R1/2019年 建設部門 必須科目 Ⅰ−1 その1
問題文
我が国の人口は2010年頃をピークに減少に転じており、今後もその傾向の継続により働き手の減少が続くことが予想される中で、その減少を上回る生産性の向上等により、我が国の成長力を高めるとともに、新たな需要を掘り起こし、経済成長を続けていくことが求められている。こうした状況下で、社会資本整備における一連のプロセスを担う建設分野においても生産性の向上が必要不可欠となっていることを踏まえて、以下の問いに答えよ。
(1)建設分野における生産性の向上に関して、技術者としての立場で多面的な観点から課題を抽出し分析せよ。
(2) (1)で抽出した課題のうち最も重要と考える課題を1つ挙げ、その課題に対する複数の解決策を」示せ。
(3)(2)で提示した解決策に共通して新たに生じうるリスクとそれへの対策について述べよ。
(4)(1)〜(3)を業務として遂行するにあたり必要よなる要件を、技術者としての倫理、社会の持続可能性の観点から述べよ。
模範解答1 (答案形式) 添削履歴 1回 2019.07.16 科目 鋼コン 専門事項 橋梁設計
(1)課題
1)新技術を活用した維持管理の生産性向上
インフラは社会経済・防災を担うため、健全性の維持が必要である。しかし、労働力不足の中、技術者が直接作業を行う従来の調査・設計・施工手法を継続した場合、全施設への維持管理が困難である。このため、ICTやロボット等の新技術を活用し、労働力不足を上回る生産性の向上・効率化を図り、少人数でも維持管理ができる体制を構築することが課題である。
2)全体最適の導入
この下の部分やや説明が飛躍していますので具体的に補足すると良いでしょう。
現在の建設生産プロセスは、各自が分離・独立しているため、前後間の条件不一致や修正が生じやすく非効率である。よって、調査・設計段階から専門メーカーが関与するECI方式を導入し、三者協議の前倒し・事前確認・技術提案を実施する必要がある。
3)地元建設業者の多能工化で生産性向上・活力回復
地元建設業は、地域のインフラ、防災、雇用、経済を担う重要産業である。一方、維持管理・防災の需要が増加しており、新設工事減により縮小する地元建設業者にとって好機となる。しかし、資金・人材不足から土工等の特定分野しか対応できず、受注が困難となる。このため、産学官の連携による支援やマニュアル作成により、専門技能の幅を広げる多能工化を推進し、地元建設業者の生産性向上図り、活力の回復を促すことが課題である。
(2)解決案
解決策1)i-constructionによる維持管理の生産性向上
インフラの周辺環境・構造は、高所部位置する、または部材数が多く密集することが多く、点検・補修部材の干渉照査・施工等に時間を要する。そこで、以下の自動化・非人力化を図るi- constructionの推進で維持管理の生産性を向上する。
①点検でロボット・ICTを導入
UAVや部材に取付けたセンサーによるモニタリングで、近接目視点検の施設数・部材数を低減する。
②設計で3D図を導入
3D図で補修部材の干渉や施工可否の確認を容易とする。
③ICT建機を導入
3D図と地形データにリンクしたICT建機を導入し、自動制御・施工を可能とする。
解決策2)アセットマネジメント(AM)へのAI導入
AMは、健全性や予算等の多様な観点とデータ分析で最適な補修優先順位を策定する必要があり、作業に多くの時間を要する。そこで、AI導入で健全性診断データ・補修工法の耐久年数・付着塩分量・残寿命・交通量のビックデータを分析し、これら要素の点数化で橋の重要度と最適な補修優先順位を自動決定する。
解決策3)鋼橋の健全性自動診断システムの構築
現在の健全性診断基準は定量的で無いため、診断のばらつき補正や診断ミスの照査作業に時間を要する。そこで、構造設計データと損傷データが連動し、鋼部材の減厚・欠損に対する自動応力計算により、健全性の定量的評価・自動診断ができるシステムを構築する。
(3)リスク・対策
①リスク
自動化の一辺倒では、技術者はシステムの操作法しか習得できず、部材の応力状態や弱点の把握等の設計的知識が不足し、技術力の低下が生じる。
②対策
・退職した熟練技術者を活用した技術指導等のOFFJTの充実を図る。
・設計的知識を要する維持管理資格を導入し入札条件に加える等の対策で、技術力の向上を図る。
(4)業務遂行に必要となる要件
・技術者の確保
将来、作業の自働化が定着しても、新技術を活用する次世代技術者は必要である。しかし、インフラ整備の認知度が低く、かつ、3Kのイメージから若者の土木離れが進行している。このため、インフラツーリズムを通じた建設業の魅力のPRや長時間残業削減等の働き方改革、ワークライフバランスの充実により、若者の入職意欲を奮起させる必要がある。
ここは、技術者としての倫理、社会の持続可能性の観点から述べよ、となっています。この2つの視点から、すなわち答えは2項目となります。また問題の要求は、「倫理、社会の持続可能性を推進せよ」ではなく、(2)の解決策でご自分が提案したことを遂行する上の留意点としてのこれら2項目です。
模範解答2 (簡易形式1) 添削履歴 5回 2019/11/9 科目 河川砂防 専門事項 避難計画
1.建設分野における生産性の向上について
(1)担い手確保
近年、建設業界においては若手入職者がいない、建設業に魅力がない等の慢性的な課題がある。それは、建設業は労働時間が長い、休暇が取れない、賃金が低い、女性の建設業従事者の出産、育児とは両立できないイメージの為、復職しにくいが原因である。
(2)作業の効率化
ICT活用、AIの活用により、建設業における生産性の向上が図られた。作業の効率化を図るが、それを扱える若手技術者が少ないのが現状である。ICT技術を取り入れるには費用がかかる、技術についての講習機会が少ない等の原因がある。
(3)技術継承
建設技術者の若手従事者への技術継承が円滑に進んでいない事が課題である。建設技能労働者の作業段取り、方法、作業・安全に対する取組み方等に対する技術を継承する機会が少ないのが原因である。
2.作業効率化における解決策
(1)ICT活用
3次元設計データを設計から施工・維持管理まで活用して作業効率の向上を図る。測量にかかる時間及び作業員を半分以下、丁張りにかかる作業員の人員を約1/3に削減し、重機における作業性の向上により施工能力を約1.5倍に向上できる。
(2)コンクリート工の規格の標準化
各部材の規格(サイズ)を多様化し標準サイズを増設し、定型部材の組み合わせを増やす事でプレキャスト化し現場作業の効率化ができる。鉄筋をプレハブ化、型枠をプレキャスト化する事により、型枠設置作業等を無くし工期短縮を図る。
(3)情報の共有
設計から計画・調査〜施工〜維持管理までのデータを共有する事により新たに図面を作成・数量算出等における時間を削減する事ができる。BIM/CIMモデルを活用し、鉄筋の干渉具合のチェックが容易になり、手戻りが無くなり効率的に作業ができる。
3.リスクと対策
(1)技術に頼りきる
ICT技術等で正確に施工ができる事がわかると、技術を頼りきってしまい、確認作業を行わないリスクが生じる。対策としては、技術に対する理解と理論を身につける必要がある。また、確認作業はダブルチェックを行い、手戻りをなくす。
(2)予測不能なエラーに対して対処できないリスク
ICT技術は機械であるために、決まった行動に対しての判断はできる。しかし、予測不能な事態の場合、その状況を対処できる判断力がない。対策としては、予測不能な事態が起きた場合は、機械が停止しアラーム等で状況を知らせ、人間が判断を行う事が必要である。最終的な判断を機械ではなく、人間自身が行う。
(3)安全がおろそかになるリスク
ICT技術向上を優先させてしまうと作業の安全がおろそかになるリスクがある。対策としては、生産性を向上させるのに優先させる技術を選別し、優先して失った部分は計測装置等で安全性をカバーする。
4.生産性を向上するのに必要な要件
(1)作業効率化と共に消費燃費の向上
社会持続性の観点からICT技術を取り入れ生産性を向上させる為の重機等の建設機械の消費燃費も向上させる。また、それに伴い使用する重機等、付属の建設機械等も含めて、排出ガスの抑制に努め規制・基準内に適合する必要がある。
(2)生産性を向上させる業務において安全最優先
技術者倫理として、公共の安全を優先させる事が大切である。生産性を向上させると共に作業の安全性も向上させる必要がある。人への危害又は損傷の危険性が、許容可能な水準であり、安全性が法令、基準に適合する為の安全性を確保する。
(3)ICT活用業務に多様な人材の活用
社会持続性の観点から生産性を向上させ、女性や高齢者等の活躍できる社会を実現させる。女性や経験の浅い技術者等がICT技術を使用することにより、作業を効率化できる。また、高齢者が活用できる作業を選定し、建設従事者の人材を確保する。
模範解答2 (答案形式) 添削履歴 10回 2019.9.22 科目 都市および地方計画 専門事項 交通計画
(1)-1ロボットで少人数施工
労働人口の減少を補完できるよう、下向きや上向きなど固定した体勢で作業者に負担を与える作業をロボットが施工する。
自動で鉄筋を結束するロボットや、自動で天井ボードを貼る機械など無人化ロボット等を活用することで人手作業を減らして少人数で施工する。
(1)-2生産過程のサプライチェーン化で短工期化
現場製作を減らして、工事用部材を効率良く作って配送するサプライチェーンを活用する。
プレキャストコンクリートのようにクレーン設備等が充実した工場で効率よく部材を作り、主に手作業で作る現場製作品を低減する代わりに出荷部材の運搬数量を増やすことで、全体工期を短縮する。
(1)-3スマート技術で人手減らしインフラ維持
これまで専門職の経験に頼ってきた業務で画像解析等を使った機械学習におきかえることで、人手を低減できるスマート技術を活用する。
ICT を活用した点検台帳の普及や、 UAV を活用した 画像データでの点検で人が行ってきた作業をスマート技術に置き換えインフラを効率的に維持する。
(2)課題:生産のサプライチェーン化で工期短縮
①解決策:部材を適切な時期に納入し作業効率向上
部位ごとに仕様が異なるプレキャストコンクリート等を適切な時期に納入するジャストインタイム方式で、狭い現場に種類や時期を考慮しながら資材を搬入し、作業効率を向上する。
②解決策:施工BIMでのモデル合意で製作期間短縮
関係者間で施工前にBIMを使った調整会議のBIMモデル合意を図ることで、部材製作のための意思決定を設計・施工レベルで短縮しつつ、決定後の変更等工事の手戻りを無くして部材等の製作期間を短縮する。
(3)リスクと対策
①リスク:中小企業の衰退
サプライチェーンによるジャストインタイム方式やBIMの施設整備には供給元の費用負担が大きいため、主に資金力のある大手企業で設計から製造まで内製化されている。
その結果、大手企業の流通だけが拡大し、企業間格差が広がって建設業界を下支えしている中小企業が衰退する。
①対策:BIMオブジェクトのプラットフォーム化
中小企業がサプライチェーンの商流に入れるよう、標準化された建材等を製造・販売できるBIMオブジェクトのプラットフォームを作ることで、中小企業が介入できる市場を構築することが重要である。
②リスク:人依存型の供給で出荷元停止
工場製作等が充実すると、オーダーメイドタイプの複雑な製品の受注が増えて、従来の人依存型の生産技術だけでは出荷元が対応できず、出荷停止が発生する。
②対策:BIMデータ一元管理の生産体制構築
BIMのサプライチェーンマネジメントを導入し、仕様等の管理をBIMデータに集約化することで、複雑化した製品にも対応できる生産体制を確保することが重要である。
(4)(1)〜(3)を遂行するため必要な要件
要件①クラウドプラットフォームでデータ一元管理
技術者としての倫理の観点から、データの不正利用や情報漏えいを防止できるよう各方面からのクラウドプラットフォームへのアクセスを視覚化した上で、設計、製作、施工段階のデータを一元管理する。その結果、様々な関係者同士が確実性の高い情報をタイムリーに交換できるため、手戻りを低減できる。
要件②BIMデータによる部材プレハブ化
社会の持続可能性の観点から、関わる人員を低減し、無駄の無い生産サイクルを構築し、イニシャルコストを低減できるようBIMデータで作成した部材をプレハブ化する。その結果、一度にたくさんの部材を製作できるため、設計・製作・施工期間を短縮できる。
模範解答3(簡易答案1) 添削履歴 7 作成日 2020.5.13 建設部門 選択科目 道路 専門とする事項 道路設計
(1) 生産性向上に関し多面的な課題・分析
1)インフラ管理の効率化:老朽化インフラを定期点検により健全度把握し、軽微な損傷の内に補修し、長寿命化を行いLCC縮減し維持管理費の平準化を図る。
2) 建設事業の各過程にICT活用:測量、設計、施工、維持管理までのすべてのプロセスにICTを導入し3次元データの活用により全体最適を図る。
3))コンパクト+ネットワークの推進:居住・都市機能を集約、一定密度にまとまり、他小拠点、都市圏と対流し密度の経済を実現し地域サービスの生産性を大幅向上する。
(2) 最も重要な課題及び解決策
1) 建設事業の各過程にICT活用
・測量の効率化:地上測量は、急地形での作業困難のため、ドローン搭載レーザスキャナにより効率・高密度化した面的な3次元測量を行う。
・3次元設計:2次元設計の不可部分をカバーするCIMによる3次元設計を行い、立体可視化で設計手戻り防止、時間やコストの短縮した施工計画を行う。
・ICT施工促進:3次元データに基づく情報化施工(無人・自動化)、 出来形管理はUAV(無人機)による3次元測量を行い効率化する。
・維持管理効率化:狭小地や足場が必要な高所での点検効率化を図るロボットやセンサー測定による3次元点検データ管理を行う。
(3)解決策に共通する新たなリスク及び対策
1)新たなリスク:マシンコントロールでは機械に頼りOPの地山変形の予知能力が衰えるため、土砂崩壊で重機が埋没し損傷のリスクがあり事故発生による経済損失が発生する。
2)対策:マシンガイダンスにより設計データを遠隔地の熟練OPへ提供し無人化施工する。地山変化(カメラ)を操作室で常に監視し、異常時は人的判断し一時退避を行い安全確認後、再開する。なお、危険予知力を備えたAI機能を開発し完全自動化目指す。
(4)業務遂行に当たり必要な要件
1)技術者としての倫理:ICT建設では機械に頼って作業者は分断化されるため、意思疎通が妨げられがちである。このため、ICT施工の際に、各作業時の担当者が常に現地状況の把握・共有化を図る。これは、技術士倫理要綱の№8相互の協力に適合する。
2)社会の持続可能性:居住・都市機能整備においては、効率化でなおざりになる安全・安心を確保するため、強靭なインフラ整備・管理を目指す。これによって都市経済が持続的に成長し、居住者が持続的に街づくりに参加し、社会の持続性が確保される。ここで言う社会の持続可能性とはSDGsの№8働きがい、経済成長するに相当する。
模範解答3(簡易答案2) 添削履歴 0 作成日 2020.5.14 建設部門 選択科目 道路 専門とする事項 道路設計
(1) 産性向上に関し多面的な課題・分析
1) インフラ管理の効率化
老朽化が進行する主要なインフラを定期点検により健全度を常に把握し、軽微な損傷の内に補修し、長寿命化を行いLCC縮減し維持管理費の平準化を図る。
2) 建設事業の各過程にICT活用
建設事業の各過程(測量、設計、施工、維持管理)のすべてにICTを導入することで3次元データの活用により全体最適を図る。
3))コンパクト+ネットワークの推進:分散化した居住・都市機能を集約し、一定密度のまとまりを創り他の小さな拠点及び、都市圏と対流を行う。これにより密度の経済を実現し、地域サービスの生産性を大幅向上する。
(2) 最も重要な課題及び解決策
1) 建設事業の各過程にICT活用
測量の効率化:地上測量は、山地部等の急峻地での作業が困難なため、ドローン搭載型レーザスキャナにより効率化、高密度化した面的な3次元測量を行う。
②3次元設計:2次元設計では、不可能な部分をカバーするCIMによる3次元設計を行い、立体的・可視化で設計の手戻り防止、時間やコストを短縮した施工計画を行う。
ICT施工促進:3次元データに基づく情報化施工(無人・自動化)を実施し、 出来形管理はUAV(無人機)による3次元測量を行い効率化する。
④維持管理効率化:狭小地や足場が必要な高所の点検効率化を図るため、点検ロボットやセンサー測定による3次元点検データ管理を行う。
(3)解決策に共通する新たなリスク及び対策
1)新たなリスク:マシンコントロールによる地山掘削では機械に頼りオペレータ(OP)の地山変形の予知能力が衰えるため、施工に伴う不測の土砂崩壊で重機が埋没し損傷するリスクがあり、事故による経済損失が発生する。
2)対策:マシンガイダンスにより設計データを遠隔地の熟練OPへ提供し無人化施工する。地山変化(監視カメラ)を操作室で常に監視し、異常時は人的判断により一時退避を行い安全の確認後、工事を再開する。なお、危険予知能力を備えたAI機能を研究開発し完全自動化目指す。
(4)業務遂行に当たり必要な要件
1)技術者としての倫理:ICT建設では機械に頼って作業者は分断化されるため、意思疎通が妨げられる傾向がある。このため、ICT施工の際に、各作業時の担当者が常に現地状況を把握し共有化を行い、現地条件の変化に応じた設計・施工の効率化を図る。これは、技術士倫理要綱の№8相互の協力に適合する。
2)社会の持続可能性:居住・都市機能整備においては、効率化でなおざりになる安全・安心を確保するため、強靭なインフラ整備・管理を目指す。これによって都市経済が持続的に成長し、居住者が持続的に街づくりに参加し、社会の持続性が確保される。ここで言う社会の持続可能性とはSDGsの№8働きがい、経済成長するに相当する。
模範解答3(完成答案) 添削履歴 1 作成日 2020.5.19 建設部門 選択科目 道路 専門とする事項 道路設計
(1) 生産性向上に関し多面的な課題・分析
1) インフラ管理の効率化
老朽化が進行する主要なインフラを、定期点検により健全度を常に把握し、軽微な損傷の内に補修する。
これにより長寿命化を行い、ライフサイクルコスト(LCC)を縮減し維持管理費の平準化を図る。
2) 建設事業の各過程にICT活用
建設事業の効率化のため各過程(測量、設計、施工、維持管理)すべてにICTを導入することで、3次元データの活用により全体最適を図る。
3))コンパクト+ネットワークの推進
既存の分散化した居住・都市機能を集約し、一定密度のまとまりを創り、他の小さな拠点及び、都市圏と対流を行う。この結果、密度の経済を実現し、地域サービスの生産性を大幅向上する。
(1) 最も重要な課題及び解決策
1) 建設事業の各過程にICT活用
測量の効率化
地上測量は、山地部等の急峻地での測量作業が困難なため、ドローン搭載型レーザスキャナを使用し空撮を行う。これは、効率化した3次元測量により、点群データ(点密度100点/以上のXYZ座標)を取得する。
②3次元設計(3D-CAD使用)
点群データから面データ作成後、地形3次元モデルを作り、設計条件を加えた設計計画モデルとする。両者合せたモデルで平面・縦断・横断設計等により3次元設計を実施する。以上のCIM活用による3次元設計は、立体体的な可視化及び建設生産システムの高度化により、合意形成の迅速化、業務効率化、品質向上、生産性向上等を図る。
ICT施工促進
3次元データに基づく情報化施工(無人・自動化)を実施する。施工後は、UAV(無人機)による3次元測量を行い面データ作成後、3次元設計データと比較し面管理(標高較差)により出来形管理する。
④維持管理効率化
狭小地や足場が必要な高所の点検効率化を図るため、点検ロボットやセンサー測定による3次元点検データ管理を行う。
なお、橋梁点検用の二輪型マルチコプタは、近接距離50cmで連続移動し、0.1mmひび割れを識別し、連続3Dモデル上に3次元形状・位置を記録する。
(3)解決策に共通する新たなリスク及び対策
1)新たなリスク
マシンコントロールによる地山掘削では、機械に頼りオペレータ(OP)の地山変形の予知能力が衰える。
このため、施工に伴う不測の土砂崩壊で重機が埋没し損傷するリスクがあり、事故による経済損失が発生する。
2) 対策
マシンガイダンスにより設計データを遠隔地の熟練OPへ提供し無人化施工する。施工中の安全確保のため、監視カメラによる地山変化を操作室で常に監視し、異常時は人的判断により一時退避を行い安全の確認後、工事を再開する。
なお、危険予知能力のあるAI機能を備えた重機を
研究開発し完全自動化を目指す。
(4)業務遂行に当たり必要な要件
1)技術者としての倫理
ICT建設では、機械に頼って作業者は分断化されるため、意思疎通が妨げられる傾向がある。したがって、ICT施工の際に、各作業時の担当者が常に現地状況を把握し共有化を行い、現地条件の変化に応じた設計・施工の効率化を図る。
これは、技術士倫理要綱の№8相互の協力に適合する。
3) 社会の持続可能性
居住・都市機能整備においては、効率化でなおざりになる安全・安心を確保するため、強靭なインフラ整備・管理を目指す。このことで都市経済が持続的に成長し、居住者が持続的に街づくりに参加し、社会の持続性が確保される。
ここで言う社会の持続可能性とは、SDGsの№8働きがい、経済成長するに相当する。
模範解答4(簡易答案1) 添削履歴 7 作成日 2020/4/19 建設部門 選択科目 道路 専門とする事項 道路設計
1. 社会資本整備について多面的な課題を抽出
(1)ICTの推進
土工や舗装等の土工工事の一部にICT技術が導入されてきたが、今後は地盤改良工事や付帯構造物等へ拡大していく。
(2)コンクリート製品のプレキャスト化
現場においてコンクリートをプレキャスト化する場合、設計変更により対応しているが、当初設計に入れることで現場作業を削減する。
(3)発注方式
繁忙期と閑散期をならして人材や機材を効率的に活用するため施工時期の平準化を行う。年度またぎの施工が可能なゼロ国債、2ヵ年国債を積極的に活用する。
2.1 課題:ICTの推進
2.2 解決策
(1)ドローンを活用撮影による仮設足場の合理化
ドローンを活用した画像診断を行うことにより足場の設置が不要となる。これにより点検の効率化を図る。
(2)ICT建設機械
土工作業時において3次元データ等によりICT建設機械を自動制御することで、丁張等の作業が不要となり施工の効率化が図れる。
(3)BIM/CIM化の推進
計画、調査、設計、施工、維持管理にBIM/CIMによる3次元データを活用して、フロントローディング等により生産性の向上を図る。
3.新たに生じるリスクと対応
3-1リスク:施工精度や施工品質における確認行為が低下する。
3-2対応: ICTの理論、長所、短所を理解して複数の技術者で確認作業を実施する。
4.業務として遂行するにあたり必要となる要件
(4-1)技術者倫理の観点:安全性の確保
ドローン足場合理化、ICT建設機械効率化、BIM/CIM化推進、技術者教育を遂行するために、技術者倫理も高めるため、3次元可視化により周辺環境との位置関係が把握でき、危険作業・箇所を事前に把握でき安全性が高くなる。
(4-2)社会の持続可能性の観点:技術者の人材確保
ドローン足場合理化、ICT建設機械効率化、BIM/CIM化推進、技術者教育を遂行するために、社会持続可能性も高めるため、女性技術者や外国人技術者等の多様な人材を確保するとともに、建設現場における新3Kの実現を図る。
模範解答4(簡易答案2) 添削履歴 8 作成日 2020.5.2 建設部門 選択科目 道路 専門とする事項 道路設計
1.社会資本整備について多面的な課題を抽出
(1)ICTの推進
CIMにより橋梁の3次元モデルを作成するだけでなく各部材の属性情報(形状・寸法、施工時の品質記録、補修履歴等)を組込み、計画から維持管理まで一括して管理する必要がある。
(2)コンクリート工のプレキャスト化
部材をプレキャスト化しても、部材同士の接合部において鉄筋を組み、コンクリートを充填する必要があり現場作業が発生する。そのため、接合部も含めたフルプレキャスト化の実用化が行われているが、部材の大型化による現場への搬入経路や据付け時の制限等を確実に計画する必要がある。
(3)施工時期の平準化
単年度予算に従って工事が発注されるため、年度末に工期が集中して安全管理や品質管理が低下する可能性がある。発注者は翌債(繰越)制度を活用して施工時期の平準化を図る必要がある。
2.1 課題:ICTの推進
2.2 解決策
(1)ドローンを活用した画像診断
地上部から画像撮影することで点検時における足場設置の不要、画像解析によるひび割れの検出、検出結果のデータ化により点検作業を効率化できる。
(2)ICT建設機械
土工作業時において3次元データ等によりICT建設機械を自動制御することで、丁張りや検測の不要、検査時の書類削減等により現場作業の効率化が図れる。
(3)BIM/CIM化の推進
BIM/CIMにより可視化することで初期の段階から事前に集中的に検討を行い後工程で生じそうな手戻り等を未然に防ぎ(フロントローディング)、品質向上と生産性の向上を図る。
3.新たに生じるリスクと対応
3-1リスク:土工作業時に設計では想定していなかった転石が発現されたが、出来高管理を確保するため、転石を除去したところ、のり面が掘り起こされて広範囲にのり面崩落が生じた。
3-2対応:ICTは3次元設計データを活用して施工を実施しているが、設計では想定していなかった事象が生じる場合があるため、技術者が安全性等を考慮して臨機応変に判断する必要がある。
4.業務として遂行するにあたり必要となる要件
(4-1)技術者倫理の観点:有能性の重視
点検時のドローン操作やBIM/CIM作成は技能者に依頼し、技術者として点検判定や補修・補強の提案、CIM等により施工時の危険個所等を確実に把握し、現場作業員に伝えて安全確保に努める。
(4-2)社会の持続可能性の観点:あらゆる人々の活躍の推進
私はICT建機の搭載されているオペレータを補助する機能利用して、経験の浅い若手技術者、女性技術者、外国人労働者の就労を促す。SDGsの8.8に該当する。全ての労働者に安全・安心な労働環境を促進することにより働くことを軸とする安心社会が実現され、持続可能な社会が実現できる。
1.社会資本整備について多面的な課題を抽出
(1)ICTの推進
CIMにより橋梁の3次元モデルを作成して可視化することで景観検討の効率化や設計ミス防止や鉄筋干渉の回避が期待できるが、CIMモデル作成に多くの時間を要する。そのため、3次元モデルだけでなく各部材の属性情報(形状・寸法、施工時の品質記録、補修履歴等)を組込むことにより計画から維持管理まで一括して管理することが可能となる。
(2)コンクリート工のプレキャスト化
部材をプレキャスト化しても、部材同士の接合部において鉄筋を組み、コンクリートを充填する必要があり現場作業が発生する。そのため、接合部も含めたフルプレキャスト化の実用化が行われているが、部材の大型化による現場への搬入経路や据付け時の制限等を確実に計画する必要がある。
(3)施工時期の平準化
単年度予算に従って工事が発注されるため、年度末に工期が集中して安全管理や品質管理が低下する可能性がある。工事受注後に受注者が週休2日、余裕施工期間を設定して工期延長を発注者に申し出る。発注者は翌債(繰越)制度を活用することにより施工時期が平準化を図る。
2.1課題:ICTの推進
2.2解決策
(1)ドローンを活用した画像診断
地上部から画像撮影することで点検時における足場設置の不要、画像解析によるひび割れの検出、検出結果のデータ化することにより点検作業の効率化を図る。
(2)ICT建設機械
土工作業時において3次元データ等によりICT建設機械を自動制御することで、丁張りや検測の不要、検査時の書類削減、経験の浅いオペレータでも熟練者と同等の施工が可能となる等、施工性の向上を図る。
(3)BIM/CIM化の推進
BIM/CIMにより可視化することで初期の段階から事前に集中的に検討を行い後工程で生じそうな手戻り等を未然に防ぐ(フロントローディング)、事業に関わる関係者との共同作業化による事業全体期間の短縮等(コンカレントエンジニア)により品質向上と生産性の向上を図る。また、3次元モデルを用いて施工場面ごとに表現することが可能となるため、工事の進捗状況について受発注者間での情報共有を図る。
3.新たに生じるリスクと対応
(1)リスク:
ICT土工では自動運転の慣れからオペの技量が失われやすい。このため予想外の転石等が出現した際、ICTが及ばない定型外除去作業となり、低下した土工技量の結果、のり面が必要以上に掘り起こされて広範囲のり面崩落等が生じる。
(2)対応
①土工技量を高める
ICT自動土工に頼らずに地山の土質形状を観察しながら、オペ自ら修正できる運転技量を研修にて修める。
②変則的土工の経験知の集成
ICT自動土工では施工できない難工事について、地山条件や形状、オペ経験年数などとの相関を集成し、施工前にトラブルについて予防対処する。
4.業務として遂行するにあたり必要となる要件
(1)技術者倫理の観点:
要件は、業務ではICTの活用によりした効率化を行う際に、ICTやBIM/CIMの機能を利用して現場だけでなく公衆の安全性も高めることである。これは公衆の安全の優先に相当し、「公衆の利益の優先」技術士倫理綱領第一条に適合する
(2)社会の持続可能性の観点:
ICT建機の搭載されているオペレータを補助する機能利用して、経験の浅い若手技術者、女性技術者、外国人労働者の就労を促す。これにより全ての労働者に安全・安心な労働環境を促進すること可能となる。よって、働くことを軸とする安心社会が実現され、持続可能な社会を実現できると考えられる。これはSDGsの8.8に記載されている「あらゆる人々の活躍の推進」に該当する。
1、生産性向上の課題と分析
(1)フロントローディング設計による生産性向上
施工業者と先行して契約し、設計業務とラップさせるフロントローディング式設計による設計の手戻り防止と現場着手の早期化による施工期間短縮する。
(2)ICTの利活用による作業の効率化
3次元データの利活用を地盤改良や法面工へ拡大し活用していく。また、地方公共団体実施工事や維持管理工事のような小規模工事への適用を拡大する。
(3)コンクリート工の生産性向上
流動性を高めたコンクリートやプレキャスト製品活用による工場製作化を進める。プレキャスト化では、サイトプレキャストや大型化を図る。
2、ICT技術による生産性向上
(1)3次元データの利活用による補修・補強工事の効率化
建設時にCIM/BIMにより作成された3次元データを元に鉄筋配置を確認し、補強に必要なアンカーボルト位置を正確に推測し、揉み直し等の施工手戻りを防止
(2)ドローンによる点検効率向上
施設物等の支障や、高所の構造物に対して、高精度カメラを有するドローンで点検し、支障物の撤去・復旧や足場設置にともなう工程を削減
(3)ICT建設機械による作業効率化と品質確保
現況を三次元測量し、施工量・ステップを自動算出し、ICT機械をコントロールし、オペレータを省人化する。出来高は衛星測位でリアルタイム管理し信頼性向上
3、新たなリスクと解決策
リスク①:ICT技術のサポートにより、失敗体験からの学びや事故体験の不足から、若手技術者のリスク先読み判断力が養えず、臨機応変な技術判断が困難で事故発生
対策①:ベテラン技術者や先輩技術者による過去の失敗体験や事故事例に基づく現場改善事例を机上と現地にて講習し若手技術者に習熟させる。
リスク②:ICT技術を現場適用拡大させるための技術者人材が不足しているため、技術の展開が滞り、適用工種の拡大の支障となり、工程遅延
対策②:ICT機器のアップデートや機能付加可能な技術者育成と新規採用拡大
4、業務遂行に必要な技術者倫理と社会的継続性についての要件
(1)技術者倫理を高めてICT技術適用工種拡大するため、ICT機器やUAVの故障や落下による第三者被害に対しフェールセーフ追加などのリスクマネジメントで公衆の安全性を高める。これは技術者倫理綱領の第1条に相当
(2)社会持続可能性を高めてICT技術の着実な浸透と発展させるため、OB、女性、及び外国人技術者の出産や一時帰国を前提とした休業・復帰システムを整備し、安全・安心な労働環境を促進することで、多様で厚い技術者層を安定構築する。これはSDGsの17の目標の8.8に相当
1、生産性向上の課題と分析
(1)フロントローディング設計による生産性向上
施工業者と先行して契約し、設計業務とラップさせるフロントローディング式設計により、設計の手戻り防止と現場着手の早期化による施工期間短縮する。
(2)ICT施工の拡大化
3次元データの利活用を地盤改良や法面工へ拡大し活用していく。また、地方公共団体実施工事や維持管理工事のような小規模工事への適用を拡大する。
(3)コンクリートの高性能化や現場施工のプレキャスト化
流動性を高めたコンクリートやプレキャスト製品活用による工場製作化を進める。プレキャスト化では、サイトプレキャストや大型化を図る。
2、ICT技術による生産性向上
(1)3次元データの利活用による補修・補強工事の効率化
建設時にCIM/BIMにより作成された3次元データを元に鉄筋配置を確認し、補強に必要なアンカーボルト位置を正確に推測し、揉み直し等の施工手戻りを防止する。
(2)ドローンによる点検効率向上
施設物等の支障や、高所の構造物に対して、高精度カメラを有するドローンで点検し、支障物の撤去・復旧や足場設置にともなう工程を削減する。
(3)ICT建設機械による作業効率化と品質確保
現況を三次元測量し、施工量・ステップを算出し、ICT機械を自動制御することで、作業効率を向上する。出来高は衛星測位でリアルタイム管理し信頼性向上する。
3、新たなリスクと解決策
リスク①
ICT技術のサポートにより、失敗体験からの学びや事故体験の不足から、若手技術者のリスク先読み判断力が養えず、臨機応変な技術判断が困難で事故発生する。
対策①
ベテラン技術者や先輩技術者による過去の失敗体験や事故事例に基づく現場改善事例を机上と現地にて講習し若手技術者に習熟させる。
リスク②
ICT技術を現場適用拡大させるための技術者人材が不足しているため、技術の展開が滞り、適用工種の拡大の支障となり、工程遅延する。
対策②
ICT機器のアップデートや機能付加可能な技術者育成と新規採用拡大する。
4、業務遂行に必要な技術者倫理と社会的継続性についての要件
(1)リスクマネジメントによる公衆安全性向上
技術者倫理を高めてICT技術適用工種拡大するため、ICT機器やUAVの故障や落下による第三者被害に対しフェールセーフ追加などのリスクマネジメントで公衆の安全性を高める。これは技術者倫理綱領の第1条に相当する。
(2)一時休業・復職システム構築による安全・安心な労働環境整備
社会持続可能性を高めてICT技術の着実な浸透と発展させるため、OB、女性、及び外国人技術者の出産や一時帰国を前提とした休業・復帰システムを整備し、安全・安心な労働環境を促進することで、多様で厚い技術者層を安定構築する。これはSDGsの17の目標の内、8の持続可能な経済成長及び人々の生産的雇用と働きがいのある雇用の促進に相当する。
※この問題の注意点です。これらを実行すると合格が早まります。
・必須問題では、建設分野全般の汎用性のあるテーマを記載する。
・提案は漠然とさせず具体的なキーワードで表現し説得力を持たせる。
・複数の提案では、類似・重複したものは避ける。
・リスクと対策では、リスクが生じる理由と、発生するリスクとの因果関係を持たせる。
・機械故障や電源喪失などは機械使用の前提に過ぎないのでリスクではない。
・技術者倫理の要件では、
・「2、重要な課題」の提案業務に対し技術者倫理性向上につながる方策を提案する。
・その方策がなぜ倫理性向上につながるのかわかるように根拠を記載する。
・技術者倫理を高めて〇〇業務遂行するには、〇〇を〇〇すれば、
→公衆の安全性が向上し、公益性の高い業務が遂行できる。(綱領一)
→社会持続可能性が向上し、公益性の高い業務が遂行できる。(綱領二)
・SDGsの要件では、
・SDGsの17ゴールと169ターゲットを念頭に、それにつながる方策を提案する。
・その方策がなぜそのゴールを達成できるのかわかるように根拠を記載する。
・社会持続可能性を高めて〇〇業務遂行するためには、〇〇を〇〇すれば、
→持続可能な経済成長及び生産的雇用と働きがいある雇用促進できる。(ゴール8)
→強靭なインフラ構築、包摂的で持続可能な産業化の促進できる(ゴール9)
1、生産性向上の課題と分析
(1)フロントローディング設計による生産性向上
施工業者と先行して契約し、設計業務とラップさせるフロントローディング式設計により、設計の手戻り防止及び現場着手を早期化することで施工期間を短縮する。
(2)ICT施工の拡大化
3次元データの利活用を地盤改良や法面工へ拡大し活用していく。また、地方公共団体実施工事や維持管理工事のような小規模工事への適用を拡大する。
(3)コンクリート高性能化やプレキャスト化
流動性を高めたコンクリートの適用やプレキャスト製品活用による工場製作化による現場施工の効率化を進める。
プレキャスト化では、サイトプレキャストや大型化によりさらなる効率化を図る。
2、ICT技術による生産性向上
(1)3次元データの利活用による工事の効率化
建設時にCIM/BIMにより作成された3次元データを元に鉄筋配置を確認し、補強に必要なアンカーボルト位置を正確に推測し、揉み直し等の施工手戻りを防止する。
また、3次元モデリングにより周辺の構造物や支障物及び施工機械を反映させた施工計画により、接触事故による工程遅延リスクを回避する。
(2)ドローンによる点検効率向上
施設物等による支障や、高所で足場の仮設が困難な構造物に対して、高精度カメラを有するドローンで接近点検することで、支障物の撤去・復旧や足場設置にともなう工程を削減する。
(3)ICT建設機械による作業効率化
現況を三次元測量し、設計地盤面にするための施工量・ステップを算出し、ICT機械を自動制御することで、施工の手戻りを回避し、作業効率を向上させる。
出来高は衛星測位で三次元でリアルタイム管理し、画像で設計値と現況値の差異を常時把握可能とし、出来高検査を効率化する。
3、新たなリスクと解決策
リスク① 現場体験不足による事故リスク
ICT技術のサポートにより、失敗体験からの学びや事故体験の不足から、若手技術者のリスク先読み判断力が養えず、臨機応変な技術判断が困難で事故が発生する。
対策① 失敗・事故事例講習による習熟
ベテラン技術者や先輩技術者による過去の失敗体験や事故事例に基づく現場改善事例を机上と現地にて講習し若手技術者に習熟させる。
さらに、技術者訓練システムをAR化し、技術者の習熟度に応じたプログラムを臨機応変に提供することで人材育成を効率化する。
リスク② ICT技術者不足による推進停滞
ICT技術を現場適用拡大させるための技術者人材が不足しているため、技術の展開が滞り、適用工種の拡大の支障となり、工程遅延する。
対策② ICT専門技術者の採用と育成
ICT機器のアップデートや機能付加可能な専門技術者の育成と新規採用を拡大することで、対応する技術者層を厚くする。
4、業務遂行に必要な技術者倫理と社会的継続性要件
(1)リスクマネジメントによる公衆安全性向上
技術者倫理を高めてICT技術適用工種拡大するため、ICT機器やUAVの故障や落下による第三者被害に対しフェールセーフ追加などのリスクマネジメントで公衆の安全性を高める。これは技術者倫理綱領の第1条に相当する。
(2)一時休業・復職システムによる労働環境整備
1.生産性向上における課題
①ICTの活用により少ない人数、少ない工事日数で同じ工事量を図る。
②多能工化により、作業の連続生を図り作業間の手持ちを減らし、稼働率を高める。
③コンクリート工の規格の標準化、プレキャスト化により、組み立て等に生じる時間を短縮する。
2.ICT技術の全面的な活用
①小回りが利き、空中写真に比べ機械経費が安く、容易に撮影が行えるUAVにより3次元測量を行うことで、コストダウン、作業の効率化を図る。
②BIM、CIMの3次元設計による設計の可視化により、合意形成の迅速化、設計ミスや手戻りの低減、設計変更の迅速化を図る。
③設計で作成した3次元モデルをMC建設機械と連携させて、高さ・勾配等を自動制御することで施工における作業の効率化を図る。
3.解決策に共通するリスクとそれへの対策
リスク・・・今や情報化社会でありICTに依存した業務形態において、機器の故障やGPS精度の低下などが発生した場合に業務の遂行が困難となる。そのため、工期遅延による大きな経済損失の可能性がある。
解決・・・ICT技術導入に伴い、ICTに対応できる技術者や技能労働者の育成・拡大を図り、ICT機器のメンテナンス業者、ICT機械そのものの増加を図る。また、ICT技術におけるシステムも、技術の進歩に併せてアップデートを定期的に実施することで、精度の低下を回避する。
4.業務として必要となる要件
技術者理論の観点:UAV3次元測量,BIM、CIMの3次元設計,MC建設機械施工,ICT技術者育成を遂行するにあたり、技術者倫理も高めるため、UAV機器不良による落下事故や情報セキュリティー対策など、ICT導入に伴うリスクマネジメントを整備して安全性を確保する。
社会の持続可能性の観点:UAV3次元測量,BIM、CIMの3次元設計,MC建設機械施工,ICT技術者育成を遂行するにあたり、社会持続性を高めるため、女性や多様な人材を起用するダイバーシティに取り組み、人材の確保および育成を図る。
模範解答6(簡易答案2) 添削履歴 0 作成日 2020/4/22 建設部門 選択科目 土質基礎 専門とする事項 土質
1.生産性向上における課題
①ICTの利用による作業の効率化
ICTを活用して、少ない人数、少ない日数で同じ仕事量を行い、作業の効率化を実現ことで生産性の向上を図る。また、これにより中長期的に予測される働き手の減少分を補完することができる。
②多能工化による稼働率の向上
多能工化の実施により、複数作業を連続させて作業間の手持ちを減らすことで、稼働率を高めて生産性の向上を図る。
③コンクリート工の2次製品化
コンクリート工の規格の標準化、プレキャスト化により、組み立て等に生じる時間の短縮や工場生産化によるコスト削減を図る。
2.ICT技術の全面的な活用
①UAVによる3次元測量
小回りが利き、空中写真に比べ機械経費が安く、容易に撮影が行えるUAVにより3次元測量を行うことで、自動処理や測量の省力化を可能にして、コストダウン、作業の効率化を図る。
②BIM、CIMの3次元設計による迅速化
BIM、CIMの3次元設計による設計の可視化により、合意形成の迅速化、設計ミスや手戻りの低減、設計変更の迅速化を図る。
③MC建設機械による施工の効率化
設計で作成した3次元モデルをMC建設機械と連携させて、高さ・勾配等を自動制御することで施工における作業の効率化を図る。また、重機周りの作業等が減少することで安全性の向上も図れる。
3.解決策に共通するリスクとそれへの対策
リスク・・・5年後の情報化社会ではICTに依存した業務形態となり、機器の故障やGPS精度の低下などが発生した場合に業務の遂行が困難となる。そのため、工期遅延による大きな経済損失の可能性がある。
解決・・・ICT技術導入に伴い、ICTに対応できる技術者や技能労働者の育成・拡大を図り、ICT機器のメンテナンス業者、ICT機械そのものの増加を図る。また、ICT技術におけるシステムも、技術の進歩に併せてアップデートを定期的に実施することで、精度の低下を回避する。
4.業務として必要となる要件
技術者理論の観点:UAV3次元測量,BIM、CIMの3次元設計,MC建設機械施工,ICT技術者育成を遂行するにあたり、技術者倫理も高めるため、UAV機器不良による落下事故や情報セキュリティー対策など、ICT導入に伴うリスクマネジメントを整備して安全性を確保する。
社会の持続可能性の観点:UAV3次元測量,BIM、CIMの3次元設計,MC建設機械施工,ICT技術者育成を遂行するにあたり、社会持続性を高めるため、女性や多様な人材を起用するダイバーシティに取り組み、人材の確保および育成を図る。
1.生産性向上における課題
①ICTの利用による作業の効率化
ICTを活用して、少ない人数、少ない日数で同じ仕事量を行い、作業の効率化を実現することで生産性の向上を図る。また、ICTの活用により作業が効率化することで、中長期的に予測される働き手の減少分を補完することができる。
②多能工化による稼働率の向上
多能工化の実施により、複数作業を連続させて作業間の手持ちを減らすことで、稼働率を高めて生産性の向上を図る。また、多能工化により下請企業数を減らすことで、職種の手配や調整業務を効率化して、現場管理の負担低減を図る。
③コンクリート工の2次製品化
コンクリート工の規格の標準化、プレキャスト化により、組み立て等に生じる時間の短縮や工場生産化によりコスト削減を図る。また、プレキャスト化により、現場作業を少なくすることで、安全性の向上や作業に伴う騒音の低減にもつながる。
2.ICT技術の全面的な活用
①UAVによる3次元測量
小回りが利き、空中写真に比べ機械経費が安く、容易に撮影が行えるUAVにより3次元測量を行う。これにより、自動処理や測量の省力化を可能にすることで、コストダウン、作業の効率化を図る。また、検査に伴う出来形の書類確認を、UAVによる三次元測量で行うことで、書類を不要とし検査項目を減少させて検査の省力化を図る。
②BIM、CIMの3次元設計による迅速化
BIM、CIMの3次元設計による設計の可視化を実現する。これにより、合意形成の迅速化、設計ミスや手戻りの低減、設計変更が容易となり、効率的に業務を遂行することができる。
③MC建設機械による施工の効率化
設計で作成した3次元モデルをMC建設機械と連携させて、高さ・勾配等を自動制御することで施工における作業の効率化を図る。また、自動制御により重機周りの作業や高所作業を減少させることで、作業の安全性が向上する。
3.解決策に共通して新たに生じるリスクと対策
①リスク
5年後の情報化社会ではICT技術に依存した業務形態となり、業務を遂行する中で機器の故障やGPS精度の低下などが発生した場合に、業務の遂行が困難となる。そのため、ICT機器の修理や代替機の手配により業務が一時的に滞り、工期遅延による大きな経済損失が発生する可能性がある。
②対策
ICT技術の全般的な導入に伴い、ICT技術に対応できる技術者や技能労働者の育成・拡大を図り、情報化社会に対応できるようにする。また、ICT機器のメンテナンス業者、ICT機械そのものの増加を図り、急なトラブルにも対応可能にすることで、業務の滞りを回避する。
ICT技術におけるシステムの向上においては、管理基準の変更や技術の進歩などに併せて、システムのアップデートを定期的に実施する。これにより、ICT機器の精度を維持して業務を遂行することができ、システムの低下に伴う作業の遅れを回避する。
4.業務として必要となる要件
①技術者理論の観点
UAV3次元測量、BIM、CIMの3次元設計、MC建設機械施工、ICT技術者育成を遂行するにあたり、技術者倫理も高めるため、UAV機器不良による落下事故や情報セキュリティー対策など、ICT導入に伴うリスクマネジメントを整備して安全性を確保する。
②社会の持続可能性の観点
UAV3次元測量、BIM、CIMの3次元設計、MC建設機械施工、ICT技術者育成を遂行するにあたり、社会持続性を高めるため、女性や多様な人材を起用するダイバーシティに取り組むことで、人材の確保および育成を図る。
模範解答7(簡易答案1) 添削履歴 3 作成日 2020/6/25 建設部門 選択科目 鋼コン 専門とする事項 コンクリート構造
(1)生産性向上のための課題
①ユニット化による現場施工の効率化
プレキャスト部材や埋設型枠の使用、鉄筋組立作業の効率化による現場施工のユニット化を行う。
②ICT施工の普及
ICT施工の対象工種を地盤改良工、法面工や舗装修繕工に拡大するため、基準類を拡充し、ICT機器の用途を広げる。
③フロントローディングの考え方に基づく施工者の設計段階からの参画
設計段階より施工者のノウハウ・技術力を取り入れることで、施工段階での手待ち・手戻りや手直しの削減等、工期短縮・コスト削減を図る。
(2)最も重要と考える課題とその解決策
課題:①ユニット化による現場施工の効率化
解決策①:プレキャスト部材の使用
工場製作のプレキャスト部材の使用により気象条件の制限による影響を抑えられ、現場作業と並行した施工時期を見込んだ製作により、工程短縮が図られる。
解決策②:鉄筋組立作業の効率化
機械式鉄筋定着工法・機械式鉄筋継手工法の使用により、工期を約1割削減する。また、作業の一部を工場又は現場近くのヤードで製作するプレハブ鉄筋を用いる。
解決策③:埋設型枠の使用
プレキャスト部材のみでの対応が難しい大型構造物では埋設型枠を使用するハーフプレキャスト工法により、脱型作業を削減し工期短縮を図る。
(3)解決策に共通して新たに生じうるリスクとそれへの対策
共通リスク:作業のユニット化により作業工程が単純化するため、マンネリ化により、技術者が創意工夫意欲を失ったり、技術力が停滞する可能性がある。
対策:さらなる生産性向上技術の開発にインセンティブを与える制度による意欲向上と、ベストプラクティス共有型のナレッジマネジメントにより、技術者の技術力停滞を防止する。
(4)業務として遂行するに当たり必要となる要件
技術者としての倫理:施工時の情報を3次元データで維持管理へ引き継ぐことにより維持管理の効率化が図られ、公衆の利益が優先される。
社会の持続可能性:建設分野の担い手不足が顕著になる中、女性技術者や多様な人材を起用するダイバーシティを推進し、人材の確保・育成を図る。
解説
以下の指摘に従ってまとめてもらいました。
・タイトルは課題の内容を代表するぴったりの言葉にする。
・課題はお題目みたいな言葉、あいまいな言葉は不要。具体的な内容とする。
・答案にふさわしい、ちょうどよいレベルでの具体化が必要である。大雑把でも、細かすぎても△。
・「見直し」とは何をどうするか。記載するのはafterだけでよい。
・課題は2つの別物を抱き合わせにするのではなく1つにする。両方言いたいのであれば、課題を分けて記載する。
・二重表現に注意する。
・問4は経済的なプラスになる提案をできた方が意義が大きい。コストをかけずに性能の向上につながる提案、なおかつ技術者倫理を満たす提案を記載すること。
模範解答7(簡易答案2) 添削履歴 7 作成日 2020/7/7 建設部門 選択科目 鋼コン 専門とする事項 コンクリート構造
(1)生産性向上のための課題
①ユニット化による現場施工の効率化
プレキャスト部材の使用、鉄筋および型枠組立作業の効率化により、コンクリート工の生産性を向上する。
②ICT施工の普及
ICT施工の対象工種を地盤改良工、法面工や舗装修繕工に拡大し、地方公共団体実施工事や小規模工事への普及のため、施工業者及び地方発注者向けの研修を実施する。
③フロントローディングの考え方に基づく施工者の設計段階からの参画
設計段階より施工者のノウハウ・技術力を取り入れることで、施工段階での手待ち・手戻りや手直しの削減等、工期短縮・コスト削減を図る。
(2)課題:ユニット化による現場施工の効率化
解決策①:プレキャスト部材の使用
工場での屋内製作作業を増やすことで生産性を上げ、気象条件の影響を抑え、安定した高品質の構造物を施工する。工場作業においては、部材の仕様(サイズ)の標準化により、製品種類を減らすことでロット生産の効率性を向上させる。これらにより、現場および工場トータルでの効率化が可能となる。
解決策②:鉄筋組立作業のプレハブ化
鉄筋のプレハブ化を行い、現場での組立作業を削減する。機械式鉄筋定着工法・機械式鉄筋継手工法の使用により、鉄筋の継手作業と定着部の合理化を図り、工期を約1割削減する。
解決策③:型枠組立作業の効率化
埋設型枠の使用やハーフプレキャスト工法により、型枠組立作業の工期を短縮し、型枠撤去作業を不要とする。
(3)解決策に共通して新たに生じうるリスクと対策
共通リスク:作業のユニット化により作業工程が単純化するため、マンネリ化により、技術者が創意工夫意欲を失ったり、技術力が停滞する可能性がある。
対策:生産性向上技術の開発のため、効果の高いカイゼンやCPD単位の多取得者を表彰するインセンティブ制度により意欲向上を図る。一方「PCa定着鉄筋端部を拡径加工して支圧力を増す」といった現場の工夫を工法として普及を図るナレッジマネジメントにより、技術者の技術力停滞を防止する。
(4)業務として遂行するに当たり必要となる要件
技術者としての倫理:施工時の情報を3次元データで維持管理へ引き継ぐことにより、維持管理の効率化が図られ、構造物の長寿命化やライフサイクルコストの低減に寄与する。これは技術士倫理綱領の「公衆の利益の優先」に相当する。
社会の持続可能性:建設分野の担い手不足が顕著になる中、社会の持続可能性を高めるため、女性技術者や多様な人材を起用するダイバーシティを推進し、人材の確保・育成を図る。これはSDGsの目標8の生産的な完全雇用に相当する。
解説
・タイトルは課題の内容を代表するぴったりの言葉にする。
・課題はお題目みたいな言葉、あいまいな言葉は不要。具体的な内容とする。
・答案にふさわしい、ちょうどよいレベルでの具体化が必要である。大雑把でも、細かすぎても△。
・「見直し」とは何をどうするか。記載するのはafterだけでよい。
・課題は2つの別物を抱き合わせにするのではなく1つにする。両方言いたいのであれば、課題を分けて記載する。
・二重表現に注意する。
・問4は経済的なプラスになる提案をできた方が意義が大きい。コストをかけずに性能の向上につながる提案、なおかつ技術者倫理を満たす提案を記載する。
・解決策はどうやって効率的、効果的に行うかという提案(これがメイン)をする。根拠はそこそこで良い。あくまでも解決策のメインは方法論である。
・解決策は課題の直接的な解決に集中し、その内容を発散させないこと。
・理解しづらいと判断される専門用語を使う場合は、事例などを示して、説明を補足する。
・説明が長い2つのことを1文で言わない。
・冗長な説明は不要。
・国の助成制度活用や産官学の協力を得るとか、補助金を得るという提案は、安直で、好ましいものではない。
模範解答7(完成答案) 添削履歴 4 作成日 2020/7/19 建設部門 選択科目 鋼コン 専門とする事項 コンクリート構造
(1)生産性向上のための課題
①ユニット化による現場施工の効率化
屋外生産を基本とする従来の現場打ちコンクリート作業において、プレキャスト部材の使用により、現場作業よりも生産性が高く、安定した工場製作作業の割合を増やす。
また、プレハブ鉄筋や埋設型枠の使用によるコスト削減や工期短縮により、コンクリート工の生産性を向上する。
②ICT施工の普及
ICT施工の対象工種を地盤改良工、法面工や舗装修繕工に拡大するため、施工者、ICT機器メーカーや業団体等民間の要望や提案を取り入れることで、実効性の高い基準類の策定及びICT建機の適用範囲の拡大を行う。
③フロントローディングによる設計・施工の効率化
設計段階でのBIM/CIM活用により、設計成果を可視化する。
これにより、鉄筋干渉などの設計図の不整合防止や、合理的な工法の選定、効率的な施工手順の選定を行い、工期短縮・コスト削減を図る。
(2)課題:ユニット化による現場施工の効率化
解決策①:プレキャスト部材の使用
工場での屋内製作作業を増やすことで生産性を上げ、気象条件の影響を抑えることにより、安定した高品質の構造物を施工する。工場製作作業においては、部材の仕様(サイズ)の標準化により、製品種類を減らすことでロット生産の効率性を向上させる。
これらにより、現場および工場トータルでの効率化を図る。
解決策②:鉄筋組立作業のプレハブ化
鉄筋のプレハブ化を行い、現場での組立作業を削減する。機械式鉄筋定着工法・機械式鉄筋継手工法の使用により、鉄筋の継手作業と定着部の合理化を図り、工期を約1割削減する。
これらの効率化により安全性・品質も合わせて向上させる。
解決策③:型枠組立作業の効率化
埋設型枠の使用やハーフプレキャスト工法による、現場作業の一部工場化により、型枠組立作業を効率化する。さらに、型枠撤去作業が不要となるため、工期を短縮し、合わせて現場作業の削減による安全性の向上も図る。
(3)解決策に共通して新たに生じうるリスクと対策
共通リスク:作業のユニット化により作業工程が単純化するため、マンネリ化により、技術者が創意工夫意欲を失ったり、技術力が停滞する可能性がある。
対策:生産性向上技術の開発のため、効果の高いカイゼンやCPD単位の多取得者を表彰するインセンティブ制度により意欲向上を図る。
一方「PCa定着鉄筋端部を拡径加工して支圧力を増す」といった現場の工夫を工法として普及を図るナレッジマネジメントにより、技術者の技術力停滞を防止する。
(4)業務として遂行するに当たり必要となる要件
①技術者としての倫理の観点
施工時の情報を3次元データで維持管理へ引き継ぐことにより、的確な点検計画や安全対策の合理化、資料の一元管理等による維持管理の効率化が図られ、コンクリート構造物の長寿命化やライフサイクルコストの低減に寄与する。
これは技術士倫理綱領第一条の「公衆の利益の優先」に相当する。
②社会の持続可能性の観点
建設分野の担い手不足が顕著になる中、社会の持続可能性を高めるため、女性技術者や外国人など多様な人材を起用するダイバーシティを推進し、人材の確保・育成を図る。加えて、建設現場の4週8休の確保などにより、建設産業の新3K(給与が良い、休暇が取れる、希望が持てる)への転換を図る。
これはSDGsの目標8の「完全かつ生産的な雇用及び働きがいのある人間らしい仕事」に相当する。
解説
・タイトルは課題の内容を代表するぴったりの言葉にする。
・課題はお題目みたいな言葉、あいまいな言葉は不要。具体的な内容とする。
・答案にふさわしい、ちょうどよいレベルでの具体化が必要である。大雑把でも、細かすぎても△。
・「見直し」とは何をどうするか。記載するのは、beforeは不要で、afterだけでよい。
・課題は2つの別物を抱き合わせにするのではなく1つにする。両方言いたいのであれば、課題を分けて記載する。
・二重表現に注意する。
・問4は経済的なプラスになる提案をできた方が意義が大きい。コストをかけずに性能の向上につながる提案、なおかつ技術者倫理を満たす提案を記載する。
・解決策はどうやって効率的、効果的に行うかという提案(これがメイン)をする。根拠はそこそこで良い。あくまでも解決策のメインは方法論である。
・解決策は課題の直接的な解決に集中し、その内容を発散させないこと。
・理解しづらいと判断される専門用語を使う場合は、事例などを示して、説明を補足する。
・文脈の一貫性を欠く、とってつけたような説明は不要である。
・提案の見出しに対して、発散した内容とならないようにする。
・言葉の言い換えではなく、本質的な内容を記載する。
・提案の基軸をしっかりと持つこと。提案内容がぶれないようにする。
・わからない、やったことない、見聞きした知識だけで私は使えない・・という、暗記しただけの知識では責任ある提案できません。