2018年3月9日 化学部門、セラミクス、無機化学科目の方のスカイプによるコーチング指導
この日のコーチングによる指導時間は21時00分から、1時間20分間行なわれ,その受講者様は化学部門、セラミクス、無機化学科目を目指す方で、居住地の東京からスカイプを用いて相談されました。業務内容の詳細の仕上げ法についてコーチング指導を行いました。
この指導に先立って受講者様のS様より、次のようなメールと添付にて業務内容の詳細をいただいておりました。
お世話になります。
検討し、改善いたしました。暫定版ですが、添付いたします。
このあたりで一度、スカイプで相談したいなと思っております。
明日 3月9日(金)PM9:00〜
または、3月11日(日)終日
どちらか、ご都合のよろしい時間はありますでしょうか。来週でも可能です。
以上、よろしくお願いいたします。
当研究所ではこうしたご相談の要望に対して、受講者様の時間的な都合にできるだけ合わせるように、随時電話スカイプによる相談を受け付けております。
業務内容の詳細は次のようなものでした。
1.立場、役割 製剤設計技術主任として、現行品改良のため製剤の設計と性能を評価。
2. 業務概要 〇〇剤(後発品、O/W型乳剤、油相:〇〇〇〇、300万人分/年、加速試験)の、〇〇性向上、〇〇障害付与による〇〇合一抑制と、比重制御による〇〇抑制により、3年間の安定性を確保した。
3. 技術的問題点 ①瓶内(30人分)でミセルが凝集・合一し、効果に±〇〇%ものバラつき発生。②ミセル浮沈抑制用の擬塑性増粘剤で、滑り性が上昇(内視鏡挿入手技の妨げ)し、シェアが減少。③生産機の乳化性能が不足により、長時間処理の熱でミセル安定性が低下。
4. 解決策の提案 ①ミセル凝集抑制のため、親水性シリカ粒子によるミセル濡れ性向上及び、水相の高分子増粘剤濃度増加による立体反発で分散を維持した。また、粘度制御によって再分散性を確保した。②親水性シリカ粒子を用いて、水相-ミセル間の比重差ρ=0.01に低減し、浮沈速度を低下した。③エネルギー効率の高い高圧乳化法を採用し、安定なミセル径と経済性の観点から均質化圧力を80MPaに高めた。
5. 成果 ①ミセル合一速度80%抑制と再分散性95倍向上により、効果のばらつきを先発品の〇〇%に抑制した。②比重差低減によるクリーミング速度65%抑制で、擬塑性増粘剤不使用を実現し、滑り性の評価を100%改善した。品質の向上により売上が5%増加した。得られた知見:O/W型乳剤のミセルにシリカ粒子を導入する場合、油相の成分とシリカ粒子の組み合わせによっては、シリカ粒子が油相から離脱し水相に移行する場合がある。油相−シリカ粒子間相互作用を高めるため、官能基の付与等が有効である。
今回は業務内容の詳細の仕上げの最終段階に相当します。全体的な印象を確かなものとするため、概要、技術的問題点、解決策の提案、成果というか項目ごとのバランスを整える必要があります。業績論文では解決策の提案は主体となりますので、答案の中で最も大きいウェイトを占めるように仕上げていく必要がありました。
今回いただいた業務内容の詳細では、残念ながら成果の項が解決策を同程度の内容となっており、バランスが悪くなっていました。業績の貢献を訴えるあまり成果の内容は文字数を増してしまう傾向はよく見られることです。しかしバランスを崩すと冗長感を増し、それが成果に関する記述であると、論文の後半でくどさが目に付くようになります。
そこで、成果の項を簡潔に記述して、対策を解決策の項でしっかり述べるようにご提案しました。この結果はバランスが良くなってとても見やすくなりました。
コーチングがいかに役立つかご理解いただけましたか。本研究所では受講生様の進度に合わせて指導しています。論文の理解度が欠けていると判断ときや、業績についても新しい視点が必要と判断したときは、随時電話、スカイプにてご相談の時間を持つように講師の側からお知らせしております。皆さんの技術士合格への疑問を短時間で解決するよう努めています。