衛生工学部門 必須科目 解答者12 建築物環境衛生管理 専門:空気調和
衛生工学部門 必須科目 解答者12 建築物環境衛生管理 専門:空気調和
予想問題 Ⅰ-1 簡易答案
日本政府においてSDGsの普及展開を図るための具体的取組のなかで、地方創世の推進を挙げている。今後世界的に進む都市化を見据えて、環境や高齢化等の社会課題に対応した環境未来都市構想のなかで、地方の将来への成長力確保のためには、安全・安心な住み続けられる都市を目指し、地方活性化と自立化をしていくことが大切であるとしている。このことを踏まえて以下の問いに答えよ。
(1)あなたの専門におけるこれらの目標に関する現状について述べるとともに、目標を達成するために、技術者としての立場で多面的な観点から課題を抽出し分析せよ。
(2)抽出した課題のうち最も重要と考える課題を1つ挙げ、その課題に対する複数の解決策を示せ。
(3)SDGsの17目標達成のへの取り組みは、複数の目標へと関連していく場面が多い。(2)の解決策を実施することで関連する目標を示し、説明せよ。
(4)SDGsの目標達成度を定量的に計る指標にグローバル指標と各自治体によって設定するローカル指標がある。地方創世のため(2の業務を遂行するに当たり、ローカル指標を提案し、説明せよ。
(1)目標達成のための課題と分析
1.執務環境の快適性による生産性向上をしてダイバーシティーの実現をさせる。
タスク・アンビエント空調にて空調のパーソナル化をして、個別満足度を向上させ生産性を上げる。自然通風、外気冷房など自然環境の直接的取込をして、メンタルヘルスに配慮した健康的な居住空間をつくる。
2.病院の空気質を保全し感染症拡大を防止して、住み続けられる地方を創生する。
室圧ゾーニングでの気流計画、空気ろ過と殺菌を行い、院内感染を防止する。
3.再生可能エネ利用による、エネルギーの地産地消をして低炭素社会をつくる。
風力、中小水力、バイオマス等の再生可能エネを活用して、エネルギー地産地消を図り、CO2排出量を抑えて気候変動対策をする。建物間で余剰した冷温熱を融通して、地域のエネルギー有効利用をする。
(2)病院の空気質保全での院内感染防止
1.病室などの汚染ゾーンを陰圧として、病原菌の封じ込めをする。
病室の給気、排気ダクトをVAVにて風量制御し、陰圧を確保する。気流が病室に流れるようにして、病原菌の封じ込めをする。
2.飛沫感染防止のため、気流速度を0.5m/s以下とし呼吸域に病原菌が舞上るのを防止する。また、一方向気流を確保し、乱流による浮遊性粒子拡散を防止する。
3.比色法60%以上の中性能フィルターで空気を循環ろ過(12回/h以上)して、清浄度を確保する。外気の取入量は2回/h以上とする。
(3)関連する目標
目標3.あらゆる年齢のすべての人々の健康的な生活を確保し、福祉を推進する。
院内感染防止システムを発展途上国などに技術展開し、伝染病、感染症防止をする。
目標12.接続可能な生産消費形態を確保する。
フィルターのリサイクル、再資源化をして廃棄物の発生を削減する。フィルターの代替として、エアワッシャによる浮遊性粒子の除去を行う。
目標8.接続可能な経済成長と雇用の確保をする。
院内感染を防ぎ、パンデミックでの都市機能低下による経済成長低下を防止する。
(4)ローカル指標
高齢者の就労と住民の健康促進を図り、社会保険料支出と税収の差である赤字上昇率をゼロにする。
予想問題 Ⅰ-2 簡易答案
政府の第5期科学技術基本計画において、我が国の目指すべき未来社会の姿としてSociety5.0が提唱されました。ここで実現を目指す社会は、全ての人と物がIOTで繋がり、そのビッグデータをAIが解析して新しい価値やサービスを提供して、社会課題の解決に役立てるものです。気候変動防止を念頭に、以下の問いに答えよ。
(1)あなたの専門におけるこれらの目標に関する現状について述べると共に、目標を達成するために、技術者としての立場で多面的な観点から課題を抽出し分析せよ。
(2)抽出した課題のうち最も重要と考える課題を1つ挙げ、その課題に対する複数の解決策について述べよ。
(3)解決策に共通して生じうるリスクとそれへの対策について述べよ。
(4)上記事項を業務として遂行するに当たり、技術者としての倫理、社会の持続可能性の観点から必要となる要件・留意点を述べよ。
(1)課題の抽出と分析
1.BEMSによるエネルギー利用効率を向上させ、一次エネ消費量を低減する。
熱源運転データー、外気データー等をBEMSに蓄積させ、最適省エネ運転ポイントをAIに分析させ、省エネルギーを図っていく。
2.デマンドレスポンスによる地域でのエネルギー有効利用をする。
クラウド上で建物間のデマンドレスポンスを把握し、近隣の建物間で熱融通を行う。排熱の有効利用が可能となり、また、効率の良い熱源を優先的に運転可能となりCO2排出量が低減できる。
3.BIMで設計、維持管理情報の一元管理をして生産性を向上させる。
BIMとIOT技術の連動により生産性を向上させ、CO2排出量低減をする。
4.資材輸送の自動化による、化石燃料の低減をする。
輸送場所、道路状況による最適ルートをAIにて解析し、燃料消費を抑える。輸送車両を電気自動車、水素自動車として化石燃料消費低減を図る
(2)BIMで設計、維持管理情報の一元管理をして生産性を向上させる
1. BIMでCFD解析を行い、MR技術で現場投影して空調性能評価をする。設計段階での事前の性能評価が可能となり工程の短縮が図れる。
2.BIMと負荷計算書を連動させ、建築意匠、構造に対する熱負荷シュミレーションをして省エネ設計をする。窓、庇などの形状が熱負荷に与える影響を早期に把握して、設計効率を向上する。
3.BIMにIOTセンサー情報を集約し、居住域の熱環境の見える化を行い、快適制御をして生産性を向上し、CO2排出量を低減する。機器の属性情報を付加して、維持管理履歴の蓄積をし更新時期を予想して、省エネ運転を継続させる。
(3)新たに生じうるリスクと対策
リスク;BIMを中心として様々なデーターが集約され、自動運転化されるに従い、操作の複雑性が増してしまう。少しの誤操作、故障が省エネ運転を妨げてしまい、CO2排出量を増やしてしまう。
対策;空調システムの維持管理を専門家の業者により、クラウド上にて行い、中央監視の遠隔化をする。設備専門知識とITリテラシーをもった技術者が複数の建物空調管理を集約して行う事で、省エネ運転が効果的に継続できる。
予想問題 Ⅰ-3 簡易答案
コロナウィルスの感染拡大を受け、建築生産方法の変革が期待されている。テレワークや生産のデジタルトランスフォーメーションが紙面を賑あわせるなか、空気調和設備としての対応必要性が迫られている。
このことを踏まえて以下の問いに答えよ。
(1)あなたの専門におけるこれらの目標に関する現状について述べるとともに、目標を達成するために、技術者としての立場で多面的な観点から課題を抽出し分析せよ。
(2)抽出した課題のうち最も重要と考える課題を1つ挙げ、その課題に対する複数の解決策を示せ。
(3)解決策に共通して生じうるリスクとそれへの対策について述べよ。
(4)上記事項を業務として遂行するに当たり、技術者としての倫理、社会の持続可能性の観点から必要となる要件・留意点を述べよ。
(1)目標達成のための課題抽出と分析
1.事前の空調性能検証を仮想空間で行い、現場に適用する。
気流計画、建物温度環境を仮想空間で可視化して、空調性能検証をする。現場完成前に性能確認が可能となり、施工品質が向上する。
2.写真測量技術を活用し3Dモデルによる現場品質確認をする。
VRによりコンピューター上で表現される現場の3次元映像を仮想空間内で可視化する。遠隔地からの現場品質管理が可能となる。
3.MR技術にて施工図と現場の整合確認をし、現場監理作業の省力化をする。
設備配管のつり込み用インサート位置を、MR技術にて現場墨出しをして、施工のスピード化を図る。
(2)事前の空調性能検証を仮想空間で行い、現場に適用する
1.CFD解析をBIM上で行い、気流解析と温度環境を可視化して性能確認する。
浮遊性粒子の拡散状態が確認可能となり、感染症拡大防止になる。
2.BIMと熱負荷計算を連動させ、アルゴリズムを与えて省エネルギーに寄与する外装デザインを設計する。各部屋の換気量、熱負荷の情報を持たせ、系統毎の空調機、ファンなどの自動選定をする。
3.中央監視システムをクラウド化して省エネシステム最適化を行っていく。
地域単位での多くのビル空調運転データーをクラウド上のAIにて分析させ、ビックデーターの活用にて地域単位での省エネシステムを構築する。
(3)新たに生じうるリスクとその対応策
リスク;生産手段の自動化により生産性が合理化し効率が向上してくると、設備技術者が余剰してくる。
対策;今後成長の見込める東南アジアにITを活用した生産技術を展開し、市場を拡大して、余剰した設備技術者を活用していく。
(4)技術者倫理、社会持続性の観点から必要となる要件、注意点
技術者論理を高めてするには、上記CFD解析、BIM、クラウド化をして低炭素社会の実現をしていく。これは技術士綱領「公衆の健康、安全を最優先にする」に該当する。また、社会持続性を高めてするには、上記CFD解析、BIM、クラウド化にて、地域での省エネと環境性の確保を図っていく。これは、SDGs11.3「包括的かつ持続可能な都市化の促進」に該当する。