物のプレキャスト化の範囲と、プレキャスト化計画時に検討すべき事項
(2)「設計者」若しくは「施工者」の立場から業務を進める手順とその内容
(3) (2)で解答した立場において、業務を進める際に 留意すべき事項
解答
1.プレキャスト化の範囲と検討すべき事項
(1)プレキャスト化の範囲
プレストレストコンクリートT桁道路橋を想定し、プレキャストの範囲として、主桁のプレキャスト化を挙げる。
(2)検討すべき事項
①現場重機・運搬車搬入スペース確保の検討
プレキャスト化した主桁を現地に搬入することから、運搬路の計画、また、プレキャストを現地にて組み立てることから、レッカーなどの重機設置スペースを検討する。
②プレキャスト重量の検討
運搬車やレッカーの能力から、プレキャストの重量を検討する。
■施工(仮設計画)ではなく鋼構造の内容がほしいです。
③接合部の検討
プレキャストの接合部は、構造上弱点になるので十分に耐力を確保できるよう検討する。
2.設計者の立場から業務を進める手順とその内容
(1)プレキャスト分割数の検討
支間中央の最大曲げモーメント位置に接合位置をさけるため、プレキャストの分割数は、奇数(N=3,5,7)とする。
(2)仮置き・運搬時におけるプレキャストの検討
プレキャスト部材は、RCであることから、仮置き・運搬時にプレキャスト下面に有害なひび割れを発生させないために、太径鉄筋を配置検討する。
(3)接合部の検討
接合位置において、主桁接合時、死荷重時、設計荷重時において応力検討を行う。さらに、接合キーの配置を検討する。
■手順というには断片的過ぎませんか。1〜3をつなげてもPC設計の全体形が見えません。
3.業務を進める際に留意すべき事項
(1)プレキャストの重量
プレキャストの運搬車やレッカーの能力、施工性を考慮して、プレキャストの重量を30t以下、長さ10m以下とする。
■施工のことです
(2)接合部における設計荷重時の検討
設計荷重を超える活荷重が載荷された場合、接合部にひび割れが集中して生じる可能性があるので、接合部における設計荷重時の検討では、活荷重を1.7倍した値で応力検討する。
(3)接合部の耐久性確保について
接合部の耐久性を確保するため、劣化因子の進入を防止するため、接合面にはエポキシ樹脂系接着剤を塗布するよう設計図面に明記する。
■部分的なことではなくPC仕様の全体に関することはありませんか。
解説
施工関係のことがたくさん書かれており、鋼コンの答案といえるか疑問です。鋼構造コンクリートの技術が中心になるように表現してください。
問題 Ⅲー4
高度成長期以降に集中的に整備された社会インフラは老朽化が進展し、維持管理橋の問題が顕在化している。一方、これに関わる予算や労働力といった資源の投入は今後も困難なことが予測されている。このような状況を考慮し、以下の問に答えよ。
(1)コンクリート構造物の維持管理の負担を軽減するため、検討すべき項目を多様な観点から記述せよ。ただし、地震などの災害による非常時の維持管理は含まないものとする。
(2)上述した検討すべき項目のうち、あなたが重要であると考える技術的課題を1つ挙げ、実現可能な解決策を2つ提示せよ。
(3)あなたが提示した解決策がもたらすこうかを具体的に示すとともに、想定されるリスクやデメリットについて記述せよ。
解答
1.維持管理の負担を軽減するための検討すべき項目
わが橋梁分野でいえば、2030年には建設後50年を超える橋梁が全体の4割を超え、一斉に維持管理・更新時期を迎える。維持管理の負担は、今後増え続けるばかりである。
以下、維持管理の負担を軽減するための検討項目を挙げる。
■不要な前置きです。論文ではなく答案ですから、単刀直入に答えを書いてください。
(1)事後保全から予防保全への転換
現状は、コンクリート構造物が劣化や更新時期を迎えてからの事後保全であり、高コスト構造・長期視点無く、維持管理の負担は大きい。維持管理の負担を軽減するためにも予防保全的対応、例えばアセットマネジメントの推進を検討するべきである。
■目的と方策の関係になっていません。提案が広義すぎてここでの相応しい提案ではないでしょう。
(2)民間活力を用いた維持管理
全国の自治体のコンクリート橋梁で通行規制している数は2000橋を超える。しかし、自治体だけでこれらを維持管理するには負担が大き過ぎる。民間活力を用いた維持管理を行うべきである。例えば、PFIやNPO法人の橋守、地域住民と共同で維持管理を行うべきである。
■負担の分担を言うだけで、軽減に向かう前向きな提案になっていません。
(3)点検・調査の効率化
コンクリート構造物の維持管理負担を軽減するためには、点検・調査作業の効率化が検討項目である。
2.技術的課題と解決策
1の(3)で挙げた点検・調査の効率化を挙げ、技術的課題と解決策を述べる。
現状の点検・調査方法は、目視点検が主であり、点検者の劣化認識度に対する力量差異から、その後の診断、補修・補強選定に差異が生じる。また、点検・調査記録の様式は、全国各自治体でばらばらであり、非効率である。これにどう対応するかが課題である。
■このことが真の問題ではないでしょう
解決策として、以下を挙げる。
①ICTを用いた自走式点検調査車の開発
電磁波レーダーやデジタルカメラを装備した自走式点検調査車を開発する。点検・調査の精度向上やスピードアップにつながると考える。トンネルコンクリート等の点検・調査作業などに適用できる。
②点検・調査記録様式の統一化
点検・調査記録様式を全国の自治体間で統一化することにより、データベース化しやすくなり、維持管理の効率化につながっていくと考える。
■本質的ではない内容です。
3.解決策がもたらす効果とリスクやデメリット
(1)自走式点検調査車の開発について
①効果
自走式調査車の普及により、道路交通規制や点検・調査するための仮設足場が不要となり、維持管理コストの軽減につながっていく。
②リスクやデメリット
自分の目で確認しないため、現場特有の環境条件や隣接構造物の影響を見過ごし損傷原因を追及できず、適切な補修・補強を実施できない可能性がある。自分の目で現場を見ることは重要である。
■本質的ではない内容です。
(2)点検・調査記録様式の統一化について
①効果
各自治体間で点検・調査の記録内容を共有・蓄積できるため、その実績情報が活用されやすい。
また、記録様式に劣化状況を写真でグレード別に記載し、点検・調査結果に対してチェックするだけで、点検・調査作業の効率化につながっていくと考える。
②リスクやデメリット
点検・調査の記録をデータベース化しても、それを活用する技術者の力量向上がなさらなければ、データは埋もれるだけである。我々技術者は、コンクリート構造物の維持管理について常に勉強し続けなければならない。
■心構え?リスクでもデメリットでもありません。
解説
鋼コン技術士として述べるべき視点が定まっていない感じです。このため施工や心構え、個人的考えに発散しています。答案の主題を捉えて、技術士として言うべきことをしっかり述べてください。