№14 R3年 建設部門、道路の答案について添削致しました。 2021/09/22
答案の内容について表現力は素晴らしいです。見識問題は正しく解答ができています。試験結果は、予想通りオールAで合格されました。素晴らしい結果です。建設部門道路技術士としてのプロの答えを表現すればさらに楽勝で合格されたでしょう。ご指摘致します事項は、今後の参考としてください。なお、音声では合否発表前に合格するにはどうするかという視点で申し上げますので若干厳しい語調となることもあり得ます。どうかご了承願います。
初受験でここまで書けるとは実力がおありです。一方、試験のコツがつかめていないようなのでそこが残念です。一般的に初回受験者が陥りがちな、前置き論や本題とは別な議論、技術士ではなく一般的見解などが多くなる傾向がみられます。戦略的な論文表現がやや弱かったようです。ご自身の努力だけでは、出題者の真意が読み取れず、解答のストライクゾーンに答えるのが難しいためかと思います。まずは記述内容の矛盾や無駄をなくしていけば必ず合格答案に近づけられます。
必須Ⅰでは、建設部門技術士の技術的視点からの議論が少なくて、一般的な業務マネジメントとなっているように感じます。建設の技術での貢献があればよかったです。選択科目Ⅱ-1は、いずれも正解で、得点できています。Ⅱ-2は、出題者が求めている「経験豊富な技術士像」が十分には打ち出せていなかったようです。問2の手順は問1とダブりがあり、「計画」だけでは手順がよく見えませんでした。ご自身の方針が見えませんので専門家らしさを打ち出すことに苦労されました。Ⅲは、技術コンサルタントとしてどうするか具体的な建設技術の説明があればよかったと思います。この問題の降雪対策ですが、既存の対応ではなく、ご自身のアイデアでその具体的改善策について述べるようにすべきです。そうすればより本題に迫る得点力の高い答案が書けたと思います。
しかしこうした弱点があったとしても、コンピテンシーが十分高いため合格されています。口頭試験に備えて、再現答案を修正して、まずは真の正解を確認されるようにしてください。
技術士試験では、講師の言うとおりに語句を直しているだけでは合格出来ません。大事なのはご自身で正解を感じ取る、そして行動(提案)することです。この感覚を早く習得されて、合格を勝ち取ってください。ただし1回で合格するには正しく学ぶ必要があります。本講座ではマンツーマンコーチングで技術士コンピテンシーを引き出して一発合格するための指導をしておりますのでご参考にしてください。
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問題 Ⅰ-2
Ⅰ−2 近年、災害が激甚化・頻発化し、特に、梅雨や台風時期の風水害(降雨、強風、高潮、波浪による災害)が毎年のように発生しており、全国各地の陸海域で、土木施設、交通施設や住民の生活基盤に甚大な被害をもたらしている。こうした状況の下、国民の命と暮らし、経済活動を守るためには、これまで以上に、新たな取り組みを加えた幅広い対策を行うことが急務となっている。
(1)災害が激甚化・頻発化する中で、風水害による被害を、新たな取り組みを加えた幅広い対策により防止又は軽減するために、技術者としての立場で多面的な観点から3つ課題を抽出し、それぞれの観点を明記したうえで、課題の内容を示せ。
(2)前問(1)で抽出した課題のうち最も重要と考える課題を1つ挙げ、その課題に対する複数の解決策を示せ。
(3)前問(2)で示したすべての解決策を実行しても新たに生じるリスクとそれへの対応策について、専門技術を踏まえた考えを示せ。
(4)前問(1)〜(3)を業務として遂行するに当たり、技術者としての倫理、社会の持続可能性の観点から必要となる要件・留意点を述べよ。
1.激甚化する風水害の被害を防止するための課題
(1)国民の防災意識を高める
気候変動の影響により、1時間に50mm以上の短時間強雨の発生回数は、30年前と比べて1.4倍増加しており、土砂災害や洪水等の被害が毎年のように全国各地で発生している。このため、様々な関係機関が連携、協働して、防災・減災対策を講じていく必要がある。
したがって、危機意識共有の観点から、国民の防災意識を高めていくことが課題である。
■建設部門エンジニアとしての課題が求められていますので、具体的に建設技術を応用してどのように防災対策を講じていくかという提案がほしいです。
(2)AIやロボット技術等の活用
人口が減少している中で、建設業を担う技術系職員も減少しているが、それに反比例して災害は激甚化・頻発化している。限られた人員で効率的に作業を行うためには、デジタル化を推進する必要がある。災害時にAI技術による浸水範囲の自動解析や身体的負担を軽減できるパワーアシストスーツの着用、ドローンの活用で被災状況を把握できるようになる。
したがって、技術者不足の観点から、AIやロボット技術等を活用することが課題である。
■AI技術は将来性はともかく実現している分野はごくわずかです。実際問題として建設部門でどのように活用するおつもりですか。建設部門でaiを行うとしても機械学習が非常に困難で、まだ実現しているケースは聞いたことがありません。そのような現時点で実現不可能な技術を提案するということは、技術者倫理にも抵触しますのであまりお勧めできません。
(3)想定を上回る災害への対応
我が国の国土は山地や丘陵地が多く、また河川も急勾配なため、近年の気候変動の影響もあり、土砂災害や洪水等の災害が発生しやすい状況である。また、今後もこれらの自然災害が頻繁に発生することが予測されているため、早期に対策を実施する必要がある。
したがって、制度面や技術面の観点から、想定を上回る災害に対応することが課題である。
■「想定を超える災害」とは問題文の前提にも含まれています。「これまで以上に、新たな取組を加えた幅広い対策を行うことが急務となっている」という部分がそうです。出題者が求める前提事項ですから課題には相当しません。こうした被害者が求める問題の背景を深く捉えて、「技術者の視点」で具体的に改善の方針を提案することが正解を確実にするためには欠かせません。
2.解決策
上記課題のうち最も重要と考える課題は、「(3)想定を上回る災害への対応」である。なぜなら、災害から人々の生命・財産を守り、安全な生活環境を整備する必要があるからである。以下にその解決策を示す。
(1)流域治水対策の実施
想定を上回る災害へ対応するためには、流域治水対策を実施することが解決策の一つである。なぜなら、多様な主体と連携し、ハード・ソフトの両面から対策することで、効果を発揮するからである。
具体的には、雨水貯留施設の設置、利水ダムの事前放流、ダム・遊水地の整備、堤防補強等である。
■いずれも従来から行われている対策そのもののように思われます。「これまで以上に、新たな取組を加えた幅広い対策」とはいわゆるresilience対応ということになるかと思います。新たな防災対応の取り組みから提案すべき技術を読み取ってください。
https://www.nied-sip2.bosai.go.jp/
(2)強靭な道路ネットワークの構築
想定を上回る災害へ対応するためには、強靭な道路ネットワークを構築することが解決策の一つである。なぜなら、災害時に救助活動や物資の輸送等を途切れさせてはいけないからである。
具体的には、高規格道路のミッシングリンクの解消や4車線化の整備、高規格道と主要国道とのダブルネットワークによる機能強化対策等である。
(3)ライフラインとなるインフラの強化
想定を上回る災害へ対応するためには、ライフラインとなるインフラを強化することが解決策の一つである。なぜなら、防災拠点となる道の駅等の施設が、被災者等を受け入れる必要があるからである。
具体的には、下水道管路、下水処理場の耐震補強や地下鉄駅の電源施設の浸水対策等である。
3.解決策を実行しても新たに生じうるリスクと対策
上記解決策を実行しても新たに生じうるリスクは、ノウハウ不足である。なぜなら、多様な主体が多く、新技術の活用等、情報を一元的に集約する必要があるからである。
■ノウハウ不足とは問題となる要因の1つに過ぎず、これ自体がリスクとは思えません。リスクとは経済的なマイナス効果を含むような発生頻度の小さい現象です。予測困難な事象なので、技術士問題として問われてます。したがってあまり想像に難くない話はリスクとは言いにくいです。
上記リスクの対策として、インフラメンテナンス国民会議を活用することである。なぜなら、多様な主体と連携でき、産学官民が持つAI技術による画像診断や衛星データを活用した自動運転技術等の新技術を利用でき、効果的に事業の進捗が図れるからである。
4.業務として遂行するに当たり必要な要件・留意点
①技術者倫理の観点
人々が安全・安心して生活するためにも、強靭な国土を作り、適切な施工、維持管理に努めていくことが重要であり、公益を最優先として取り組み、公共の安全を確保していく必要がある。
■これは技術者倫理の原則の心構えを描いたものだと思います。ここで求められる要件とは、問2で提案した流域治水や強靭なネットワークを作るにあたって、「ただ普通に行うのではなく、技術士にふさわしく技術者倫理も高めて行うためには、あなたは何を行ないますか」という意味です。
②社会の持続可能性の観点
人々の暮らしを支えるためには、道路等のインフラの管理が欠かせない。新技術を活用する等効率的に管理し、将来世代へ適切に引き継ぎ、環境保全を図りつつ、持続可能な社会を構築していく必要がある。
■こちらも心構えを表した内容となっています。技術士にSDGsが求められています。
Ⅱ−1−4 土工工事において施工プロセスの各段階でICTを全面的に活用する工事をICT施工というが、ICT土工の効果を2つ説明せよ。またICT土工における出来形管理の手法を具体的に2つ挙げ、それぞれ概要を説明せよ。
1.Ⅰ T土工の効果について
(1)生産性の向上(正確な土量計算、時間短縮)
■アンダーラインはなくても構いません
レーザースキャナー等を用いて、現場の状況を3次元点群データとして取り扱うため、従来の管理測点からの平均断面法で算出していた土量計算よりも正確に測定することができる。
また、従来の測量に比べて、人員や測量時間が大幅に削減できる効果がある。
■ 内容的には非常に結構です。 充分得点が期待できます。
(2)安全性の向上
従来は、施工時に丁張を設置していたが、ⅠT土工となることで、丁張の設置作業や計測業務をする必要がなくなる。
このため、作業員がローラーやバックホウ等の重機との輻輳作業がなくなり、挟まれ等の接触事故が減少し、安全性が向上する。
2.ⅠT土工における出来形管理の手法
(1)面管理
3次元点群データにより面管理での合否判定を可能とした。このことで、盛土の締固め度の管理をローラーの転圧回数とする等、施工のスピードアップ、管理の省力化につながっている。
(2)法面管理
3次元設計データから、法面勾配を判断し、バックホウをマシンコントロールすることで、バケットが自動で動き、必要以上に削らない等、効果を発揮する。
↓末尾の「以上」は不要です。
以上
Ⅱ−2−1 近年、未就学児を中心に子供が日常的に集団で移動する経路等の安全確保に関心が高まっており、ある市街地においても生活道路を含めた緊急的交通安全対策が検討されている。この対策の担当責任者として、下記の内容について記述せよ。
(1)調査、検討すべき事項とその内容について説明せよ。
(2)業務を進める手順について、留意すべき点、工夫を要する点を含めて述べよ。
(3)業務を効率的、効果的に進めるための関係者との調整方策について述べよ。
1.調査・検討すべき事項
(1)道路幅員の調査
道路内の空間で再配分が可能か検討するため、道路幅員、歩道の有無、路肩幅員等を調査する。
(2)交通量の調査
自動車(大型車・普通車)、自転車、歩行者の交通
量を調査する。
(3)過去の事故を調査・検討
自動車対歩行者、自転車対歩行者等、原因者がわかるように調査し、対策内容を検討する。
(4)通学路の調査・検討
通学路の有無について調査する。通学路でない場合は、路肩のカラー舗装が可能か検討する。
(5)電柱の調査・検討
道路内の電柱の有無について調査する。幅員が狭い場合は、民地への移設等も含めた検討する。
(6)用地の調査
道路に隣接する用地について、拡幅する場合の実現可能性について調査する。
2.業務を進める手順
(1)調査・検討を行う
上記1の(1)〜(6)について、現地調査や既存資料、交通管理者、電線等の占用者、法務局等に問い合わせ、詳細に現状を把握する。他市等で参考となる事例があるか、問い合わせる等工夫する。
■調査検討では問1と同じで、ダブリの内容は不要です。それより作業はどう進めるのですか。時系列に4〜5の手順を示すのが良いでしょう。
(2)計画を作成する
調査・検討結果をもとに、道路幅員構成、歩道の設置有無等を計画する。生活道路であり、抜け道として利用する通過車両も多く、スピードも出て危険であれば、ガードレール等の防護柵を設置し、物理的に分離する。通過交通の速度を抑制できるよう、ゾーン30の整備について交通管理者と協議を行うなど、より実効性の高い計画となるよう努める。また、ビッグデータを活用する等して、急発信、急ブレーキ、抜け道としている等、潜在的なリスクを把握して計画を作成すること等に留意する。
■作業の手順が「計画」だけではよく見えません。〜の留意点にふさわしい手順の項目を挙げてください。
3.関係者との調整方策について
業務を効率的、効果的に進めるためには、道路管理者、警察、学校、地元住民、占用者等の関係者と早期から協議等を実施することである。そうすることで、ピンポイントの要望箇所を把握でき、対策内容について警察も含めて合意でき、早期に事業着手できるからである。また、ハンプや狭さく等の通過交通の速度を抑制する物理的デバイスは、有効であるが、地元の理解や協力が不可欠なため、協議会を通じて合意できることは大きなメリットである。また、関係機関と誤った認識とならないよう書面でのやりとりとすることやウエブ会議等でリアルタイムに協議することで事業の円滑化につながる。さらに、地元にはフォトモンタージュ等を活用して完成形を明示すれば理解も深まる。
■協議会、ウエブ会議といった会議形式の工夫などではなく、2で述べた提案を効率化するための中身の議論をするようにしてください。具体的には下記項目について技術士、プロマネにふさわしい取りまとめ案を示すことです。
道路幅員構成
ガードレール防護柵
ゾーン30の整備
ビッグデータ活用
Ⅲ−1
令和2年度の冬は、大雪や短期間の集中的な降雪が発生し、関越自動車道や北陸自動車道において大規模な車両滞留が発生した。このように、ひとたび大規模な車両滞留が発生するとその解消までに長時間を要し、結果として社会経済活動に多大な影響を及ぼすとともに、ドライバーや同乗者の生命が脅かされる事態にもなりうることから、大規模な車両滞留を徹底的に防止することが求められている。
このような状況を踏まえて、以下の問いに答えよ。
(1)降雪に伴う大規模な車両滞留を徹底的に防止するため、技術者としての立場で多面的な観点から3つ課題を抽出し、それぞれの観点を明記したうえで、課題の内容を示せ。
(2)抽出した課題のうち最も重要と考える課題を1つ挙げ、その課題に対する複数の解決策を示せ。
(3)すべての解決策を実行しても新たに生じうるリスクとそれへの対策について、専門技術を踏まえた考えを示せ。
1.大雪時の大規模な車両滞留を防止するための課題
(1)ドライバーへの呼びかけ・協力の要請
短期間の集中的な大雪時に大規模な車両の停滞が繰り返し発生し、解消までに数日間を要するケースもあった。このため、国民一人一人が降雪状況に応じて道路の利用を控える等、国民が通行止めの必要性を理解し、道路の抑制にと努める必要がある。
したがって、道路の利用抑制の観点から、ドライバーへの呼びかけ・協力を要請することが課題である。
■必須科目の問1「国民の防災意識を高める」と同じです。ドライバー協力の必要性を否定はしませんが、しかし建設道路の技術者としての提案が見えません。逆に国民に依存するという意味からは消極的な印象を与えかねませんのであまり好ましくありません。
(2)関係機関の連携の強化
大雪時の対応について、国、地方公共団体、道路管理者、警察、消防、自衛隊等の関係機関が果たす役割を明確にし、連携を強化する必要がある。特に短期間の集中的な大雪時の対応について、通行止めや滞留者の救出活動等の実効性を高めるため、合同での訓練や情報収集を連携して行い、道路利用者に適切に周知できるよう情報の発信方法等を工夫する必要がある。
したがって、危機意識共有の観点から、関係機関の連携を強化することが課題である。
■連携強化するのは何のためですか。よく産官学の連携とか言われますかそれは各主体が独自の考えに基づいてコラボレーションするその結果ベストの提案を築き上げるための取り組みです。連携する前に何を提案するかといった目的を示す必要があります
(3)道路管理者等の取組の強化
気候変動の影響により、積雪深さが過去最高を更新するなど、短期間の集中的な大雪が局所的に発生している。道路は物流を安定的に輸送し、人々が生活を送る上で欠かせない重要なインフラであり、常に機能する必要がある。しかし、交通の確保を優先し、通行止めをちゅう躇した結果、大規模な車両滞留を引き起こした事例もある。
したがって、安全・安心な通行を確保する観点から、道路管理者等の取組を強化することが課題である。
■当事者である道路管理者の取り組みは重要かと思います。しかしこの問題ではその道路管理者がどうあるべきかが技術士に問われているわけです。自身がコンサルタントとして道路管理者にどうあるべきか、課題を示すとしたら何を提案しますか。それが答えです。
2.解決策
上記課題のうち最も重要と考える課題は、「(3)道路管理者等の取組の強化」である。なぜなら、人命を最優先し、大規模な車両滞留を徹底的に回避する必要が重要だからである。以下にその解決策を示す。
(1)ソフト対策の実施
道路管理者等の取組を強化するためには、ソフト対策を実施することが解決策の一つである。なぜなら、多様な主体と早期に連携することで、効果の高い対策を実施できるからである。
具体的には、段階的な行動計画を示すタイムラインの作成や地域における除雪体制の強化、除雪作業を担う建設会社の確保、タイヤチェーン装着の徹底、出控え等の要請等大雪時の行動変容等である。
■ソフト対応とはこのようなモノによる対応ではなく、アイディアやプログラム仕組み改善によって行うことを指します。タイムラインの作成は意義が高いと考えます。除雪会社の確保やタイヤチェーンに発散せずに、根幹となる考え方を中心に提案すれば専門的内容に近づけたと思います。
(2)ハード対策の実施
道路管理者等の取組を強化するためには、ハード対策を実施することが解決策の一つである。なぜなら、災害時の救急活動や物資の輸送等を途切れさせてはいけないからである。
具体的には、高速道路や主要国道の4車線化や渋滞の起点となりやすい交差点へのカメラの増設、ロードヒーティング等の消融雪設備の整備、Uターン路の整備、路外への救助場所の整備等である。
■ハード対応は確かに重要です。ただしこれまでやってきたことと同じことをしていては効果が期待できません。現状の対策の何処に問題があるか、それを分析して改善するような提案が必要かと思います。
(3)新技術の活用
道路管理者等の取組を強化するためには、新技術を活用することが解決策の一つである。なぜなら、限られた人員で効率的に作業を行う必要があるからである。
具体的には、AIを活用した交通障害の自動検知システムの開発、タイヤチェックの導入、気象予測技術の向上、衛星データ活用の除雪車の自動運転化等である。
■前置きの三行を無くして、新技術の中身をもう少し具体的に提案できれば良かったのではないでしょうか。新技術が必要とされていることは間違いないことですし、一方どのような技術の実効性が高いかということは技術士の提案にふさわしいかと思います。
3.解決策を実行しても新たに生じうるリスクと対策
上記解決策を実行しても新たに生じうるリスクは、ノウハウ不足である。なぜなら、大雪の定義は地域によって異なるため、大規模な車両滞留を引き起こす大雪は、全国のどの雪国でも発生する可能性があるからである。
■「ノウハウ不足」ではリスクとは言いにくいです。理由は必須科目1と同じです。このような自身の提案に対する見直し、すなわちセルフチェックの練習を積むことが大事かと思います。当面の問題ではなく、提案が完成した時点で予想外の問題が生じるからです。総監の5つの管理、経済性管理、人的資源管理、情報管理、社会環境管理、安全管理などの視点で考えると何かしらリスクが浮かび上がると思います。
上記リスクの対策として、地域の特性に応じた対策を実施することである。なぜなら、雪の降り方や道路状況は地域毎に異なるため、具体的かつ効果的な実行計画を策定できるからである。
具体的には、多様な専門分野の有識者で構成された検討会の実施や道路利用者からの意見聴取等である。この地域特性を踏まえた取組は、他の地域へも水平展開し、情報共有することが重要である。
■専門家、有識者から意見をこうという方法は現実に問題解決の手法としてよく執られる方法ではありますが、しかしこうした第3者に依存すればするほど自らの貢献が小さくなってしまいます。そもそもこの試験が技術士の課題解決能力を図ることが目的ですから、他者に依存した提案は減点される危険性がありますのでお勧めできません。