問題文 Ⅲ-1
「公共工事の品質確保の促進に関する法律」の基本方針には、公共工事に従事する者の賃金その他の労働条件、労働環境が改善される様に配慮されなければならないと明記され、「発注者の責務」「労働者の責務」が定められている。国土交通省は、これまで継続的に公共工事設計労務単価を引き上げてきているが、技能労働者の賃金は製造業と比べ未だ低い水準にあり、引き続き建設業団体に対して適切な賃金の確保を要請している。
一方、こうした養成を踏まえ、一般社団法人日本建設業連合会は「労務費見積尊重宣言」を行い、一次下請企業への見積り依頼に際して、適切な労務費(労務賃金)を内訳明示した見積書の提出要請を徹底する事により、さらなる賃金引き上げを実現していくとの考えを示している。このような背景を踏まえ、建設工事の直接的な作業を行う技能労働者について下記の問いに答えよ。
(1)技能労働者の労働条件及び労働環境の改善、それに必要な費用の確保のそれぞれに関し、技術者としての立場で多面的な観点から課題を抽出し分析せよ。
(2)(1)で抽出した課題のうち最も重要と考える課題を1つ挙げ、その課題に対する複数の解決策を示せ。
(3)(2)で示した解決策に共通して新たに生じうるリスクとそれへの対策について述べよ。
模範解答1 (答案形式) 添削履歴 1回 2019.7.22 専門事項 工程管理
1.労働条件及び労働環境改善の費用確保について
(1)週休2日の休日確保
働き方改革により建設業にも週休2日を取り入れる現場が増えてきたが、まだ一部にすぎない。建設業界全体で休日を確保し、建設従事者における福利厚生を充実させる事が課題である。将来、休日が確実に確保できる業界になれば、建設業の魅力が向上し、若年者が入職して人材不足が解消され、業界として大きな利益になる。
(2)肉体的疲労の軽減
建設業における技能労働者の肉体的な作業負担軽減を図る。直接作業に携わり、ものづくりをする作業の作業に対する疲労、負担を軽減する為にロボット等で負担を軽減する。その機械等を導入しサポートする体制が整っていないのが課題である。技能労働者への負担軽減が生産性を向上させ、最終的には利益となり労働環境改善の費用を賄う事とできる。
(3)労働時間の短縮
建設業は他産業に比べた場合、拘束時間が長いために敬遠される事が課題である。コンクリート打設となれば1日の拘束時間が12時間以上となる時もある。拘束時間や作業時間を短縮する事で、労働環境を改善でき、工程も短縮させるには、2次製品等のプレキャスト製品で構造物等を築造する。これにより、工程を短縮させ、作業効率を向上させることができ費用対効果があり、採算がとることができる。
2.休日の確保
(1)工期設定
働き方改革により休日を確保することが必要になり、工期の短縮が求められる。施工方法の工夫及び新技術を採用して工期を短縮する努力をしている。但し、施工方法の工夫や新技術の採用には多大な費用が必要であるため、大幅な工期短縮は困難である。対策としては、工期設定をする段階で工事作業員の平準化を図り作業員が交代で休日がとれる工程管理を行うことで、作業員の負担が軽減されると考える。
(2)作業の効率化
建設現場における作業の効率化や生産性の向上を図るためにICT技術を用いて作業を行う。ICT搭載重機等を使用することで、作業能力が向上し生産性を高めることができる。また、型枠の代わりにプレキャストブロック等を採用し型枠に関する日数及び費用を縮減する。作業を効率化し作業員総員を減らす事で作業員の負担を軽減する。
(3)施工体系の強化
建設業界は、多重構造のため下請企業が5次・6次までおよぶこともある為、下請企業に従事する労働者に対して十分な賃金の支払いができない場合がある。対策として、最低賃金制度を制定し、各労務費に対して基本の最低賃金を確保できるように水準を決める。水準を下回った企業には、勧告指導の対象とする制度とし、最低労務費を確保する。
3.働き方改革の解決策におけるリスクと対策
(1)工期設定
休日を確保するために、作業員の平準化させる工程管理を実施する。工程管理上、絶対に守らなければならない期間に対して人手をかけ過ぎて作業員の負担が増加するリスクがある。対策として、元請だけでなく下請の意見を踏まえた工程管理をする。
(2)作業効率化
プレキャスト化により作業効率化を図る事により作業員の負担を軽減する。プレキャスト化により現地と取付部との取り合いが困難になるリスクがある。対策として、事前に取付部との接合部に関して効率的に作業できる計画を立案する。
(3)ICT技術の活用
生産性を向上させる為にICT技術を活用し、作業労働時間の短縮、工程短縮等を図ることができる。ICT技術の操作をマスターする為に残業、工程の遅延等のリスクがある。対策としては、使用する場面に合わせたICT技術を選定し、不要な箇所では従来工法、必要な箇所ではICTを行い、従来工法と併用する。
模範解答2 (簡易答案1) 添削履歴 3回 2019/9/16 専門事項 工程管理
(1)働条件及び労働環境の改善等の課題抽出、分析
① 施工時期の平準化
発注工事が単年度契約のため、工事量が年間を通してバラツキがある。施工時期の平準化のため、複数年契約や地域維持型契約を導入して、建設機械や技能労働者などのリソースを効率的に運用することにより企業経営健全化や労働者の処遇改善を図る。
② コンクリート工の規格の標準化
土木構造物は一品受注生産のため、非効率、割高となる。建設プロセスの全体最適化のため、プレキャスト化、ユニット鉄筋など導入し、生産性向上を図る。
③ ICTの全面的な活用
建設現場はきついなど3Kのため、職場環境が厳しく技能労働者の人手不足となっている。賃金向上など新3K実現のため、ICTを活用し、生産性向上を図る。
④ 重層下請構造の改善
重層下請構造のため品質面の低下や下請の対価減少、労務費のしわ寄せとなっている。重層下請構造の改善のため、施工管理しない下請会社の排除、専門工事業者の技能労働者の直接雇用し、就労環境改善を図る。
(2)最も重要と考える課題と解決策
(1)③ICTの全面的な活用が最も重要と考える。なぜなら、生産性向上が技能労働者の労働環境に直接つながるためである。解決策を以下に述べる。
① 現場作業の安全確保の3DMC、3DMGの重機など ICT建機を導入して、遠隔操作による無人化施工する
② 現場コンクリートの施工管理はICTを使ってウェブサーバー上で一元管理する。更にCIMを使って維持管理を効率化する。
③ 設計段階から3次元プロダクトモデルを使って、設計・施工・維持管理の合理化する。施工における「見える化」で手戻りや不具合を防ぐことができる。
④ 鉄筋組立をロボットで行う。人が配筋作業していたのを自動化で安全確保する。
(3)(2)で示した解決策に共通して新たに生じうるリスクと対策
ICT建機に依存することにより技能労働者のスキル低下が懸念され、ICTに対応していない建設現場では施工の品質低下のリスクがある。対策は技能労働者のスキル向上のため、定期的に既存建機を使った訓練や研修を受講させて、人材育成する。
模範解答2 (簡易答案2) 添削履歴 3回 2019/9/23 専門事項 工程管理
(1) 労働条件及び労働環境の改善等の課題抽出、分析
① 施工時期の平準化
公共工事は単年度予算に従った契約のため、工事量が年度末は多く、繁忙期となる。一方、年度初めは少なく、閑散期となり、年間を通しての工事量の偏りが激しい。施工時期を平準化し、年間を通して工事量の安定化するため、複数年契約や地域維持型契約を導入して、建設機械や技能労働者などのリソースを効率的に運用することにより企業経営健全化や技能労働者の処遇改善を図る。
② コンクリート工の規格の標準化
土木構造物は一品受注生産などのため、量産化が進んでおらず非効率、割高となっている。建設プロセスの全体最適化のため、コンクリート工など現場での打設、型枠工などにプレキャスト化、ユニット鉄筋などを導入し、生産性向上を図る。また、熟練工でなくても施工が容易となる。
③ ICTの全面的な活用
建設現場は「給料が安い」「休暇が取れない」「危険」の3Kのため、職場環境が厳しく技能労働者の人手不足となっている。省人化、省力化するため、ICTを活用し、生産性向上を図る。この結果、技能労働者の「休暇が取れる」などの新3Kを実現につながる。
④ 重層下請構造の改善
重層下請構造のため品質面の低下や下請の対価減少、労務費のしわ寄せとなっている。重層下請構造の改善のため、施工管理しない下請会社の排除、専門工事業者の技能労働者の直接雇用し、就労環境改善を図る。
(2)最も重要と考える課題と解決策
(1)③ICTの全面的な活用が最も重要と考える。なぜなら、生産性向上が技能労働者の労働環境の改善に直接つながるためである。解決策を以下に述べる。
① 現場作業の安全確保のため、3DMC、3DMGの重機など ICT建機を導入して、遠隔操作による無人化施工する。これにより人が立ち入れない、二次災害の懸念がある現場でも施工ができる。
② 現場コンクリートの施工管理はICTを使ってウェブサーバー上で一元管理する。これによりコンクリート工などの熟練技能がなくても施工が容易となる。更に施工後はCIMを使って点検、補修履歴情報を含めていくと維持管理が効率化する。
③ 設計段階から3次元プロダクトモデルを使って、設計・施工・維持管理の合理化する。施工における可視化により作業の手戻りや不具合を防ぐことができる。
④ 鉄筋組立をロボットで行う。人手に頼っていた配筋作業を自動化すうことにより鉄筋工など熟練技能が不要となり、安全性も確保できる。
(3)(2)で示した解決策に共通して新たに生じうるリスクと対策
急速に進展するICTの新技術を現場導入する際に基準、仕様等に適合できないリスクがある。対策として、仕様規定から性能規定へ仕様の見直しや作業の自動化による品質検査項目の大幅な簡素化など柔軟な対応ができるよう基準、仕様等の適切な改善などに取り組む。
模範解答2 (簡易答案2) 添削履歴 10回 2020/2/2 専門事項 工程管理
(1)労働条件及び労働環境の改善等の課題抽出、分析
(1.1)労働条件及び労働環境の改善
① 適正な価格による契約推進
技能労働者の適正な賃金を確保するため下請契約の契約金額を適正に行って、受注者の賃金原資を確保する。市場における労務、資材等の取引価格、施工の実態等を的確に反映した適正な予定価格を設定しておく必要がある。
② 建設キャリアアップシステムの活用
優秀な技能者の処遇改善を図るため建設キャリアアップシステムを活用し、本人情報・資格・就業履歴の蓄積、社会保険加入など登録し一元管理し、適切な能力評価を行う。
③ 生産性向上
技能労働者の処遇改善のためi-Constructionを推進して生産性向上を図る。建設現場を労働集約型手法から資本集約型手法に転換し、省人化・省力化する。これにより技能労働者の労働環境の改善、いわゆる新3K(休暇が取れる、給料がよい、希望が持てる)につなげる。
(1.2)必要な費用の確保
①設計VEの導入、NETIS登録の新技術等の積極的な導入、建設副産物の再生利用などで公共工事をコスト縮減し、その利益から、必要な費用を確保する。
(2)最も重要と考える課題と解決策
(1.1)③生産性向上による処遇改善が最重要課題であり、そのためにICTや3D技術、標準化を利用して効率化、つまりi-constructionなどを中心に行う。
① 建設工事でのICTの活用
高速かつ高品質な建設作業を実現するため建設現場で3次元測量、CIM、ICT建機による無人化施工など情報通信技術等を活用して生産性向上する。
② コンクリート工の標準規格化
業務効率化のため、大型PCa、高流動Co等を活用して省人化、工事短縮する。
③ 発注・施工時期の平準化
工事量を安定化させ、人や重機類のリソースを効率的に運用するため、2か年契約などを導入し、工事量を平準化する。
(3)リスク:技能労働者の失業者増加
技能労働者の処遇改善し、賃金が向上するが、更にICTが発達すると技能労働者の仕事がICTに代替えとなり、仕事量が減少し失業者が増加する。
対策1:技能労働者は新技術に対応したスキル向上のため、建設リカレント教育等を活用して多能工や熟達した作業能力、現場マネジメント能力の能力開発を行う。
対策2:失業者は第四次産業革命で発展するIT産業やシェアリングエコノミーなどの情報サービス業等へ転職できるようにする。そのため、デジタル時代に対応できるように21世紀型スキルをリカレント教育など通して修得する。
模範解答2 (答案形式1) 添削履歴 3回 2019/10/12 専門事項 工程管理
(1)労働条件及び労働環境の改善等の課題抽出、分析
① 施工時期の平準化
公共工事は単年度予算に従った契約のため、工事量が年度末は多い。一方、年度初めは工事量が少ない。年間を通しての工事量の偏りが激しい。このため、技能労働者の収入も不安定となる。施工時期を平準化し、年間を通して工事量を安定化するため、複数年契約や地域維持型契約を導入して、建設機械や技能労働者などのリソースを効率的に運用することにより企業経営健全化や技能労働者の処遇改善を図る。
② コンクリート工の規格の標準化
土木構造物は一品受注生産などのため、量産化が進んでおらず非効率、割高となっている。建設プロセスの全体最適化のため、コンクリート工など現場での打設、型枠工などにプレキャスト化、ユニット鉄筋などを導入し、生産性向上を図る。また、熟練工でなくても施工が容易となる。
③ ICTの全面的な活用
建設現場は「給料が安い」などの3Kのため、職場環境が厳しく技能労働者の若手入職者が少なく、処遇がよくないことから定着率も悪くなり労働力不足となっている。また、建設業は一品受注生産などの生産体制のため、人手頼りの作業になり、量産化が進んでいない。省人化、省力化するため、ICT/IoT、AIなどを導入し、生産性が高く、魅力的な新しい建設現場の実現を図る。この結果、技能労働者の「休暇が取れる」などの新3Kの実現につながる。
(2)最も重要と考える課題と解決策
(1)③ICTの全面的な活用が最も重要と考える。なぜなら、生産性向上が技能労働者の処遇改善に直接つながるためである。解決策を以下に述べる。
① ICT建機による無人化施工
現場作業の安全確保のため、3DMC、3DMGの重機など ICT建機を導入して、遠隔操作による無人化施工する。これにより人が立ち入れない、二次災害の懸念がある現場でも施工ができる。
② ICTを活用した現場コンクリートの施工管理
現場コンクリートの施工管理はICTを使ってウェブサーバー上で一元管理する。これによりコンクリート工などの熟練技能がなくても施工が容易となる。
③ 3次元プロダクトモデルによるCIMの導入
設計時の形状、工場制作時の原寸形状、各段階で付与する属性情報を包含し、一元的にデータ交換可能な3次元プロダクトモデルによるCIMを導入する。更にフロントローディングにより従来、施工・維持管理段階で検討していたようなことを設計段階で配慮し、施工しやすく、維持管理しやすい設計にすることで施工・維持管理段階の手戻りや施工ミスを防ぎ、技能労働者の負担を軽減することができる。
(3)(2)で示した解決策に生じうるリスクと対策
リスク:
① 技能労働者のスキル低下が懸念され、ICTに対応していない建設現場などで施工が品質低下する。
② ①に伴い、技能伝承も十分になされなくなるおそれがある。
対策:
① 建設キャリアアップシステムを活用し、技能労働者の保有資格や経験などを適正に評価し、スキルアップが処遇に反映できるようにする。さらにこれらの取り組みで人材育成を行っている専門工事会社が評価され受注につながるようにする。
②熟練者のノウハウを暗黙知から形式知化し、ノウハウのデータベース化を構築し、Off-JT+OJTにより体系的教育で人材育成を行うナレッジマネジメントで技術伝承を確実に行う。
模範解答3 (答案形式1) 添削履歴 8回 2019/9/30 専門事項 工程管理
(1)賃金水準の向上と確保の課題
①生産性の向上
バブル崩壊以降、建設投資の削減が続けられ建設技能者が減少した。技能労働者の確保・育成のためには、適切な賃金水準の確保による処遇改善が重要である。課題は、作業の効率化により技能労働者の賃金水準の向上や休暇の取得が可能な生産性の向上である。
②建設キャリアアップシステム
建設業は、長時間労働、休みが少ないことに加え賃金が低いため、若手入職者の減少や技能労働者が定着しない状況である。
課題は、技能労働者の経験やスキルを適切に賃金に反映した建設キャリアアップシステムである。
③ダンピングの防止
構造改革による公共事業の削減により、ダンピング受注が多発した。その結果、下請業者や技能労働者へのしわ寄せにより、賃金水準が低下した。
課題は、技能労働者の賃金を確保する低入札価格調査制度及び最低制限価格制度の適切な活用である。
④予定価格の適正化
自然災害の大規模化による災害復旧の増加により、技能労働者が不足の状況である。技能労働者を確保するため賃金水準の向上が重要である。
課題は、市場における労務及び資材の取引価格や施工の実態を反映した、予定価格の適正化である。
(2)最も重要な課題と解決策
最も重要な課題は、生産性の向上である。
①ドローンの活用
従来の現場踏査は、モノレールやヘリコプターを使用し、建設技能者の運転により調査していた。
しかし、ドローンと3Dスキャナーの活用は、無人飛行のため建設技能者の省人化により生産性が向上する。ドローンの活用は、短時間、広範囲、高精度のデータの取得が可能であるため、生産性が向上する。
②情報化施工
従来の盛土工やのり面工、路床工や路盤工は、丁張りを設置して、バックホーやブルドーザーによる施工である。しかし、情報化施工は、マシンガイダンス機能やマシンコントロール機能など作業の自動化による、建設技能者の省人化により生産性が向上する。熟練工による作業が不要なため、高精度、高効率の作業を実現し生産性を向上する。
③規格の標準化
構造物をプレキャスト化にすることにより、施工現場の複雑な作業を低減することにより、建設技能者の負担を軽減する。プレキャスト化は、工場製作であるため現場条件に左右されず品質が向上する。作業の簡素化により、熟練工は必要とせず、女性や外国人でも施工が可能であるため建設技能者の省人化が図れる。
(3)共通するリスクと対策
①ヒューマンエラー
1.共通するリスク
技術の高度化により、無知や未経験、不慣れによる操作のヒューマンエラーよる事故の発生である。
2.対策
ヒューマンエラーよる事故の発生を防止する新技術を活用した教育訓練が課題である。
人工知能の的確なアルゴリズムにより、多様化するICT機械の学習方法をプランニングさせ専門知識を学習する。VRを活用し、時間や天候、立地などに左右されない体験型教育により、危険な災害現場などの疑似体験を学習する。
②能力の衰え
1.共通するリスク
生産性向上は労力が減少するため、技能労働者の技能の低下を招き、熟練した技能を要する災害復旧現場などに対応できなくなるリスクが生じる。
2.対策
技能労働者の能力の低下を防ぐため、実務経験による訓練が課題である。
ARにより実在する風景にバーチャルの視覚情報を重ね、被災地を仮想的に拡張し現実に近い訓練により技能を向上する。団塊世代の高度な熟練技能をOJTとナレッジマネジメントにより訓練し技能を向上する。
模範解答4 (簡易答案1) 添削履歴11 作成日2020/6/6 建設部門 科目:施工管理 専門事項 施工計画
1. 技能労働者の労働条件と環境改善の課題
1)労働時間と賃金の労働条件改善
1次下請けに見積依頼する際、今後は労務費内訳を明示した見積書依頼、提出させ、ゼネコンが了承、賃上げを実現する。賃上げ分で時短労働費補填し、実現する。
2) 機械化により苦渋作業からの解放
屋外寒暖や人力作業や屋外作業や高所作業がある。規格標準化PC工法採用で人力作業を最小限とし、高生産性で費用確保し、機械化し苦渋作業から解放する。
3)ロボット化、自動化施工、ICT建機の採用による高生産性化
年間労働時間が2063時間と他産業1720時間に比べ20%多いが、UAVやICT建機等を活用し、生産性を向上させ、労働時間短縮し増収分賃金を確保する。
2. 1.1)労働時間短縮と賃上げの解決策
1)建設キャリアアップシステムの導入
サブコン施工能力の見える化と所属する技能労働者の能力評価制度を導入し、
優良企業の受注で重層下請け構造改善と労務費の皺寄せを防止でき、賃上げする。
2)適切な請負代金で元下請け契約の締結
受注者からサブコンへ発注時、労務費を明示協議することで、見積単価割増費用を確保し、日給制から完全月給制とし、労働時間短縮と賃上げを実現する。
3)発注者の適切工期設定の監視で時短労働
短い工期の禁止を監視する許可行政庁が適正請負契約の違反の疑いを通報できる仕組みとし、許可行政庁から発注者へ勧告することで突貫工事防止し時短労働。
新たな共通リスクとその低減対策
1) 小規模サブコンから倒産するリスク
経営難が続いている中小サブコンは、建設キャリアアップシステムの費用負担が厳しく、評価制度で大サブコンへ仕事が集中し、中小サブコン単価割り増し交渉が頓挫し、小サブコン倒産が増加する。
2) 低減対策
中小サブコンのキャリアアップシステム費用を、軽減し後押しする。中小サブコン単価割増しが交渉頓挫は、ガイドラインで最低労務単価を設定する。短工期監視する許可行政庁が単価割増しも通報を受け監督勧告を行い、通報者保護制度を設け、かつ中小サブコン減税等補正措置の併用実施で、倒産リスク低減する。
添削指導
・3つの解決策の全てに共通するリスクを挙げるように。
・1.は今までの経緯があって改善が困難だからです。それをどうやって修正するのか。妙案はありますか。その提案を求めている。
・ダブリは無くす。
・課題にコストダウンとあるものの、費用捻出方法が記載されていません。
・「リスク」の言葉の意味を理解すること。
「リスク」とは、頻度が小さく、マイナスの経済効果の大きいできごとです。
自身の提案に由来して起こるリスクであること。過去のリスク例 笹子トンネル事故(天井板崩落) アンカーの強度不足から崩落(リスク)を予見すべきであった。
公益性の低下を予知できる技術者倫理を測っています。
・課題文で大事なのは、働き方改革による技能労働者の改善解決策がメインです。
労務や賃金を記載要求されているのに、それを書かないと、評価されません。
・タイトルは、20字以下でシンプルに書くように。
・課題は、①賃金労働時間②環境③高生産化、をそれぞれ分けて記載する。ダブリを防止するように。
・1.の課題は、具体的対策まで記入しないで、おおまかに書くこと。
・リスクの考え方は、技術士にしかできない未来を予測し、警鐘を促す因子を挙げ、解決策を提示することです。
模範解答4 (簡易答案2) 添削履歴1 作成日2020/6/10 建設部門 科目:施工管理 専門事項 施工計画
1. 技能労働者の労働条件と環境改善の課題
1)労働時間と賃金の労働条件改善
今後ゼネコンは、サブコンに対し建設業働き方加速化プログラムを踏まえ、労務費増でコストアップ発注と長時間労働是正をする。サブコンは増額分で、賃上げと休日費用を確保する。
2)規格標準・機械化による苦渋作業からの解放
建設業は、屋外一品生産品のため、寒さ暖さのある屋外作業や人力作業や高所作業がある。規格標準化やPC工法を採用することで、苦渋作業を最小限とする。また機械化することで、苦渋作業から解放され、生産性を高めることで賃上げと機械の費用を確保する。
3)ロボット、自動化施工、ICT建機で高生産性化
年間労働時間が2063時間と他産業1720時間に比べ20%多い。そのためロボットやUAVやICT建設機械などを活用し、生産性を向上させる。結果として、労働時間を短縮でき、得られた費用により、賃上げとロボットや機械の購入維持費用を確保する。
2.1.1)労働時間短縮と賃上げの解決策
1) 労務増額単価で元下請け契約を締結
受注者であるゼネコンからサブコンへ仕事を発注する際、労務費を明示見積依頼し、サブコンに値入れ提出させる。請負契約締結前に両者で協議し、労務増額単価をゼネコンが了承発注する。その増額労務単価による費用で、日給制から完全月給制に移行し、労働時間短縮と賃上げを実現する。
2)発注者の適切工期設定の監視で労働時間短縮
短い工期の禁止を監視する許可行政庁が適正請負契約の違反の疑いを通報できる仕組みをつくる。許可行政庁から発注者へ勧告し、改善することで突貫工事防止でき、労働時間短縮を実現する。
3)建設キャリアアップシステムによる処遇改善
技能労働者にキャリアパス制度とサブコンの施工力の見える化を導入する。その評価で優良企業が優先的に受注できる仕組みをつくることで、重層下請け構造を改善する。結果として、労務費の皺寄せを解消でき、技能労働者の賃上げを実現する。
3.新たな共通リスクとその低減対策
1)小規模のサブコンから会社倒産するリスク
経営難が続いている中小規模のサブコンは、建設キャリアアップシステムの費用負担が厳しく、評価制度の優先受注により大規模のサブコンへ仕事が集中する。また中小規模のサブコンは単価割り増し交渉が頓挫し、結果として、小規模のサブコンから会社倒産が増加する。
2)低減対策
サブコンの会社規模である完工高や就業人数に応じて、キャリアアップシステム費用を負担し、単価割増し交渉は、ガイドラインで最低労務単価を設定する。2.3)の短い工期を監視する許可行政庁が労務増額単価に関してもサブコンからの通報を受け付け、ゼネコンへ監督勧告を行う。通報者保護制度を設け、中小規模のサブコンへ減税等の措置を併用実施することで、中小規模のサブコンが会社倒産するリスクを低減する。
模範解答4 (完成答案) 添削履歴1 作成日2020/6/13 建設部門 科目:施工管理 専門事項 施工計画
1.技能労働者の労働条件と環境改善の課題
1)労働時間と賃金の労働条件改善
今後ゼネコンは、サブコンに対し建設業働き方加速化プログラムを踏まえ、適正な価格とするため労務費を増額発注し、現場の長時間労働是正をする。サブコンも労務費増額分で、技能労働者の賃上げと休日費用を確保し、担い手確保と建設業全体の働き方改革関連法の実施を加速化する。
2)規格標準と機械化による苦渋作業からの解放
建設業は、屋外一品生産品のため、雨風雪などの環境変化のある屋外作業や人力作業や高所作業がある。それらの改善策として、屋外・高所作業は、規格標準化やPC工法を採用することで、苦渋作業を最小限とする。また人力作業でなく、機械化することで、苦渋作業から解放され、生産性を高めることで、賃上げと機械購入維持費用を確保する。
3)ロボット、自動化施工、ICT建機で高生産性化
年間労働時間が、2063時間と他産業1720時間に比べ、20%も多い。そのためロボットやUAVやICT建設機械などを活用し、生産性を向上させる。例えば実績として、平成30年最も主要なICT土工では従来に比べ、3割のべ作業時間を減少、ICT舗装では4割のべ労働時間を減少させた。結果として、労働時間を短縮でき、削減された労務費用により、技能労働者の賃上げとロボットやICT建設機械等の購入維持費用を確保する。
2. 1.1)労働時間短縮と賃上げの解決策
1) 労務増額単価で元下請け請負契約を締結
建設工事の受注者であるゼネコンからサブコンへ仕事を発注する際、労務費を明示した適正価格の見積りを提出する。請負契約締結前に両者で協議し、適正価格をゼネコンが了承し、仕事を発注する。その適正価格とした増額分費用で、技能労働者の賃上げを実現し、日給制から完全月給制に移行する。従来の長時間労働の原因であった日給制を改善することで、労働時間を短縮する。
2)発注者の適正な工期設定の監視で労働時間短縮
短い工期の禁止を監視する許可行政庁が、適正請負契約の違反の疑いを通報できる仕組みをつくる。通報により、許可行政庁から発注者へ勧告し、改善することで突貫工事防止する。その方策により、短工期からくる長時間労働の短縮を実現する。
3)建設キャリアアップシステムによる処遇改善
技能労働者にキャリアパス制度とサブコンの施工力の見える化を導入する。その評価で優良企業が優先的に受注できる仕組みをつくることで、重層下請け構造を改善する。また、技能労働者一人一人の就業実績や保有資格がシステムに登録証明が可能となり、建退協への加入実績も記録できる。結果として、労務費の皺寄せ解消と技能労働者の実力評価による賃上げ、社会保険関連の加入を推進し実現する。
3.新たな共通リスクとその低減対策
1)小規模のサブコンから会社倒産するリスク
経営難が続いている中小規模のサブコンは、建設キャリアアップシステムの費用負担が厳しい。加えて、そのシステムの評価制度により、優良会社の優先受注となり、大規模のサブコンへと仕事が集中する。結果として、中小規模のサブコンは労務単価割り増し交渉が頓挫することとなり、小規模のサブコンから会社倒産が増加する。
2)低減対策
はじめに、サブコンの会社規模である完工高や就業人数に応じて、建設キャリアアップシステムの費用を負担する仕組みとする。中小のサブコンの負担を軽減し、加えて減税等の措置を併用実施し、経営の後押しをする。
次に、労務単価割増し交渉は、国のガイドライン等で各作業の最低労務単価を設定することで、値下げすることができない仕組みにする。加えて、2.2)の短い工期を監視する許可行政庁が、労務増額単価に関しても、サブコンからの通報を受け付け、ゼネコンへ監督勧告を行うことで防止する。
また、通報者保護制度を設けることで、通報できる環境とし、サブコンの労務費増額をより社会に浸透させる。
解説
(1)課題の分析のしかたについて
1.の課題は、これまでの経緯から改善が困難な解決策を求めています。それをどうやって修正するのか。妙案はありますか。出題者はその提案を求めています。
課題は、①賃金労働時間②環境③高生産化それぞれ分けて記載する。
課題文にある要求事項(費用捻出方法)を記載忘れないように。
労務や賃金を記載要求されているのに、それを書かないと、評価されません。
課題文で大事なのは、働き方改革による技能労働者の改善解決策です。この課題の読み取り力は大事で、それができないか、的外れとなり、評価が低くなります。
タイトルは、20字以下でシンプルにするように。
1.の課題は、普通にやってはできないので、見込みをどうやって行うか、方針のみ取り出し記述するように。
どうして今回それが可能になったのか、それを1.1)に記載すること。
1.1)課題の問題が見えてなく、労働条件の前と後+後にした理由が表記できていない。「befor:何を、after:どう直すか」を示す。→時短労働賃上げ→他産業格差是正・大量退職者補填のため担い手確保と背景目的が問われています。
「ブラックボックス化された部分」とか「各労働条件」とは、何を言いたいのか、言葉が意味不明です。
「コストアップ発注」でなく、「適正価格」での発注の趣旨を正しく表現すること。的確な表現をしましょう。
1.の課題は、具体的対策まで記入しないで、おおまかに書くこと。
(2) 解決策の提案、方策の考え方、書き方などについて
提案内容のダブリは極力無くすように。
回りくどい言い方でなく、白書などを見て、業界の専門用語で記載すること。
例)能力評価制度→キャリアパス 働き方改革、担い手確保
解決策は、重要度が高い順番で、1から記載する。
見出しは、新聞の見出しのように、内容が一目瞭然でわかるようにする。
印象を悪くする湾曲するような表現は控える。誤解を与えて逆効果です。
(3)リスクの導き方、書き方などについて
3つの解決策の全てに共通するリスクを挙げること。
「リスク」とは何か、頻度が小さく、マイナスの経済効果の大きいできごとです。
経済的損害を含む事象を探すこと。
自身の提案に由来して起こるリスクであること。過去のリスク例 笹子トンネル事故(天井板崩落) アンカーの強度不足から崩落(リスク)を予見すべきであった
公益性の低下を予知できる技術者倫理を測っています。
本質的リスクの考え方が間違っている。技術士にしかできない未来を予測し、警鐘を促す因子を挙げ、解決策を提示するのが科目Ⅲの3.です。
リスク低減策は、安直な資金援助でなくビジネスモデルとして成立していることを提案する。
技術士は国財政状況やコスト等を多種多様な状況を踏まえた実現可能な提案ができることが必須である。
見出しに書いた事項を最後の文に付け加えるのは、念を押すみたいでくどいので、簡潔にねらいだけ述べるように。
模範解答5 (簡易答案1) 添削履歴10 作成日2020/6/6 建設部門 科目:施工管理 専門事項 施工計画
(1)働条件及び労働環境の改善等の課題抽出、分析
(1.1)労働条件及び労働環境の改善
① 適正な価格による契約推進
技能労働者の適正な賃金を確保するため下請契約の契約金額を適正に行って、受注者の賃金原資を確保する。
② 建設キャリアアップシステムの活用 優秀な技能者の処遇改善を図るため建設キャリアアップシステムを活用し、資格・就業履歴、社会保険加入など一元管理し、適切な能力評価を行う。
③ 生産性向上 技能労働者の処遇改善のためi-Constructionを推進して生産性向上を図る。
(1.2)必要な費用の確保
①設計VEの導入、NETIS登録の新技術等の積極的な導入、建設副産物の再生利用などで公共工事をコスト縮減し、その利益から、必要な費用を確保する。
(2)最も重要と考える課題と解決策
(1.1)③生産性向上による処遇改善が最重要課題であり、そのためにICTや3D技術、標準化を利用して効率化、つまりi-constructionなどを中心に行う。
① 建設工事でのICTの活用
高速かつ高品質な建設作業を実現するため建設現場で情報通信技術等を活用して生産性向上する。
② コンクリート工の標準規格化
業務効率化のため、大型PCa、高流動Co等を活用して省人化、工事短縮する。
③ 発注・施工時期の平準化
リソースを効率的に運用するため、2か年契約など導入し、工事量を平準化する。
(2)リスク:技能労働者の失業者増加
技能労働者の処遇改善し、賃金が向上するが、更にICTが発達すると技能労働者の仕事がICTに代替えとなり、仕事量が減少し失業者が増加する。
対策1:技能労働者は新技術に対応したスキル向上のため、建設リカレント教育等を活用して多能工や熟達した作業能力、現場マネジメント能力の能力開発を行う。
対策2:失業者は第四次産業革命で発展するIT産業や情報サービス業等へ転職できるように21世紀型スキルを修得する。
模範解答5 (簡易答案2) 添削履歴2 作成日2020/6/10 建設部門 科目:施工管理 専門事項 施工計画
(1)労働条件及び労働環境の改善等の課題抽出、分析
(1.1)労働条件及び労働環境の改善
① 適正な価格による契約推進
技能労働者の適正な賃金を確保するため下請契約の契約金額を適正に行って、受注者の賃金原資を確保する。市場における労務、資材等の取引価格、施工の実態等を的確に反映した適正な予定価格を設定しておく必要がある。
② 建設キャリアアップシステムの活用
優秀な技能者の処遇改善を図るため建設キャリアアップシステムを活用し、本人情報・資格・就業履歴の蓄積、社会保険加入など登録し一元管理し、適切な能力評価を行う。
③ 生産性向上
技能労働者の処遇改善のためi-Constructionを推進して生産性向上を図る。建設現場を労働集約型手法から資本集約型手法に転換し、省人化・省力化する。これにより技能労働者の労働環境の改善、いわゆる新3K(休暇が取れる、給料がよい、希望が持てる)につなげる。
(1.2)必要な費用の確保
①設計VEの導入、NETIS登録の新技術等の積極的な導入、建設副産物の再生利用などで公共工事をコスト縮減し、その利益から、必要な費用を確保する。
(2)最も重要と考える課題と解決策
(1.1)③生産性向上による処遇改善が最重要課題であり、そのためにICTや3D技術、標準化を利用して効率化し、i-constructionを推進することで労働条件及び労働環境を改善する。
① 建設工事でのICTの活用
高速かつ高品質な建設作業を実現するため建設現場で3次元測量、CIM、ICT建機による無人化施工など情報通信技術等を活用して生産性向上を図り、賃金水準を向上させる。
② コンクリート工の標準規格化
業務効率化のため、大型PCa、高流動Co等を活用して工場製作化し、高所作業削減で安全性を向上させる。
③ 発注・施工時期の平準化
工事量を安定化させ、人や重機類のリソースを効率的に運用するため、2か年契約などを導入し、工事量を平準化し、工程の余裕を生み出して計画的に休暇を取得させる。
(3)リスク:技能労働者の失業者増加
技能労働者の処遇改善し、賃金が向上するが、更にICTが発達すると技能労働者の仕事がICTに代替えとなり、仕事量が減少し失業者が増加する。
対策1:技能労働者は新技術に対応したスキル向上のため、建設リカレント教育等を活用して多能工や熟達した作業能力、現場マネジメント能力を開発する。
対策2:失業者は第四次産業革命で発展するIT産業やシェアリングエコノミーなどの情報サービス業等へ転職できるようにする。そのため、デジタル時代に対応できるように21世紀型スキルをリカレント教育など通して修得する。
模範解答5 (完成答案) 添削履歴3 作成日2020/6/13 建設部門 科目:施工管理 専門事項 施工計画
(1)労働条件及び労働環境の改善等の課題抽出、分析
(1.1)技能労働者の処遇改善の課題
① 適正な価格による契約推進
技能労働者の適正な賃金を確保するため下請契約の契約金額を適正に行って、受注者の賃金原資を確保する。市場における労務、資材等の取引価格、施工の実態等を的確に反映した適正な予定価格を設定しておく必要がある。
② 建設キャリアアップシステムの活用
優秀な技能者の処遇改善を図るため建設キャリアアップシステムを活用し、本人情報・資格・就業履歴の蓄積、社会保険加入など登録し一元管理し、適切な能力評価と処遇を行う。
③ 生産性向上
技能労働者の処遇改善のためi-Constructionを推進して生産性向上を図る。建設現場を労働集約型手法から資本集約型手法に転換し、省人化・省力化する。これにより技能労働者の労働環境の改善、いわゆる新3K(休暇が取れる、給料がよい、希望が持てる)につなげる。
(1.2)必要な費用の確保
①設計VEの導入、NETIS登録の新技術・新工法等の積極的な導入、建設副産物の再生利用などで公共工事をコスト縮減し、その利益から、必要な費用を確保する。
(2)最も重要と考える課題と解決策
(1.1)③生産性向上による処遇改善が最重要課題であり、そのためにICTや3D技術、標準化を利用して効率化し、i-constructionを推進することで労働条件及び労働環境を改善する。
① 建設工事でのICTの活用
高速かつ高品質な建設作業を実現するため建設現場でUAV、LS等による3次元測量、CIM、ICT建機による無人化施工など情報通信技術等を活用して生産性向上を図り、賃金水準を向上させる。
② コンクリート工の標準規格化
業務効率化のため、大型PCa、高流動Co等を活用して工場製作化し、高所作業削減で安全性を向上させる。なお、PCa導入が提案できるECI、DB等の契約方式を活用する。
③ 発注・施工時期の平準化
工事量を安定化させ、人や重機類のリソースを効率的に運用するため、2か年契約などを導入し、工事量を平準化し、工程の余裕を生み出して、計画的に休暇を取得させる。
(3)新たに生じうるリスクと対策
(3.1)リスク:技能労働者の失業者増加
技能労働者の処遇改善し、賃金水準が向上するが、更にICTが発達すると技能労働者の仕事はICTが進化したAI、IoT、ロボット等の代替えとなり、仕事量が減少し失業者が増加する。
(3.2)対策:技能労働者の能力開発
技能労働者は新技術に対応したスキル向上のため、建設リカレント教育等を活用して多能工・協働化やICTに対応できる能力を開発する。以下にその能力を身に付けさせる対策を述べる。
① 多能工・協業化
手持ち時間や移動時間の削減による効率化・工期短縮のため、多能工を育成して、維持補修、リニューアル等で残された断片化した複数の現場作業を集約して、一人で賄えるようにする。
また、技能者間、企業間で連携して、技能者の技能・ノウハウや各社の建機等をリソースを協業化・組織化することで生産性向上を推進する。
② ICTに対応できる能力
3次元データ作成、CIM/BIM、ICT建機の取り扱える技能は基本として、AIを搭載した自律型ロボットなど高度化したICT、IOTの取り扱いができるスキルやPCa化など新技術に対応できるスキルを身に付けさせるための座学、実習の講習会に積極的に参加させる。
また、ICTに対応した教育訓練を実施している下請や元請企業が評価されるよう経営事項審査や工事の入札参加要件や総合評価事項にして、受発注者ともにICT化に対応できる技能者育成の促進に取り組む。
解説
(1) 課題の分析のしかたについて
問題のテーマの趣旨を把握し、テーマに整合性が取れた課題を抽出するように。
課題は全く系統の異なる3種類程度を抽出します。ダブリがなく独立して作用する対策を採用すると、幅広い対応姿勢を表現できます。
前置きは短くして単刀直入に本題に入るようにし、解決の方針を重点的に説明するように。
問題文に2つの要件があれば、要件を分けると課題が抽出しやすいでしょう。
(2) 解決策の提案、方策の考え方、書き方などについて
3つの設問のバランスを保つ。 (1)から(3)へ行くほど重点的に記載するように。
設問ごとの解答の内容が一連の流れとなるようにします。
即席でふつうにやっている、ありきたりの対策ではなく、深堀した提案を行うこと。
課題の趣旨に応える解決策を説明する。
現実的な提案をして、未来予想的なものはさけるように。
建設工学分野の領域内での提案を行います。
補助金とか産官学共同研究などの提案は安直ととられかねないので、避けた方が無難です。
(3)リスクの導き方、書き方などについて
リスクの焦点は、この問題のテーマである労働環境や労働条件を害する問題を取り上げるように。
リスクとは突発的で予測困難な経済的に大きな損害であるので、何が損害となるか分かり易く説明するように。
模範解答6 (簡易答案1) 添削履歴0 作成日2020/6/9 建設部門 科目:施工管理 専門事項 施工計画
(1)能労働者の労働条件及び労働環境の改善、費用の確保に関しての課題
① 4週8休による労働条件改善
② 新卒者への職業訓練学校入校支援による人材育成
③ 労働条件及び環境改善に取組んでいる企業へ評価点UP
(2)4週8休による労働条件改善
① 評価点への反映
受注者は利益ならびに工程重視の意識が高く、悪天候による工程の遅れを不安視し休日の取得を控える傾向にあるため、工事発注時に4週8休の取得を義務化し、履行できない場合は減点対象とする。
② 雇用体制の改善
建設業は日給月給制の技能労働者が大半を占めており、給与UPのために休日を減らし働く技能労働者が多い。そのため、企業の雇用体制を改善し月額固定給とする。
③ コンクリートの標準化
鉄筋工、型枠工、コンクリート工などの技能労働者が不足しているため、発注段階からコンクリートの規格を標準化し、プレキャストコンクリートとする。
(3)4週8休導入によるリスクと対策
① 判断基準の公平化
技能労働者の確保困難や天候不順による工程の遅れで履行できない場合があるため、減点の判断は受注者からの理由書や受発注者間の協議内容も判断基準に入れる。
②受注の不安定化
不安定な受注により企業自体の経営不振になる場合があるため、指名入札により中小企業へ維持管理工事を安定的に発注し地域社会の安定化を図る。
③企業自体の技術力の低下
仕事の簡素化が進み効率的に工事が行われることにより、企業が保有している技術力を生かす機会が減り、技術力が低下する。そのため、企業は技術力を暗黙知に留めず、マニュアル化しナレッジナレッジマネジメントを促進する必要がある。