R1/2019年 建設・施工 Ⅱ−1−3

問題文

建設現場における三大災害を挙げ、それぞれについて、その原因を含めて概説するとともに、具体的な労働災害防止対策を述べよ。

模範解答1  (答案形式)  添削履歴 3回 2019.8.6  専門事項 工程管理

1.建設機械・クレーン等災害

 重機と構造物の間で作業をしている時に重機が旋回して重機と構造物の間に挟まれる、玉掛け作業中にワイヤに手が引っかかりワイヤに巻き込まれる等の災害である。原因としては、重機の死角で作業していた、作業の見張員の配置不足、周囲の人間が声をかけない等のヒューマンエラーがある。対策として、見張員の代わりにセンサーを配備し、重機の作業区域内に立入った場合に重機が緊急停止し接触事故を防ぐ。

2.墜落・転落災害

 高所で作業中に誤って転落、足場の開口部からの墜落等の災害がある。原因としては、安全帯を着用しているが使用していない等ある。対策としては、外壁先行で外周を囲い、内部には足場を設置したユニットで施工し墜落・転落を防ぐ。また、安全帯の重要性を実感する為に安全体感VRトレーニングを実施する。

3.崩壊・倒壊災害

 足場等が崩れ落ちる又は倒壊して人に接触する、立てかけてあった物が倒れ下敷きになる災害である。原因としては、近道、手抜き等がある。対策としては、施工方法を見直し仮設構造物で崩壊・倒壊を防止する安全装置を設置してから本作業を行う手順に変更する。作業に一手間加える事で作業工程は増えるが、近道、手抜きを防止でき、崩壊・倒壊を防ぐ事ができる。

模範解答2   (簡易答案1)    添削履歴2    作成日2020/5/3    建設部門  科目:施工管理    専門事項 施工計画

1.墜落・転落災害

1)概説:H30死亡災害要因の約4割を占め、原因は高所や足場上から墜落災害で仮設備不備・近道行動・不注意・不慣れ「ヒューマンエラー以下HE」に起因する。

2)防止対策

外壁PCユニットの無足場工法、高所作業車の採用、金網・層間ネット区画する。

2.建設機械災害

1)概説:H30死亡死傷事故要因で約1割を占め、原因は運転者の死角・ミステイクHEによる建設機械と人の接触(挟まれ・巻き込まれ)に起因する。

2)具体的な防止対策

自動認識接触衝突防止装置・全周モニター設置、人と建設機械の区画・表示する。

3.崩壊・転壊災害

1)概説:H30死亡災害で約7%を占め、原因は土砂崩壊・転壊災害とも憶測判断・省略行為・無意識行動のHEに起因する。

2)具体的な防止対策

崩壊防止は土留め先行工法の採用、転壊防止は仮設BIM活用の自動強度計算・施工写真AI一致認識チェック機能を活用する。

模範解答2   (簡易答案2)    添削履歴2    作成日2020/5/6    建設部門  科目:施工管理    専門事項 施工計画

(1) 墜落・転落災害

①原因

H30死亡災害要因の約4割を占め、原因は高所や足場上から墜落災害で仮設備不備、近道行動、不注意、不慣れに起因する。  

②防止対策

外壁PCユニットの無足場工法、高所作業車の採用、金網又は層間ネットで区画をする。

(2)重機災害

①原因

H30死亡死傷事故要因で約1割を占め、原因は運転者の死角やミステイクなど重機と人の接触による挟まれや巻き込まれに起因する。  

②防止対策

 法規定による人と重機の区画と表示をする。自動認識接触衝突防止装置と全周モニターを設置し、AIと目視確認で防止する。

(3) 崩壊・転壊災害

①原因

H30死亡災害で約7%を占め、原因は崩壊・転壊災害とも憶測判断、省略行為、無意識行動などに起因する。

②防止対策

 崩壊防止は、土留め先行工法を採用する。転壊防止は、仮設BIMを活用し自動強度計算を行う。BIMデータと施工写真のAI一致認識と目視確認で防止する。

模範解答2   (完成答案)    添削履歴0    作成日2020/5/9    建設部門  科目:施工管理    専門事項 施工計画

1.墜落・転落災害

1)原因

 H30死亡災害要因の約4割を占め、原因は高所や足場からの墜落災害で仮設備不備、近道行動、不注意、不慣れに起因する。

2)防止対策

 外壁PCユニットの無足場工法、高所作業車の採用、金網と層間ネットで区画する。

2.重機災害

1)原因

 H30死亡死傷事故要因で約1割を占め、原因は運転者の死角やミステイクなど重機と人の接触による挟まれや巻き込まれに起因する。

2)防止対策

 法規定による人と重機の区画と表示をする。自動認識接触衝突防止装置と全周モニターを設置し、AIと目視確認で防止する。

3.崩壊・転壊災害

1)原因

 H30死亡災害の約7%を占め、原因は崩壊・転壊災害とも記憶判断、省略行為、無意識行動等に起因する。

2)防止対策

崩壊は、土留め先行工法を採用する。転壊は、仮設BIMで自動強度計算を行い、BIMデータと施工写真のAI一致認識と目視確認で防止する。

解説

(1)問題趣旨に対する考え方、取り組み方などについて

 課題文に要求されていた原因に対しての対策を記載するようにしてください。骨子による論理のつながりは基本です。

3大災害でない、通勤災害や崩壊転壊災害を取り上げたら減点が大きいです。日頃から建設技術者として、安全に関して関心をもって学ぶことです。

課題文に要求されている通り、具体的な対策を記載するように。かつ、要求されていないことは記載しない。

原因を含めて答えよとあるのに、そのような解答になっていなかったら減点されます。

原因に納得できる真の説明をすること。何をいっているのか理解できない記述は減点対象となります。

誰でもできること・やっていることは、高等の専門応用能力を必要としないので、技術士にふさわしいとは言えません。

技術士にふさわしい斬新な建設技術を応用した独創的対策を提案をすることです。

 (2) 論旨のまとめ方、書き方などについて

前置きは不要であり、必要な事柄のみを記載すること。

見出し・誘導文は、不要です。文字数がなくなり、課題を記載できなくなると本末転倒です。

答案として一読して理解できる構成、表現でないと、コミニケーション能力不足と判断されます。

模範解答3   (簡易答案1)    添削履歴8    作成日2020/3/6    建設部門  科目:施工管理    専門事項 施工計画

1.  概要

1)墜落・転落災害

①足場上での作業の省略による墜落

③開口部への措置不足で立入り転落

2)クレーン・機械災害

 ①合図者との連携不備による吊荷との接触

 ③確認不足による機械と作業員の接触

3)崩壊・倒壊災害

①掘削地山が崩壊

②山留自体の強度不足による支保工の倒壊

2.労働災害防止対策

1)墜落・転落災害

①安全帯使用状態をセンサで検知し通信システム利用による警告及び監視

③開口部への進入を検知し警報および監理者への通知

2)クレーン・機械災害

①クレーンのブーム先端カメラによる画像認識で接触防。

③機械へのICタグ接近時、ブザーとランプで警告するシステムを導入

3)崩壊・倒壊災害

①無線により検知杭の異常変動を通知・警告

②山留め壁の水平変位計測システムによる計測・監視

模範解答3   (簡易答案2)    添削履歴0    作成日2020/3/14    建設部門  科目:施工管理    専門事項 施工計画

(1) 三大災害の概要と原因

①墜落・転落災害

a)  足場作業が多くあり慣れから作業手順を省略し墜落する。

b)   開口部の立入禁止措置不足から不用意に開口部へ侵入し転落する。

②クレーン・機械災害

a)   運転手は吊荷を目視できず、合図の連携ミスから吊荷と作業員が接触する。

b)   不意に機械作業半径内へ立入り機械と接触する。

③崩壊・倒壊災害

a)  掘削により地山の安定性が失われ掘削法面が崩壊する。

b)  山留自体の強度不足により支保工が倒壊する。

(2)具体的な労働災害対策

①墜落・転落災害

a)   安全帯使用状態をセンサで検知し通信システムを利用し警告及び監視で墜落を抑制する。

b)   開口部へ近接すると検知し警報が鳴り、監理者へも通知し転落を抑制する。

②クレーン・機械災害

a)   クレーンのブーム先端カメラによる画像認識で接触を防止する。

b)   機械へのICタグ接近時、ブザーとランプで警告するシステムを導入し接触を防止する。

③崩壊・倒壊災害

a)   無線により検知杭の異常変動を通知・警告し変動を監視する。

b)   山留壁の水平変位計測システムによる計測・監視で異常を早期発見する。

模範解答3   (完成答案)    添削履歴1    作成日2020/3/17    建設部門  科目:施工管理    専門事項 施工計画

(1) 三大災害の概要と原因

①  墜落・転落災害

a)足場作業が多く慣れから作業手順を省略し墜落する。

b)開口部の措置不足から不用意に侵入し転落する。

②  クレーン・機械災害

a)合図の連携ミスから吊荷と作業員が接触する。

b)不意に機械作業半径内へ立入り機械と接触する。

③  崩壊・倒壊災害

a)掘削により地山の安定が失われ掘削法面が崩壊する。

b)山留自体の強度不足により支保工が倒壊する。

(2)具体的な労働災害対策

①墜落・転落災害

a)安全帯使用状態をBluetoothペアリング機能で検知し、通信システムを利用し警告及び監視で墜落を抑制する。

b)開口部へ近接すると検知し警報が鳴り、監理者へも通知し転落を抑制する。

②  クレーン・機械災害

a)クレーンブーム先端カメラの画像認識で接触の防止。

b)機械へのICタグ接近時、ブザーとランプで警告するシステムを導入し接触を防止する。

③  崩壊・倒壊災害

a)無線により検知杭に内蔵の重力加速度センサの角度変化を検知し通知・警告し変動を監視する。

b)山留壁の水平変位計測システムによる計測・監視で異常を早期発見する。

解説

(1)問題趣旨に対する考え方、取り組み方などについて

答案の書き方は、まずは自分の言葉で考えることです。

現状の常識より少しでも良くなるためのことを考えること。

今、自分が持っている考えの一歩先にどのようなことを行えば、より良くすることができるか考えるように。

経験豊富で技術士らしい考えを持っている人ならば、自分の考えを書けるが、そうでない人でも、これから技術士らしい考え方を学ぼうと思いながら謙虚に取組めば、何とか書けます。

一番大事なことは、問題を出題する側(試験官)が、この問題から何を聞きたいのかを考えることです。

自分自身が行ってきたことだけが、最良であると過信しないように。

要点や伝えたいことを考えながら書くと、いつの間にか規定の文字数を超えてしまうので、骨子だけを箇条書きで考えることです。

 (2) 論旨のまとめ方、書き方などについて

できるだけ建設工学に関する技術応用を書くようにしてください。

文字数の制約があるため、要点を短く分かりやすく書く。

いきなり答案に書くのではなく、レジュメ、チェックシート(簡易答案形式で)を書くことで、短くまとめたり少し文字数を増やしたり、文字数の制約に対しての選択肢が選べるようになります。

ご自分の書き方が正しいかどうか分からない場合は、教えてもらうことは恥ずかしいことではないので、不完全な文章でもすぐ添削を受けて、何度でも修正し、良い文章に仕上げるようにしてください。

R1/2019年 建設・施工 Ⅱ−2−1

問題文  Ⅱ-2-1 

 都市近郊の2車線道路橋を新設する工事において、高さ15mの張出し式橋脚3基のコンクリート工の施工計画を策定することになった。この業務を担当責任者として進めるに当たり、下記の内容について記述せよ。なお、橋脚のコンクリート量はフーチングが270m3/基、梁、柱部が230m3/基であり、梁・柱部は鉄筋が密な構造となっているものとする。

(1)調査、検討すべき事項とその内容について説明せよ。

(2)留意すべき点、工夫を要する点を含めて業務を進める手順について述べよ。

(3)業務を効率的・効果的に進めるための関係者と調整方策について述べよ。

模範解答1  (答案形式)  添削履歴 5回 2019.8.20 専門事項 工程管理

(1)生コン車の運行ルート

 生コン工場から現場までの生コン車の運行ルートを調査する必要がある。都市近郊におけるコンクリート打設になるので、生コン車の運行時間を調査し運行時間によっては、コンクリートの品質が劣化しない対策として、流動化剤を添加する。

(2)打設順序

 フーチング部のコンクリートの打設時間を60m3/hと想定すると約4.5時間要するので、コールドジョイントを防止する為、打設順序を検討する必要がある。下層を打ち込んだ後、90分以内に上層を打ち込める打設順序を計画し、コールドジョイントを未然に防ぐ。

(3)ポンプ車の選定

 橋脚にコンクリートを圧送する距離、圧送能力、打設範囲を検討し、ポンプ車の能力の算定し台数を決定する必要がある。たった橋脚の鉄筋を交わしポンプ車の筒先が円滑に生コン打設できる配管長さ・圧送負荷を検討し、能力を満足できるポンプ車を選定する。

2.業務を進める上で留意・工夫を要する点

(1)フーチング打設時にポンプ車を2台・2班で打設を行う時の打設順序・打設区域を、コールドジョイントを防止する為、打設間隔を90分以内に工夫する。

(2)外気温が25℃以上の場合には、コンクリート温度ひび割れ対策として、養生期間中の部材の温度上昇を抑制するパイプクーリングする。

(3)コンクリート打設完了後には打ち継ぎ目処理剤を噴霧器で散布し、上層との付着力を高める。また、柱の側面の脱枠強度は、5.0N/mm2を確認して、脱枠する。脱枠後は湿潤状態を保つため、被膜養生剤を散布する。

(4)柱と梁の高密度配配筋している箇所については、バイブレータの大きさを変え、確実にコンクリートを充填させる。

3.関係者との調整方策について

(1)工事地区における工事連絡協議会の設置

 工事連絡協議会の共有のサーバーをクラウド上に設置し、各工事の予定や競合する作業配置等を毎日更新する。会議を電子会議により、出席する為の移動時間、協議時間を効率化する。

(2)生コン工場や協力会社との調整

 温度・応力解析によりひび割れ指数を算出し評価する。気象予報により打設日の天気、気温、湿度等を考慮し生コン工場や協力会社と事前調整してセメント変更、打設リフト変更の事前準備し作業の効率化を図る。

(3)VRを使用した住民説明会

 橋脚工事が進捗するVRを用いて体験する事により工事に対する理解を図る。VR上で住民からの視線、日照時間、騒音、振動等を体験する事で、住民からの意見で環境改善を図り、効率的に業務を遂行する。

模範解答2   (簡易答案1)    添削履歴2    作成日2020/5/12    建設部門  科目:施工管理    専門事項 施工計画

1.調査と検討すべき事項と内容説明

1)H15m張出し式橋脚安全管理:墜落転壊公衆災害へのリスク対策をする。

2)270/基フーチング・230/基の梁柱の大断面:マスコン水和熱内外温度差に起因するひび割れの設計照査と施工条件との一致確認とひび割れ抑制対策する。

3)梁柱高密度配筋:コンクリート分離、沈下+鉄筋拘束乾燥収縮のひび割れ対策

2. 留意・工夫点を含めた業務遂行手順

1) 安全管理:①墜落・転壊災害のリスクがあり、ⅰ墜落は層間ネットと金網設置、ⅱ転壊はBIM安全計算とAIと施工写真一致確認を行い、ⅲ公衆災害リスクがあり、俯角75°4.1m以上の離隔と強固な区画と交通誘導員の配置でリスク低減する。

2)マスコン照査確認とひび割れ防止策:①設計段階の温度ひび割れ照査と施工条件一致確認:不一致の場合は再度検討②抑制策の検討:ⅰ)配合段階→水和熱抑制のため低発熱型セメント使用ⅱ)製造段階→クーリング方法・運搬時温度管理ⅲ)施工計画→打設数量とリフト高と継ぎ目位置時間間隔と誘発目地位置等の抑制策検討

3)梁柱高密度配筋に起因する分離・ひび割れ:①分離:リスクを低減するため、鉄筋相互間隔を1.5D且1.25Gmax且25mm以上とし②沈下と乾燥収縮ひび割れ:ブリーディング対策でタンピング実施、(高)AE減水剤で単位水量減少配合にて、リスク低減した。

3.効果的進捗への関係者調整:2)マスコン:ひび割れゼロ要求、セメントを低熱→中庸熱、品質コスト工期のバランス勘案、効率的調整。3)分離とひび割れ:全域タンピンク拒否、対プラント収縮低減剤コストアップ要求、見込み補修費を低減剤へ補填し部分タンピングすることで、補修費を抑える調整した。

模範解答2   (簡易答案2)    添削履歴0    作成日2020/5/13    建設部門  科目:施工管理    専門事項 施工計画

1.調査と検討すべき事項と内容説明

1)H15m張出し式橋脚安全管理:①墜落②転壊③公衆災害へのリスク対策をする。

2)270/基フーチング・230/基の梁柱の大断面:マスコン水和熱内外温度差に起因するひび割れの設計照査と施工条件との一致確認とひび割れ抑制対策する。

3)梁柱高密度配筋:コンクリート分離、沈下+鉄筋拘束乾燥収縮のひび割れ対策

2. 留意・工夫点を含めた業務遂行手順

1) 安全管理:①墜落リスクは、層間ネットと金網設置を設置しリスク低減する。②転壊リスクは、BIM安全計算とAIと施工写真一致確認を行いリスク低減する。③公衆災害リスクは、ⅰ俯角75°4.1m以上の離隔とⅱ強固な区画とⅲ交通誘導員の配置でリスク低減する。

2)マスコン照査確認とひび割れ防止策:①設計段階の温度ひび割れ照査と施工条件の不一致の場合は、発注者や設計者と再検討し、リスク低減する。②抑制策の検討ⅰ)配合段階で水和熱抑制のため低発熱型セメントを使用し、水和熱ひび割れの発生リスクを低減する。ⅱ)製造段階でプレクーリングと運搬時高温とならないよう温度管理方法を検討実施し、リスク低減する。ⅲ)施工計画→打設数量と継ぎ目位置時間間隔と誘発目地位置パイプクーリングを行い、リスク低減する。

3)梁柱高密度配筋に起因する分離とひび割れ:①分離:鉄筋相互間隔を1.5D且1.25Gmax且25mm以上とし、リスク低減する。②沈下と乾燥収縮に起因するひび割れⅰブリーディング対策でタンピング実施することで、リスク低減した。ⅱ(高)AE減水剤で単位水量を減少させる配合で、リスク低減した。

3.効果的進捗への関係者調整

2)マスコン:発注者より、ひび割れをゼロにとの品質要求がある。プラントと協議したら、効果があるが高価である低熱セメント不採用の要望があり、躯体会社からも長期養生で工程遅延するので不採用の要望があった。3社の意見に対し、発注者要望のひび割れ低減効果があり、プラントが原価低減でき、躯体会社要望である養生期間短縮効果のある中庸熱セメントを採用し、効率的調整をした。

模範解答2   (完成答案)    添削履歴3    作成日2020/4/18    建設部門  科目:施工管理    専門事項 施工計画

1.調査、検討事項          

1)H15m張出し式橋脚の安全管理 

墜落、飛来落下、転壊について、張出し部作業の危険因子を調査し、足場やネットや施工法を検討する。

2)マスコンクリート管理  

フーチング他大断面に対してコンクリート内部の温度上昇因子を調査して、セメントの水和熱に起因する調合や養生を検討する。

3)梁柱の鉄筋施工 

梁鉄筋の太さ、重量、間隔を調査して、調合や施工法を検討する。

2.業務手順     

1)安全管理  

まず、足場組立を行う。張出し部から墜落と落下物の危険因子がある。墜落と落下物のリスクは、隙間がないステージ構造とし、低減させる。足場型枠間の隙間はネットで塞ぎ、隙間が最小限となるよう工夫する。

 次に張出し梁下型枠を組み立てる。ハンチ形状であるため転壊リスクがあるため、ハンチ型枠とサポート受部にキャンバーを設置し、低減させる。勾配に応じた耐重圧強度のある仕様とし、面で受ける工夫をする。

2)マスコンクリートの温度差ひび割れ防止策

まず配合では、水和熱抑制のため低発熱型のセメントを使用し、内外温度差を少なくし、水和熱ひび割れ

の発生を抑制する。また骨材をプレクーリングし、コンクリート温度を抑制する工夫で、更に低減できる。

次に製造運搬は、プレクーリングと運搬時に高温とならないよう生コン車ドラムに断熱シートを巻く等でコンクリートの温度上昇を防ぎ、ひび割れを抑制する。

施工養生では、パイプクーリングを実施し、コンクリート内部の温度上昇を抑制し、ひび割れを抑制する。

3)乾燥収縮ひび割れと沈下ひび割れの抑制

乾燥収縮ひび割れは、単位水量を低減することで抑制する。高性能AE減水剤の使用で単位水量を減少させ、乾燥収縮低減剤を併用する工夫で抑制する。

次に沈下ひび割れは、材料分離を防止することで、単位水量低減し、コンクリート打設直後にタンピングをすることで抑制する。更に、メッシュ筋や上端ふかし補強筋を追加配置する工夫で抑制する。

3.効果・効率的な進捗のための関係者調整

 発注者より、マスコンクリートのひび割れをゼロにするよう、品質要求があった。プラントと協議し、ひび割れ抑制効果が最も高いが、高価である低熱セメントの採用を断られた。一方、躯体会社からも、長期養生期間を要し、工程遅延するため拒否された。私は、発注・設計者とひび割れ再照査し、3社の合致点である中庸熱セメントを採用し、品質コスト工期のバランス考慮により、効果・効率的な進捗のためプロジェクトマネージャーとして、関係者を取りまとめた。 

解説

(1)課題の分析のしかたについて

課題文の条件から素直に課題を抽出する。予測や想定ではいけません。

この答案では調査項目と検討事項だけで良かったのに、対策まで踏み込んでしまったようです。必要な事項を簡潔に書くようにしてください。

一応分析はされているようですが、皆さん即対策を求める習慣が強いために、じっくり分析できていらっしゃらないようです。落ち着いて段階を追って分析する姿勢をつけるようにしてください。

調査→検討分析→提案方策対策の3ステップを確実に書き出し論説する癖をつけることです。

(2)解決策の提案、方策の考え方、書き方などについて

文末尾は、〜する。という形に統一してください。

手順が変わったら、段落を改行する。自然な文書でまとめるように。

解決策は自分が経験したことをもとに記述し、憶測で解答しない。具体性に欠ける、疑わしいなど、技術士の品位誠実性に欠けるので絶対に避けるのがよいでしょう。

手順が多すぎても、逆にわかりにくくなり、伝わらないので、絞って説明するように。

回りくどい説明は、わかりにくいので、避けることが望ましいです。

(3)留意点などの考え方、書き方などについて

方法論の後に、留意・工夫点という記述順序の方がわかりやすいです。

(4)調整の考え方、書き方などについて

関係者は2者以上として、それぞれの異なった意見要望に対し、私が提案するすり合わせで、QDC各要素や効果バランスで最も良いとういうような理由説明を行ってください。

具体的には、プロマネとして、こう取りまとめたということを記述することです。

文末尾は、「〜により関係者調整した」と記述するのでなく、別の言葉に置き換えた方がよいでしょう。例えば、「〜により関係者を取りまとめた」というような文末が良いと思われます。

模範解答3   (簡易答案1)    添削履歴4    作成日2020/8/4    建設部門  科目:施工管理    専門事項 施工計画

1. 調査、検討すべき事項

① 地域の気象データ(特に風速)を調査し、仮設足場の耐風、層間ネット等落下防止対策を行い、枠組足場の固定方法を検討する。

② コンクリートの内部温度解析を調査し、マスコンの温度ひびわれ防止対策のため、パイプクーリングやひび割れ誘発目地の設置を検討する。

③ 躯体の配筋を調査し、高流動コンクリートの施工計画を検討する。

2.業務実施手順 留意・工夫を要する点 

①  安全管理:足場作業床の隙間の層間ネット設置で落下物対策、足場組立・解体時の作業員の墜落リスク、壁つなぎ高さ2段、水平8m取付で強風時の倒壊リスクに留意する。

② コンクリート打設:温度ひび割れ対策に低熱セメントを使う。高流動コンクリートは塑性粘度が大きくポンプ圧送は低圧とする。打設割りを検討し、打継間隔は短くする。

③過密配筋防止策:鉄筋が密な箇所では同一箇所3本以上重なる場合などは鉄筋ピッチ、部材断面の変更など過密鉄筋防止策、端部調整ピッチを行う。

3.効率的進捗のための関係者調整 

1)パイプクーリング通水温度制御:発注者からひびわれ抑制の要請があり、温度ひびわれ制御のため、パイプクーリングを行った。パイプクーリングは煩雑とならないヒートパイプを用いた工法の施工性等メリットを取りまとめ発注者に導入提案し、結果、クラックなしであった。

2)コンクリート打設工程管理:ポンプのホースを型枠下面まで入れないと豆板発生の懸念するため、プレハブ鉄筋で脱着化した。プレハブ鉄筋はコスト増となるが並行作業で工期短縮となるため、QCDバランス勘案・効率化により関係者を取りまとめた。

添削時の指導

(1)高さ15mの張出し式橋脚の安全性、マスコンクリート、鉄筋密構造 この3つの与条件に対応した計画をするように

(2)「手順」とは計画・施工順序に従って3〜5の段階で時系列に示す

(3)関係者とはだれか?複数挙げ、それぞれの主張、要求、意見の食い違いを示す。

関係者に対して(私は)何を申し入れるか。具体的に。

それによって、手順が効率化されるものであること。

予想される相手からの厳しい反対意見、要求は何か。

反対意見に対して、譲歩、交換条件はなにを提供するか。

関係者から、最終的にどのような結果を引き出すか。

関係者とWIN-WINの関係を維持して取りまとめる。

 

模範解答3   (簡易答案2)    添削履歴0    作成日2020/8/10    建設部門  科目:施工管理    専門事項 施工計画

1.調査、検討すべき事項

①  地域の気象データ(特に風速)の調査

気象データから仮設足場の耐風設計、層間ネット等落下防止対策を行い、枠組足場の固定方法を検討する。

②  コンクリートの内部温度解析の調査

マスコンの温度ひびわれ防止対策のため、温度応力解析結果からパイプクーリングやひび割れ誘発目地の設置を検討する。

③  躯体の配筋の調査

配筋が密な箇所では高流動コンクリートの使用を検討し、施工計画する。

2.業務実施手順 留意・工夫を要する点 

①    安全管理

足場作業床の隙間の層間ネット設置で落下物防止対策、足場組立・解体時の作業員の墜落リスク、壁つなぎを高さ2段、水平方向8m取付で強風時の倒壊リスクに留意する。

②  コンクリート打設

温度ひび割れ対策に低熱セメントを使う。製造時のプレクーリング、運搬時の温度上昇低減対策を検討する。高流動コンクリートは塑性粘度が大きいため、ポンプ圧送は配管径を大きくし、低圧で設定する。打設リフト割りを検討し、打継間隔は短くする。

③過密配筋防止策

鉄筋が密な箇所で同一箇所3本以上重なる場合などは鉄筋ピッチ、部材断面の変更など詳細寸法図作成、調整して、過密鉄筋防止策を行う。また、端部調整ピッチを行う。

3.効率的進捗のための関係者調整 

①パイプクーリング温度制御:発注者からひびわれ抑制の要請があり、温度ひびわれ制御のため、パイプクーリングを実施した。パイプクーリングは冷却水の調達や設備が必要なく、作業性が向上するヒートパイプを用いた工法の施工性等メリットを取りまとめ発注者に導入提案し、結果、クラックなしであった。

②  コンクリート打設工程管理:ポンプのホースを型枠下面まで入れないと豆板発生の懸念するため、コンクリート打設時の上側の鉄筋の脱着・再結束作業が生じて、鉄筋工から作業性の改善要望の申し出があった。そこで私は機械式継手も併用したプレハブ鉄筋のユニット化を提案した。プレハブ鉄筋はコスト増となるが並行作業で工期短縮となるため、QCDバランス勘案・効率化により発注者、躯体工、鉄筋工等の関係者を取りまとめた。

解説 このように考えて解いてください。

(1)課題の分析のしかたについて 

設問で与えられた条件から課題を3つ程度挙げて、調査、検討を記載するように。

設問から現場をイメージして、現場に特化した具体的な課題を示すと正解しやすいです。

(2) 解決策の提案、方策の考え方、書き方などについて

課題のそのものの解決策を記載するように意識する。

解決策を提案した理由、根拠も記載するように。

自身が保有する技術、工法の導入も提案する。

調査、検討した内容と関連付ける。

(3) 留意点などの考え方、書き方などについて

将来起こりうる問題点についての解決策を記載する。

課題に対して実施すると効果的な工夫も記載する。

(4) 調整の考え方、書き方などについて

関係者を複数挙げ、それぞれの主張、要求、意見の食い違いを示す。

関係者の意見等をする合わせるための施工性、経済性、安全性の最も効果がある工法等を提案し、取りまとめることを提案するとよいでしょう。

関係者とWIN-WINの関係であることを言うように。

作業名ではなく、工程管理の内容が分かるように記載する。 (×鉄筋取り外し、○コンクリート打設工程管理)

取りまとめ、調整した結果、どうなったかも記載するように。 (例:工程の遅れを回避した。ひび割れは発生しなかった等)

R1/2019年 建設・施工 Ⅱ−2−2

問題用紙  Ⅱ-2-2   

 住居地域にある4車線の幹線道路を横断する老朽化した現場打ち鉄筋コンクリートボックスカルバート(内空幅1.8m×内空高1.8m,土被り1.2m)を撤去し,プレキャストボックスカルバート(内空幅2.5m×内空高2.0m)に更新する工事の施工計画を策定することとなった。この業務を担当責任者として進めるに当たり,下記の内容について記述せよ。なお,施工方法は開削工法とし,道路の車線規制は夜間のみ可能,カルバートは農業用排水及び雨水排水を兼ねた行政が管理する施設である。

(1)    調査,検討すべき事項とその内容について説明せよ。

(2)    留意すべき点,工夫を要する点を含めて業務を進める手順について述べよ。

(3)    業務を効率的・効果的に進めるための関係者との調整方策について述べよ。

 

模範解答1   (簡易答案1)    添削履歴4    作成日2020/5/4    建設部門  科目:施工管理    専門事項 施工計画

1.調査、検討事項

①プレキャストボックスカルバートの重量の調査および作業半径の検討

②過去の雨量データの調査および仮設ポンプの検討

③側道、住宅等の有無の調査および交通誘導員配置人数の検討

2.業務手順(留意点および工夫を要する点)

①施工 

プレキャストボックスカルバートの重量及び作業半径から、布設に伴うクレーンの選定を行う。また、規制内での作業となりカルバートの長さも決まっているため、割付図を作成し布設位置のずれに留意する。

②水替え

 過去5年分の雨量データの統計をとり使用期間中の排水量の予測をたて水中ポンプの性能を決める。また、予備の水中ポンプも同時に配置することにより、故障時即座に対応がとれるよう留意する。

③交通規制

 側道や住宅の件数から交通誘導員の配置人数を決める。工事開始前には工事予告看板や近隣住民への説明会を開催し円滑に工事を行えるよう留意する。

3.関係者との調整方策 

①施工の円滑化に向けた調整

資材に関しては品質と資材単価を比較して資材会社を選定する。ボックスカルバートの搬入時期については、資材製作担当者とこちら側の工程表、製品の製作能力の擦り合わせを行い、最適な資材搬入時期の決定をする。これにより、工事の停滞を防ぎ、円滑な施工が行える。

②進捗率向上に向けた調整

 施工業者に関してはボックスカルバート布設時に熟練の技術が必要であり、施工進捗の要であるため、施工業者と契約時には熟練作業員が常駐できることを条件とした施工業者選定を行う。また、常駐による追加費用については施工進捗に重要であることを当社部長に説明を行い了解を得る。これにより、施工進捗率を向上させることができる。

 

模範解答1   (簡易答案1)    添削履歴4    作成日2020/5/4    建設部門  科目:施工管理    専門事項 施工計画

(1) 調査、検討事項

①カルバート重量を調査し、布設に使用する機械を検討する

②既往降雨量を調査し、施工時の排水処理方法を検討する

③各作業に必要な施工幅を調査し、車線規制方法を検討する

(2)業務手順(留意点および工夫を要する点)

①  施工

資材製作会社にプレキャストボックスカルバート1個当りの重量および寸法の確認を行い、平面図および断面図よりクレーン据付位置を決める。重量および作業半径から布設に必要なクレーン性能を割り出し、クレーンの選定を行う。

選定条件の基準は、最も大きい作業半径を基に定格総荷重を求め、荷の質量に吊具の質量を足した値を定格総荷重以下にする。

②  水替え                  

工事地区の過去5年分の雨量データの統計をとり、最大流量を算出し使用期間中における排水量の予測をたてることにより、水中ポンプの性能を決める。

また、局地気象情報・警報閲覧システムを活用することにより、1㎞メッシュのリアルタイム気象予測がアラートメールにて取得でき、作業可否判断の効率化を図る。

③交通規制

使用機械や施工工程を基に掘削・撤去・布設作業における作業幅員を決きめる。作業毎の幅員に応じて片側交互通行、対面通行の車線規制方法を計画する。

また、規制箇所及び50m、100mにLED電光掲示板を設置し、夜間の交通規制の視認性を向上させ一般車両の交通事故リスクを低減させる。

(3)関係者との調整方策

①工程の遅延防止に向けた調整  ↓今後は簡潔にしてください

 施主からは、カルバート布設の進捗率を上げるため、熟練工を求められる。しかし、同施工業者から熟練工は多忙を理由に拒否される。そこで、私は初回布設時に熟練工を招き、施工要領を作成し、以後の工事のスピード化に反映する。こうして施主と業者の異なる意見を取りまとめて、工事の効率化を図る。

②業務の効率化に向けた調整

 農業事務所からは、農業用排水路の早期開通を求められ、道路管理者からは夜間のみの片側交互通行が求められる。また、近隣住民からは騒音の低減が求められる。そこで、私はカルバート断面を分割し1/2とし、下部を先行開通させる。これにより早期に農業用排水機能の確保ができ、施工断面を小さくすることによる静音化、交通対応の容易化を実現できる。こうした合理化案で3者を取りまとめ業務の効率化を図る。

 

模範解答1   (完成答案)    添削履歴4    作成日2020/6/14    建設部門  科目:施工管理    専門事項 施工計画

(1) 調査、検討事項

①振動・騒音

 事前に近隣の住宅と施工箇所までの距離を調査し、減衰計算により想定される振動・騒音量から既設構造物の撤去時の重機の低振動・低騒音化を検討する。

②楊重機械

カルバート重量を調査し、最大作業半径12mで吊荷8tの場合の安定モーメントと転倒モーメントから安定度を算出し、楊重機械を検討する。

③施工期間中の水路水替え

既往降雨量を調査し、過去5年分のデータの統計から排水量を予測し水中ポンプの性能を検討する。

(2)業務手順(留意点および工夫を要する点)

①既設撤去作業

 既設構造物の取壊しには超低騒音油圧ブレーカーによる破砕と圧砕機を併用することにより、振動・騒音を基準値の55dB以下にする。打撃エネルギーによる破砕が騒音原因になりやすいため、圧砕機での取壊しを基本とし、補助作業として油圧ブレーカーを使用する。

②布設作業

クレーン作業シミュレーションソフトを活用することにより変化する現場状況に対応した正確なクレーン計画を立案する。また、吊荷時には無線式の吊荷監視カメラを活用し運転操作時にモニタ―にて確認しながら作業して接触事故防止を図る。

③水路水替え

工事地区の過去5年分の雨量データの統計をとり、最大流量を算出し使用期間中における排水量の予測をたてることにより、水中ポンプの性能を決める。また、局地気象情報・警報閲覧システムを活用し、全ての現場従事者とシステム共有する。上流側での線状降水帯の発生をアラートメール機能により瞬時に全従事者に通知し、中止避難の指示を出す。

(3)関係者との調整方策

①工程の遅延防止に向けた調整

施主からは、カルバート布設の進捗率を上げるため、熟練工を求められる。しかし、同施工業者から熟練工は多忙を理由に拒否される。そこで、私は初回布設時に熟練工を招き、施工要領を作成し、以後の工事のスピード化に反映する。こうして施主と業者の異なる意見を取りまとめて、工事の効率化を図る。

②業務の効率化に向けた調整

農業事務所からは、農業用排水路の早期開通を求められ、道路管理者からは夜間のみの片側交互通行が求められる。また、近隣住民からは騒音の低減が求められる。そこで、私はカルバート断面を分割し1/2とし、下部を先行開通させる。これにより早期に農業用排水機能の確保ができ、施工断面を小さくすることによる静音化、交通対応の容易化を実現できる。こうした合理化案で3者を取りまとめ業務の効率化を図る。

解説

(1)課題の分析のしかたについて 

問題文から何が重要度が高く、何が重要度の低い事項であるかを見極める力が必要です。

工事の本施工に直結する課題が大切で、附帯的な作業に対する課題では好ましくありません。

問題文で述べられている状況をリアルにイメージする卒様があるので、書かれていることを図で描いてみて、課題を探すと答えが見つかります。

課題をたくさん羅列し、その中で有効な解決策が表現できそうな課題を選ぶことで楽に正解できます。

(2) 解決策の提案、方策の考え方、書き方などについて

解決策の提案には、その部門の専門用語を使い、専門家らしい言葉を使うと技術士らしい解答になり得点しやすいでしょう。

提案は定量的に、施工の目標値や基準値などを調べて表現するように。

(3) 留意点などの考え方、書き方などについて

当たり前のことを書くのではなく、留意事項をより掘り下げて、どのような工夫をするかを表現するように。

NETISなどの新技術を活用するとともに、そうした技術の活用法を考えることです。

(4) 調整の考え方、書き方などについて

他人への工事の依頼などは、技術ではない。

工期短縮や安全、環境対策などを目的とする改善について書くと良いでしょう。

一人の意見だけではなく、何人もの異なる意見をまとめるよう表現すること。

問題文からどのような問題が発生しうるか、想像することが大切です。想像して仮説を立てて対策を検討するように。

R1/2019年 建設・施工 Ⅲ−1

問題文  Ⅲ-1

  「公共工事の品質確保の促進に関する法律」の基本方針には、公共工事に従事する者の賃金その他の労働条件、労働環境が改善される様に配慮されなければならないと明記され、「発注者の責務」「労働者の責務」が定められている。国土交通省は、これまで継続的に公共工事設計労務単価を引き上げてきているが、技能労働者の賃金は製造業と比べ未だ低い水準にあり、引き続き建設業団体に対して適切な賃金の確保を要請している。

 一方、こうした養成を踏まえ、一般社団法人日本建設業連合会は「労務費見積尊重宣言」を行い、一次下請企業への見積り依頼に際して、適切な労務費(労務賃金)を内訳明示した見積書の提出要請を徹底する事により、さらなる賃金引き上げを実現していくとの考えを示している。このような背景を踏まえ、建設工事の直接的な作業を行う技能労働者について下記の問いに答えよ。

(1)技能労働者の労働条件及び労働環境の改善、それに必要な費用の確保のそれぞれに関し、技術者としての立場で多面的な観点から課題を抽出し分析せよ。

(2)(1)で抽出した課題のうち最も重要と考える課題を1つ挙げ、その課題に対する複数の解決策を示せ。

(3)(2)で示した解決策に共通して新たに生じうるリスクとそれへの対策について述べよ。

模範解答1  (答案形式)  添削履歴 1回 2019.7.22 専門事項 工程管理

1.労働条件及び労働環境改善の費用確保について

(1)週休2日の休日確保

 働き方改革により建設業にも週休2日を取り入れる現場が増えてきたが、まだ一部にすぎない。建設業界全体で休日を確保し、建設従事者における福利厚生を充実させる事が課題である。将来、休日が確実に確保できる業界になれば、建設業の魅力が向上し、若年者が入職して人材不足が解消され、業界として大きな利益になる。

(2)肉体的疲労の軽減

 建設業における技能労働者の肉体的な作業負担軽減を図る。直接作業に携わり、ものづくりをする作業の作業に対する疲労、負担を軽減する為にロボット等で負担を軽減する。その機械等を導入しサポートする体制が整っていないのが課題である。技能労働者への負担軽減が生産性を向上させ、最終的には利益となり労働環境改善の費用を賄う事とできる。

(3)労働時間の短縮

 建設業は他産業に比べた場合、拘束時間が長いために敬遠される事が課題である。コンクリート打設となれば1日の拘束時間が12時間以上となる時もある。拘束時間や作業時間を短縮する事で、労働環境を改善でき、工程も短縮させるには、2次製品等のプレキャスト製品で構造物等を築造する。これにより、工程を短縮させ、作業効率を向上させることができ費用対効果があり、採算がとることができる。

2.休日の確保

(1)工期設定

 働き方改革により休日を確保することが必要になり、工期の短縮が求められる。施工方法の工夫及び新技術を採用して工期を短縮する努力をしている。但し、施工方法の工夫や新技術の採用には多大な費用が必要であるため、大幅な工期短縮は困難である。対策としては、工期設定をする段階で工事作業員の平準化を図り作業員が交代で休日がとれる工程管理を行うことで、作業員の負担が軽減されると考える。

(2)作業の効率化

 建設現場における作業の効率化や生産性の向上を図るためにICT技術を用いて作業を行う。ICT搭載重機等を使用することで、作業能力が向上し生産性を高めることができる。また、型枠の代わりにプレキャストブロック等を採用し型枠に関する日数及び費用を縮減する。作業を効率化し作業員総員を減らす事で作業員の負担を軽減する。

(3)施工体系の強化

 建設業界は、多重構造のため下請企業が5次・6次までおよぶこともある為、下請企業に従事する労働者に対して十分な賃金の支払いができない場合がある。対策として、最低賃金制度を制定し、各労務費に対して基本の最低賃金を確保できるように水準を決める。水準を下回った企業には、勧告指導の対象とする制度とし、最低労務費を確保する。

3.働き方改革の解決策におけるリスクと対策

(1)工期設定

 休日を確保するために、作業員の平準化させる工程管理を実施する。工程管理上、絶対に守らなければならない期間に対して人手をかけ過ぎて作業員の負担が増加するリスクがある。対策として、元請だけでなく下請の意見を踏まえた工程管理をする。

(2)作業効率化

 プレキャスト化により作業効率化を図る事により作業員の負担を軽減する。プレキャスト化により現地と取付部との取り合いが困難になるリスクがある。対策として、事前に取付部との接合部に関して効率的に作業できる計画を立案する。

(3)ICT技術の活用

生産性を向上させる為にICT技術を活用し、作業労働時間の短縮、工程短縮等を図ることができる。ICT技術の操作をマスターする為に残業、工程の遅延等のリスクがある。対策としては、使用する場面に合わせたICT技術を選定し、不要な箇所では従来工法、必要な箇所ではICTを行い、従来工法と併用する。

模範解答2  (簡易答案1)  添削履歴 3回 2019/9/16 専門事項 工程管理

(1)働条件及び労働環境の改善等の課題抽出、分析

① 施工時期の平準化

 発注工事が単年度契約のため、工事量が年間を通してバラツキがある。施工時期の平準化のため、複数年契約や地域維持型契約を導入して、建設機械や技能労働者などのリソースを効率的に運用することにより企業経営健全化や労働者の処遇改善を図る。

② コンクリート工の規格の標準化

土木構造物は一品受注生産のため、非効率、割高となる。建設プロセスの全体最適化のため、プレキャスト化、ユニット鉄筋など導入し、生産性向上を図る。

③ ICTの全面的な活用

建設現場はきついなど3Kのため、職場環境が厳しく技能労働者の人手不足となっている。賃金向上など新3K実現のため、ICTを活用し、生産性向上を図る。

④ 重層下請構造の改善

 重層下請構造のため品質面の低下や下請の対価減少、労務費のしわ寄せとなっている。重層下請構造の改善のため、施工管理しない下請会社の排除、専門工事業者の技能労働者の直接雇用し、就労環境改善を図る。

(2)最も重要と考える課題と解決策

(1)③ICTの全面的な活用が最も重要と考える。なぜなら、生産性向上が技能労働者の労働環境に直接つながるためである。解決策を以下に述べる。

①  現場作業の安全確保の3DMC、3DMGの重機など ICT建機を導入して、遠隔操作による無人化施工する

②  現場コンクリートの施工管理はICTを使ってウェブサーバー上で一元管理する。更にCIMを使って維持管理を効率化する。

③  設計段階から3次元プロダクトモデルを使って、設計・施工・維持管理の合理化する。施工における「見える化」で手戻りや不具合を防ぐことができる。

④  鉄筋組立をロボットで行う。人が配筋作業していたのを自動化で安全確保する。

(3)(2)で示した解決策に共通して新たに生じうるリスクと対策

ICT建機に依存することにより技能労働者のスキル低下が懸念され、ICTに対応していない建設現場では施工の品質低下のリスクがある。対策は技能労働者のスキル向上のため、定期的に既存建機を使った訓練や研修を受講させて、人材育成する。

模範解答2  (簡易答案2)  添削履歴 3回 2019/9/23 専門事項 工程管理

(1) 労働条件及び労働環境の改善等の課題抽出、分析

① 施工時期の平準化

 公共工事は単年度予算に従った契約のため、工事量が年度末は多く、繁忙期となる。一方、年度初めは少なく、閑散期となり、年間を通しての工事量の偏りが激しい。施工時期を平準化し、年間を通して工事量の安定化するため、複数年契約や地域維持型契約を導入して、建設機械や技能労働者などのリソースを効率的に運用することにより企業経営健全化や技能労働者の処遇改善を図る。

② コンクリート工の規格の標準化

土木構造物は一品受注生産などのため、量産化が進んでおらず非効率、割高となっている。建設プロセスの全体最適化のため、コンクリート工など現場での打設、型枠工などにプレキャスト化、ユニット鉄筋などを導入し、生産性向上を図る。また、熟練工でなくても施工が容易となる。

③ ICTの全面的な活用

建設現場は「給料が安い」「休暇が取れない」「危険」の3Kのため、職場環境が厳しく技能労働者の人手不足となっている。省人化、省力化するため、ICTを活用し、生産性向上を図る。この結果、技能労働者の「休暇が取れる」などの新3Kを実現につながる。

④ 重層下請構造の改善

 重層下請構造のため品質面の低下や下請の対価減少、労務費のしわ寄せとなっている。重層下請構造の改善のため、施工管理しない下請会社の排除、専門工事業者の技能労働者の直接雇用し、就労環境改善を図る。

(2)最も重要と考える課題と解決策

(1)③ICTの全面的な活用が最も重要と考える。なぜなら、生産性向上が技能労働者の労働環境の改善に直接つながるためである。解決策を以下に述べる。

①  現場作業の安全確保のため、3DMC、3DMGの重機など ICT建機を導入して、遠隔操作による無人化施工する。これにより人が立ち入れない、二次災害の懸念がある現場でも施工ができる。

②  現場コンクリートの施工管理はICTを使ってウェブサーバー上で一元管理する。これによりコンクリート工などの熟練技能がなくても施工が容易となる。更に施工後はCIMを使って点検、補修履歴情報を含めていくと維持管理が効率化する。

③  設計段階から3次元プロダクトモデルを使って、設計・施工・維持管理の合理化する。施工における可視化により作業の手戻りや不具合を防ぐことができる。

④  鉄筋組立をロボットで行う。人手に頼っていた配筋作業を自動化すうことにより鉄筋工など熟練技能が不要となり、安全性も確保できる。

(3)(2)で示した解決策に共通して新たに生じうるリスクと対策

急速に進展するICTの新技術を現場導入する際に基準、仕様等に適合できないリスクがある。対策として、仕様規定から性能規定へ仕様の見直しや作業の自動化による品質検査項目の大幅な簡素化など柔軟な対応ができるよう基準、仕様等の適切な改善などに取り組む。

模範解答2  (簡易答案2)  添削履歴 10回 2020/2/2 専門事項 工程管理

(1)労働条件及び労働環境の改善等の課題抽出、分析

(1.1)労働条件及び労働環境の改善

① 適正な価格による契約推進

技能労働者の適正な賃金を確保するため下請契約の契約金額を適正に行って、受注者の賃金原資を確保する。市場における労務、資材等の取引価格、施工の実態等を的確に反映した適正な予定価格を設定しておく必要がある。

② 建設キャリアアップシステムの活用

優秀な技能者の処遇改善を図るため建設キャリアアップシステムを活用し、本人情報・資格・就業履歴の蓄積、社会保険加入など登録し一元管理し、適切な能力評価を行う。

③ 生産性向上

技能労働者の処遇改善のためi-Constructionを推進して生産性向上を図る。建設現場を労働集約型手法から資本集約型手法に転換し、省人化・省力化する。これにより技能労働者の労働環境の改善、いわゆる新3K(休暇が取れる、給料がよい、希望が持てる)につなげる。

(1.2)必要な費用の確保

①設計VEの導入、NETIS登録の新技術等の積極的な導入、建設副産物の再生利用などで公共工事をコスト縮減し、その利益から、必要な費用を確保する。

 (2)最も重要と考える課題と解決策

(1.1)③生産性向上による処遇改善が最重要課題であり、そのためにICTや3D技術、標準化を利用して効率化、つまりi-constructionなどを中心に行う。

①  建設工事でのICTの活用

 高速かつ高品質な建設作業を実現するため建設現場で3次元測量、CIM、ICT建機による無人化施工など情報通信技術等を活用して生産性向上する。

② コンクリート工の標準規格化

業務効率化のため、大型PCa、高流動Co等を活用して省人化、工事短縮する。  

③  発注・施工時期の平準化

工事量を安定化させ、人や重機類のリソースを効率的に運用するため、2か年契約などを導入し、工事量を平準化する。

(3)リスク:技能労働者の失業者増加

技能労働者の処遇改善し、賃金が向上するが、更にICTが発達すると技能労働者の仕事がICTに代替えとなり、仕事量が減少し失業者が増加する。

対策1:技能労働者は新技術に対応したスキル向上のため、建設リカレント教育等を活用して多能工や熟達した作業能力、現場マネジメント能力の能力開発を行う。

対策2:失業者は第四次産業革命で発展するIT産業やシェアリングエコノミーなどの情報サービス業等へ転職できるようにする。そのため、デジタル時代に対応できるように21世紀型スキルをリカレント教育など通して修得する。

模範解答2  (答案形式1)  添削履歴 3回 2019/10/12 専門事項 工程管理

(1)労働条件及び労働環境の改善等の課題抽出、分析

① 施工時期の平準化

 公共工事は単年度予算に従った契約のため、工事量が年度末は多い。一方、年度初めは工事量が少ない。年間を通しての工事量の偏りが激しい。このため、技能労働者の収入も不安定となる。施工時期を平準化し、年間を通して工事量を安定化するため、複数年契約や地域維持型契約を導入して、建設機械や技能労働者などのリソースを効率的に運用することにより企業経営健全化や技能労働者の処遇改善を図る。

② コンクリート工の規格の標準化

土木構造物は一品受注生産などのため、量産化が進んでおらず非効率、割高となっている。建設プロセスの全体最適化のため、コンクリート工など現場での打設、型枠工などにプレキャスト化、ユニット鉄筋などを導入し、生産性向上を図る。また、熟練工でなくても施工が容易となる。

③ ICTの全面的な活用

建設現場は「給料が安い」などの3Kのため、職場環境が厳しく技能労働者の若手入職者が少なく、処遇がよくないことから定着率も悪くなり労働力不足となっている。また、建設業は一品受注生産などの生産体制のため、人手頼りの作業になり、量産化が進んでいない。省人化、省力化するため、ICT/IoT、AIなどを導入し、生産性が高く、魅力的な新しい建設現場の実現を図る。この結果、技能労働者の「休暇が取れる」などの新3Kの実現につながる。

 (2)最も重要と考える課題と解決策

(1)③ICTの全面的な活用が最も重要と考える。なぜなら、生産性向上が技能労働者の処遇改善に直接つながるためである。解決策を以下に述べる。

①  ICT建機による無人化施工

現場作業の安全確保のため、3DMC、3DMGの重機など ICT建機を導入して、遠隔操作による無人化施工する。これにより人が立ち入れない、二次災害の懸念がある現場でも施工ができる。

②  ICTを活用した現場コンクリートの施工管理

現場コンクリートの施工管理はICTを使ってウェブサーバー上で一元管理する。これによりコンクリート工などの熟練技能がなくても施工が容易となる。

③  3次元プロダクトモデルによるCIMの導入

設計時の形状、工場制作時の原寸形状、各段階で付与する属性情報を包含し、一元的にデータ交換可能な3次元プロダクトモデルによるCIMを導入する。更にフロントローディングにより従来、施工・維持管理段階で検討していたようなことを設計段階で配慮し、施工しやすく、維持管理しやすい設計にすることで施工・維持管理段階の手戻りや施工ミスを防ぎ、技能労働者の負担を軽減することができる。

 (3)(2)で示した解決策に生じうるリスクと対策

リスク:

①  技能労働者のスキル低下が懸念され、ICTに対応していない建設現場などで施工が品質低下する。

②  ①に伴い、技能伝承も十分になされなくなるおそれがある。

対策:

①  建設キャリアアップシステムを活用し、技能労働者の保有資格や経験などを適正に評価し、スキルアップが処遇に反映できるようにする。さらにこれらの取り組みで人材育成を行っている専門工事会社が評価され受注につながるようにする。

②熟練者のノウハウを暗黙知から形式知化し、ノウハウのデータベース化を構築し、Off-JT+OJTにより体系的教育で人材育成を行うナレッジマネジメントで技術伝承を確実に行う。

模範解答3 (答案形式1)  添削履歴 8回 2019/9/30 専門事項 工程管理

(1)賃金水準の向上と確保の課題

①生産性の向上

バブル崩壊以降、建設投資の削減が続けられ建設技能者が減少した。技能労働者の確保・育成のためには、適切な賃金水準の確保による処遇改善が重要である。課題は、作業の効率化により技能労働者の賃金水準の向上や休暇の取得が可能な生産性の向上である。

②建設キャリアアップシステム

建設業は、長時間労働、休みが少ないことに加え賃金が低いため、若手入職者の減少や技能労働者が定着しない状況である。

課題は、技能労働者の経験やスキルを適切に賃金に反映した建設キャリアアップシステムである。

③ダンピングの防止

構造改革による公共事業の削減により、ダンピング受注が多発した。その結果、下請業者や技能労働者へのしわ寄せにより、賃金水準が低下した。

課題は、技能労働者の賃金を確保する低入札価格調査制度及び最低制限価格制度の適切な活用である。

④予定価格の適正化

自然災害の大規模化による災害復旧の増加により、技能労働者が不足の状況である。技能労働者を確保するため賃金水準の向上が重要である。

課題は、市場における労務及び資材の取引価格や施工の実態を反映した、予定価格の適正化である。

(2)最も重要な課題と解決策

最も重要な課題は、生産性の向上である。

①ドローンの活用

従来の現場踏査は、モノレールやヘリコプターを使用し、建設技能者の運転により調査していた。

しかし、ドローンと3Dスキャナーの活用は、無人飛行のため建設技能者の省人化により生産性が向上する。ドローンの活用は、短時間、広範囲、高精度のデータの取得が可能であるため、生産性が向上する。

②情報化施工

従来の盛土工やのり面工、路床工や路盤工は、丁張りを設置して、バックホーやブルドーザーによる施工である。しかし、情報化施工は、マシンガイダンス機能やマシンコントロール機能など作業の自動化による、建設技能者の省人化により生産性が向上する。熟練工による作業が不要なため、高精度、高効率の作業を実現し生産性を向上する。

③規格の標準化

構造物をプレキャスト化にすることにより、施工現場の複雑な作業を低減することにより、建設技能者の負担を軽減する。プレキャスト化は、工場製作であるため現場条件に左右されず品質が向上する。作業の簡素化により、熟練工は必要とせず、女性や外国人でも施工が可能であるため建設技能者の省人化が図れる。

(3)共通するリスクと対策 

①ヒューマンエラー

1.共通するリスク

技術の高度化により、無知や未経験、不慣れによる操作のヒューマンエラーよる事故の発生である。

2.対策

ヒューマンエラーよる事故の発生を防止する新技術を活用した教育訓練が課題である。

人工知能の的確なアルゴリズムにより、多様化するICT機械の学習方法をプランニングさせ専門知識を学習する。VRを活用し、時間や天候、立地などに左右されない体験型教育により、危険な災害現場などの疑似体験を学習する。

②能力の衰え

1.共通するリスク 

生産性向上は労力が減少するため、技能労働者の技能の低下を招き、熟練した技能を要する災害復旧現場などに対応できなくなるリスクが生じる。

2.対策

技能労働者の能力の低下を防ぐため、実務経験による訓練が課題である。

ARにより実在する風景にバーチャルの視覚情報を重ね、被災地を仮想的に拡張し現実に近い訓練により技能を向上する。団塊世代の高度な熟練技能をOJTとナレッジマネジメントにより訓練し技能を向上する。

模範解答4   (簡易答案1)    添削履歴11    作成日2020/6/6    建設部門  科目:施工管理    専門事項 施工計画

1.  技能労働者の労働条件と環境改善の課題

1)労働時間と賃金の労働条件改善

1次下請けに見積依頼する際、今後は労務費内訳を明示した見積書依頼、提出させ、ゼネコンが了承、賃上げを実現する。賃上げ分で時短労働費補填し、実現する。

2) 機械化により苦渋作業からの解放

屋外寒暖や人力作業や屋外作業や高所作業がある。規格標準化PC工法採用で人力作業を最小限とし、高生産性で費用確保し、機械化し苦渋作業から解放する。

3)ロボット化、自動化施工、ICT建機の採用による高生産性化

 年間労働時間が2063時間と他産業1720時間に比べ20%多いが、UAVやICT建機等を活用し、生産性を向上させ、労働時間短縮し増収分賃金を確保する。

2. 1.1)労働時間短縮と賃上げの解決策

1)建設キャリアアップシステムの導入

 サブコン施工能力の見える化と所属する技能労働者の能力評価制度を導入し、

優良企業の受注で重層下請け構造改善と労務費の皺寄せを防止でき、賃上げする。

2)適切な請負代金で元下請け契約の締結

 受注者からサブコンへ発注時、労務費を明示協議することで、見積単価割増費用を確保し、日給制から完全月給制とし、労働時間短縮と賃上げを実現する。

3)発注者の適切工期設定の監視で時短労働

 短い工期の禁止を監視する許可行政庁が適正請負契約の違反の疑いを通報できる仕組みとし、許可行政庁から発注者へ勧告することで突貫工事防止し時短労働。

新たな共通リスクとその低減対策

1)  小規模サブコンから倒産するリスク

経営難が続いている中小サブコンは、建設キャリアアップシステムの費用負担が厳しく、評価制度で大サブコンへ仕事が集中し、中小サブコン単価割り増し交渉が頓挫し、小サブコン倒産が増加する。

2)  低減対策

中小サブコンのキャリアアップシステム費用を、軽減し後押しする。中小サブコン単価割増しが交渉頓挫は、ガイドラインで最低労務単価を設定する。短工期監視する許可行政庁が単価割増しも通報を受け監督勧告を行い、通報者保護制度を設け、かつ中小サブコン減税等補正措置の併用実施で、倒産リスク低減する。

添削指導

・3つの解決策の全てに共通するリスクを挙げるように。

・1.は今までの経緯があって改善が困難だからです。それをどうやって修正するのか。妙案はありますか。その提案を求めている。

・ダブリは無くす。

・課題にコストダウンとあるものの、費用捻出方法が記載されていません。

・「リスク」の言葉の意味を理解すること。

「リスク」とは、頻度が小さく、マイナスの経済効果の大きいできごとです。

自身の提案に由来して起こるリスクであること。過去のリスク例 笹子トンネル事故(天井板崩落) アンカーの強度不足から崩落(リスク)を予見すべきであった。

公益性の低下を予知できる技術者倫理を測っています。

・課題文で大事なのは、働き方改革による技能労働者の改善解決策がメインです。

労務や賃金を記載要求されているのに、それを書かないと、評価されません。

・タイトルは、20字以下でシンプルに書くように。

・課題は、①賃金労働時間②環境③高生産化、をそれぞれ分けて記載する。ダブリを防止するように。

・1.の課題は、具体的対策まで記入しないで、おおまかに書くこと。

・リスクの考え方は、技術士にしかできない未来を予測し、警鐘を促す因子を挙げ、解決策を提示することです。

模範解答4   (簡易答案2)    添削履歴1    作成日2020/6/10    建設部門  科目:施工管理    専門事項 施工計画

1. 技能労働者の労働条件と環境改善の課題

1)労働時間と賃金の労働条件改善

今後ゼネコンは、サブコンに対し建設業働き方加速化プログラムを踏まえ、労務費増でコストアップ発注と長時間労働是正をする。サブコンは増額分で、賃上げと休日費用を確保する。

2)規格標準・機械化による苦渋作業からの解放

建設業は、屋外一品生産品のため、寒さ暖さのある屋外作業や人力作業や高所作業がある。規格標準化やPC工法を採用することで、苦渋作業を最小限とする。また機械化することで、苦渋作業から解放され、生産性を高めることで賃上げと機械の費用を確保する。

3)ロボット、自動化施工、ICT建機で高生産性化

 年間労働時間が2063時間と他産業1720時間に比べ20%多い。そのためロボットやUAVやICT建設機械などを活用し、生産性を向上させる。結果として、労働時間を短縮でき、得られた費用により、賃上げとロボットや機械の購入維持費用を確保する。

2.1.1)労働時間短縮と賃上げの解決策

1) 労務増額単価で元下請け契約を締結

 受注者であるゼネコンからサブコンへ仕事を発注する際、労務費を明示見積依頼し、サブコンに値入れ提出させる。請負契約締結前に両者で協議し、労務増額単価をゼネコンが了承発注する。その増額労務単価による費用で、日給制から完全月給制に移行し、労働時間短縮と賃上げを実現する。

2)発注者の適切工期設定の監視で労働時間短縮

 短い工期の禁止を監視する許可行政庁が適正請負契約の違反の疑いを通報できる仕組みをつくる。許可行政庁から発注者へ勧告し、改善することで突貫工事防止でき、労働時間短縮を実現する。

3)建設キャリアアップシステムによる処遇改善

 技能労働者にキャリアパス制度とサブコンの施工力の見える化を導入する。その評価で優良企業が優先的に受注できる仕組みをつくることで、重層下請け構造を改善する。結果として、労務費の皺寄せを解消でき、技能労働者の賃上げを実現する。

3.新たな共通リスクとその低減対策

1)小規模のサブコンから会社倒産するリスク

経営難が続いている中小規模のサブコンは、建設キャリアアップシステムの費用負担が厳しく、評価制度の優先受注により大規模のサブコンへ仕事が集中する。また中小規模のサブコンは単価割り増し交渉が頓挫し、結果として、小規模のサブコンから会社倒産が増加する。

2)低減対策  

サブコンの会社規模である完工高や就業人数に応じて、キャリアアップシステム費用を負担し、単価割増し交渉は、ガイドラインで最低労務単価を設定する。2.3)の短い工期を監視する許可行政庁が労務増額単価に関してもサブコンからの通報を受け付け、ゼネコンへ監督勧告を行う。通報者保護制度を設け、中小規模のサブコンへ減税等の措置を併用実施することで、中小規模のサブコンが会社倒産するリスクを低減する。

模範解答4   (完成答案)    添削履歴1    作成日2020/6/13    建設部門  科目:施工管理    専門事項 施工計画

1.技能労働者の労働条件と環境改善の課題

1)労働時間と賃金の労働条件改善

今後ゼネコンは、サブコンに対し建設業働き方加速化プログラムを踏まえ、適正な価格とするため労務費を増額発注し、現場の長時間労働是正をする。サブコンも労務費増額分で、技能労働者の賃上げと休日費用を確保し、担い手確保と建設業全体の働き方改革関連法の実施を加速化する。

2)規格標準と機械化による苦渋作業からの解放

建設業は、屋外一品生産品のため、雨風雪などの環境変化のある屋外作業や人力作業や高所作業がある。それらの改善策として、屋外・高所作業は、規格標準化やPC工法を採用することで、苦渋作業を最小限とする。また人力作業でなく、機械化することで、苦渋作業から解放され、生産性を高めることで、賃上げと機械購入維持費用を確保する。

3)ロボット、自動化施工、ICT建機で高生産性化

 年間労働時間が、2063時間と他産業1720時間に比べ、20%も多い。そのためロボットやUAVやICT建設機械などを活用し、生産性を向上させる。例えば実績として、平成30年最も主要なICT土工では従来に比べ、3割のべ作業時間を減少、ICT舗装では4割のべ労働時間を減少させた。結果として、労働時間を短縮でき、削減された労務費用により、技能労働者の賃上げとロボットやICT建設機械等の購入維持費用を確保する。

2. 1.1)労働時間短縮と賃上げの解決策

1) 労務増額単価で元下請け請負契約を締結

 建設工事の受注者であるゼネコンからサブコンへ仕事を発注する際、労務費を明示した適正価格の見積りを提出する。請負契約締結前に両者で協議し、適正価格をゼネコンが了承し、仕事を発注する。その適正価格とした増額分費用で、技能労働者の賃上げを実現し、日給制から完全月給制に移行する。従来の長時間労働の原因であった日給制を改善することで、労働時間を短縮する。

2)発注者の適正な工期設定の監視で労働時間短縮

 短い工期の禁止を監視する許可行政庁が、適正請負契約の違反の疑いを通報できる仕組みをつくる。通報により、許可行政庁から発注者へ勧告し、改善することで突貫工事防止する。その方策により、短工期からくる長時間労働の短縮を実現する。

3)建設キャリアアップシステムによる処遇改善

 技能労働者にキャリアパス制度とサブコンの施工力の見える化を導入する。その評価で優良企業が優先的に受注できる仕組みをつくることで、重層下請け構造を改善する。また、技能労働者一人一人の就業実績や保有資格がシステムに登録証明が可能となり、建退協への加入実績も記録できる。結果として、労務費の皺寄せ解消と技能労働者の実力評価による賃上げ、社会保険関連の加入を推進し実現する。

3.新たな共通リスクとその低減対策

1)小規模のサブコンから会社倒産するリスク

経営難が続いている中小規模のサブコンは、建設キャリアアップシステムの費用負担が厳しい。加えて、そのシステムの評価制度により、優良会社の優先受注となり、大規模のサブコンへと仕事が集中する。結果として、中小規模のサブコンは労務単価割り増し交渉が頓挫することとなり、小規模のサブコンから会社倒産が増加する。

2)低減対策  

はじめに、サブコンの会社規模である完工高や就業人数に応じて、建設キャリアアップシステムの費用を負担する仕組みとする。中小のサブコンの負担を軽減し、加えて減税等の措置を併用実施し、経営の後押しをする。

次に、労務単価割増し交渉は、国のガイドライン等で各作業の最低労務単価を設定することで、値下げすることができない仕組みにする。加えて、2.2)の短い工期を監視する許可行政庁が、労務増額単価に関しても、サブコンからの通報を受け付け、ゼネコンへ監督勧告を行うことで防止する。

また、通報者保護制度を設けることで、通報できる環境とし、サブコンの労務費増額をより社会に浸透させる。

解説

(1)課題の分析のしかたについて

1.の課題は、これまでの経緯から改善が困難な解決策を求めています。それをどうやって修正するのか。妙案はありますか。出題者はその提案を求めています。

課題は、①賃金労働時間②環境③高生産化それぞれ分けて記載する。

課題文にある要求事項(費用捻出方法)を記載忘れないように。

労務や賃金を記載要求されているのに、それを書かないと、評価されません。

課題文で大事なのは、働き方改革による技能労働者の改善解決策です。この課題の読み取り力は大事で、それができないか、的外れとなり、評価が低くなります。

タイトルは、20字以下でシンプルにするように。

1.の課題は、普通にやってはできないので、見込みをどうやって行うか、方針のみ取り出し記述するように。

どうして今回それが可能になったのか、それを1.1)に記載すること。

1.1)課題の問題が見えてなく、労働条件の前と後+後にした理由が表記できていない。「befor:何を、after:どう直すか」を示す。→時短労働賃上げ→他産業格差是正・大量退職者補填のため担い手確保と背景目的が問われています。

「ブラックボックス化された部分」とか「各労働条件」とは、何を言いたいのか、言葉が意味不明です。

「コストアップ発注」でなく、「適正価格」での発注の趣旨を正しく表現すること。的確な表現をしましょう。

1.の課題は、具体的対策まで記入しないで、おおまかに書くこと。

(2) 解決策の提案、方策の考え方、書き方などについて

提案内容のダブリは極力無くすように。

回りくどい言い方でなく、白書などを見て、業界の専門用語で記載すること。

例)能力評価制度→キャリアパス 働き方改革、担い手確保

解決策は、重要度が高い順番で、1から記載する。

見出しは、新聞の見出しのように、内容が一目瞭然でわかるようにする。

印象を悪くする湾曲するような表現は控える。誤解を与えて逆効果です。

(3)リスクの導き方、書き方などについて

3つの解決策の全てに共通するリスクを挙げること。

「リスク」とは何か、頻度が小さく、マイナスの経済効果の大きいできごとです。

経済的損害を含む事象を探すこと。

自身の提案に由来して起こるリスクであること。過去のリスク例 笹子トンネル事故(天井板崩落) アンカーの強度不足から崩落(リスク)を予見すべきであった

公益性の低下を予知できる技術者倫理を測っています。

本質的リスクの考え方が間違っている。技術士にしかできない未来を予測し、警鐘を促す因子を挙げ、解決策を提示するのが科目Ⅲの3.です。

リスク低減策は、安直な資金援助でなくビジネスモデルとして成立していることを提案する。

技術士は国財政状況やコスト等を多種多様な状況を踏まえた実現可能な提案ができることが必須である。

見出しに書いた事項を最後の文に付け加えるのは、念を押すみたいでくどいので、簡潔にねらいだけ述べるように。

模範解答5   (簡易答案1)    添削履歴10    作成日2020/6/6    建設部門  科目:施工管理    専門事項 施工計画

(1)働条件及び労働環境の改善等の課題抽出、分析

(1.1)労働条件及び労働環境の改善

① 適正な価格による契約推進

技能労働者の適正な賃金を確保するため下請契約の契約金額を適正に行って、受注者の賃金原資を確保する。

② 建設キャリアアップシステムの活用 優秀な技能者の処遇改善を図るため建設キャリアアップシステムを活用し、資格・就業履歴、社会保険加入など一元管理し、適切な能力評価を行う。

③ 生産性向上 技能労働者の処遇改善のためi-Constructionを推進して生産性向上を図る。

(1.2)必要な費用の確保

①設計VEの導入、NETIS登録の新技術等の積極的な導入、建設副産物の再生利用などで公共工事をコスト縮減し、その利益から、必要な費用を確保する。

 (2)最も重要と考える課題と解決策

(1.1)③生産性向上による処遇改善が最重要課題であり、そのためにICTや3D技術、標準化を利用して効率化、つまりi-constructionなどを中心に行う。

① 建設工事でのICTの活用

  高速かつ高品質な建設作業を実現するため建設現場で情報通信技術等を活用して生産性向上する。

② コンクリート工の標準規格化

業務効率化のため、大型PCa、高流動Co等を活用して省人化、工事短縮する。  

③  発注・施工時期の平準化

リソースを効率的に運用するため、2か年契約など導入し、工事量を平準化する。

(2)リスク:技能労働者の失業者増加

技能労働者の処遇改善し、賃金が向上するが、更にICTが発達すると技能労働者の仕事がICTに代替えとなり、仕事量が減少し失業者が増加する。

対策1:技能労働者は新技術に対応したスキル向上のため、建設リカレント教育等を活用して多能工や熟達した作業能力、現場マネジメント能力の能力開発を行う。

対策2:失業者は第四次産業革命で発展するIT産業や情報サービス業等へ転職できるように21世紀型スキルを修得する。

模範解答5   (簡易答案2)    添削履歴2    作成日2020/6/10    建設部門  科目:施工管理    専門事項 施工計画

(1)労働条件及び労働環境の改善等の課題抽出、分析

(1.1)労働条件及び労働環境の改善

① 適正な価格による契約推進

技能労働者の適正な賃金を確保するため下請契約の契約金額を適正に行って、受注者の賃金原資を確保する。市場における労務、資材等の取引価格、施工の実態等を的確に反映した適正な予定価格を設定しておく必要がある。

② 建設キャリアアップシステムの活用

優秀な技能者の処遇改善を図るため建設キャリアアップシステムを活用し、本人情報・資格・就業履歴の蓄積、社会保険加入など登録し一元管理し、適切な能力評価を行う。

③ 生産性向上

技能労働者の処遇改善のためi-Constructionを推進して生産性向上を図る。建設現場を労働集約型手法から資本集約型手法に転換し、省人化・省力化する。これにより技能労働者の労働環境の改善、いわゆる新3K(休暇が取れる、給料がよい、希望が持てる)につなげる。

(1.2)必要な費用の確保

①設計VEの導入、NETIS登録の新技術等の積極的な導入、建設副産物の再生利用などで公共工事をコスト縮減し、その利益から、必要な費用を確保する。

 (2)最も重要と考える課題と解決策

(1.1)③生産性向上による処遇改善が最重要課題であり、そのためにICTや3D技術、標準化を利用して効率化し、i-constructionを推進することで労働条件及び労働環境を改善する。

①  建設工事でのICTの活用

 高速かつ高品質な建設作業を実現するため建設現場で3次元測量、CIM、ICT建機による無人化施工など情報通信技術等を活用して生産性向上を図り、賃金水準を向上させる。

② コンクリート工の標準規格化

業務効率化のため、大型PCa、高流動Co等を活用して工場製作化し、高所作業削減で安全性を向上させる。

③  発注・施工時期の平準化

工事量を安定化させ、人や重機類のリソースを効率的に運用するため、2か年契約などを導入し、工事量を平準化し、工程の余裕を生み出して計画的に休暇を取得させる。

(3)リスク:技能労働者の失業者増加

技能労働者の処遇改善し、賃金が向上するが、更にICTが発達すると技能労働者の仕事がICTに代替えとなり、仕事量が減少し失業者が増加する。

対策1:技能労働者は新技術に対応したスキル向上のため、建設リカレント教育等を活用して多能工や熟達した作業能力、現場マネジメント能力を開発する。

対策2:失業者は第四次産業革命で発展するIT産業やシェアリングエコノミーなどの情報サービス業等へ転職できるようにする。そのため、デジタル時代に対応できるように21世紀型スキルをリカレント教育など通して修得する。

模範解答5   (完成答案)    添削履歴3    作成日2020/6/13    建設部門  科目:施工管理    専門事項 施工計画

(1)労働条件及び労働環境の改善等の課題抽出、分析

(1.1)技能労働者の処遇改善の課題 

① 適正な価格による契約推進

技能労働者の適正な賃金を確保するため下請契約の契約金額を適正に行って、受注者の賃金原資を確保する。市場における労務、資材等の取引価格、施工の実態等を的確に反映した適正な予定価格を設定しておく必要がある。

② 建設キャリアアップシステムの活用

優秀な技能者の処遇改善を図るため建設キャリアアップシステムを活用し、本人情報・資格・就業履歴の蓄積、社会保険加入など登録し一元管理し、適切な能力評価と処遇を行う。

③ 生産性向上

技能労働者の処遇改善のためi-Constructionを推進して生産性向上を図る。建設現場を労働集約型手法から資本集約型手法に転換し、省人化・省力化する。これにより技能労働者の労働環境の改善、いわゆる新3K(休暇が取れる、給料がよい、希望が持てる)につなげる。

(1.2)必要な費用の確保

①設計VEの導入、NETIS登録の新技術・新工法等の積極的な導入、建設副産物の再生利用などで公共工事をコスト縮減し、その利益から、必要な費用を確保する。

 (2)最も重要と考える課題と解決策

(1.1)③生産性向上による処遇改善が最重要課題であり、そのためにICTや3D技術、標準化を利用して効率化し、i-constructionを推進することで労働条件及び労働環境を改善する。

① 建設工事でのICTの活用

 高速かつ高品質な建設作業を実現するため建設現場でUAV、LS等による3次元測量、CIM、ICT建機による無人化施工など情報通信技術等を活用して生産性向上を図り、賃金水準を向上させる。

② コンクリート工の標準規格化

業務効率化のため、大型PCa、高流動Co等を活用して工場製作化し、高所作業削減で安全性を向上させる。なお、PCa導入が提案できるECI、DB等の契約方式を活用する。

③  発注・施工時期の平準化

工事量を安定化させ、人や重機類のリソースを効率的に運用するため、2か年契約などを導入し、工事量を平準化し、工程の余裕を生み出して、計画的に休暇を取得させる。

(3)新たに生じうるリスクと対策

(3.1)リスク:技能労働者の失業者増加

技能労働者の処遇改善し、賃金水準が向上するが、更にICTが発達すると技能労働者の仕事はICTが進化したAI、IoT、ロボット等の代替えとなり、仕事量が減少し失業者が増加する。

(3.2)対策:技能労働者の能力開発

技能労働者は新技術に対応したスキル向上のため、建設リカレント教育等を活用して多能工・協働化やICTに対応できる能力を開発する。以下にその能力を身に付けさせる対策を述べる。

① 多能工・協業化 

手持ち時間や移動時間の削減による効率化・工期短縮のため、多能工を育成して、維持補修、リニューアル等で残された断片化した複数の現場作業を集約して、一人で賄えるようにする。

また、技能者間、企業間で連携して、技能者の技能・ノウハウや各社の建機等をリソースを協業化・組織化することで生産性向上を推進する。

②  ICTに対応できる能力

3次元データ作成、CIM/BIM、ICT建機の取り扱える技能は基本として、AIを搭載した自律型ロボットなど高度化したICT、IOTの取り扱いができるスキルやPCa化など新技術に対応できるスキルを身に付けさせるための座学、実習の講習会に積極的に参加させる。

また、ICTに対応した教育訓練を実施している下請や元請企業が評価されるよう経営事項審査や工事の入札参加要件や総合評価事項にして、受発注者ともにICT化に対応できる技能者育成の促進に取り組む。

解説

(1)    課題の分析のしかたについて

問題のテーマの趣旨を把握し、テーマに整合性が取れた課題を抽出するように。

課題は全く系統の異なる3種類程度を抽出します。ダブリがなく独立して作用する対策を採用すると、幅広い対応姿勢を表現できます。

前置きは短くして単刀直入に本題に入るようにし、解決の方針を重点的に説明するように。

問題文に2つの要件があれば、要件を分けると課題が抽出しやすいでしょう。

(2)    解決策の提案、方策の考え方、書き方などについて

3つの設問のバランスを保つ。 (1)から(3)へ行くほど重点的に記載するように。

設問ごとの解答の内容が一連の流れとなるようにします。

即席でふつうにやっている、ありきたりの対策ではなく、深堀した提案を行うこと。

課題の趣旨に応える解決策を説明する。

現実的な提案をして、未来予想的なものはさけるように。

建設工学分野の領域内での提案を行います。

補助金とか産官学共同研究などの提案は安直ととられかねないので、避けた方が無難です。

(3)リスクの導き方、書き方などについて

リスクの焦点は、この問題のテーマである労働環境や労働条件を害する問題を取り上げるように。

リスクとは突発的で予測困難な経済的に大きな損害であるので、何が損害となるか分かり易く説明するように。

模範解答6   (簡易答案1)    添削履歴0    作成日2020/6/9    建設部門  科目:施工管理    専門事項 施工計画

(1)能労働者の労働条件及び労働環境の改善、費用の確保に関しての課題

①  4週8休による労働条件改善

②  新卒者への職業訓練学校入校支援による人材育成

③  労働条件及び環境改善に取組んでいる企業へ評価点UP

(2)4週8休による労働条件改善

①  評価点への反映

受注者は利益ならびに工程重視の意識が高く、悪天候による工程の遅れを不安視し休日の取得を控える傾向にあるため、工事発注時に4週8休の取得を義務化し、履行できない場合は減点対象とする。

②  雇用体制の改善

建設業は日給月給制の技能労働者が大半を占めており、給与UPのために休日を減らし働く技能労働者が多い。そのため、企業の雇用体制を改善し月額固定給とする。

③  コンクリートの標準化

鉄筋工、型枠工、コンクリート工などの技能労働者が不足しているため、発注段階からコンクリートの規格を標準化し、プレキャストコンクリートとする。

(3)4週8休導入によるリスクと対策

①  判断基準の公平化

技能労働者の確保困難や天候不順による工程の遅れで履行できない場合があるため、減点の判断は受注者からの理由書や受発注者間の協議内容も判断基準に入れる。

②受注の不安定化

不安定な受注により企業自体の経営不振になる場合があるため、指名入札により中小企業へ維持管理工事を安定的に発注し地域社会の安定化を図る。

  ③企業自体の技術力の低下

   仕事の簡素化が進み効率的に工事が行われることにより、企業が保有している技術力を生かす機会が減り、技術力が低下する。そのため、企業は技術力を暗黙知に留めず、マニュアル化しナレッジナレッジマネジメントを促進する必要がある。

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