建設部門 選択科目 土質及び基礎 予想問題Ⅱ-1 解答者06専門:土質調査

建設部門 選択科目 土質及び基礎 予想問題Ⅱ-1 解答者06専門:土質調査

予想問題 Ⅱ-1-1 簡易答案

杭の側方移動が発生する原理と杭基礎への影響を説明せよ。また、側方移動に対して検討する際の留意点を3つ挙げ、その概要を説明せよ。

 

1.杭の側方移動が発生する原理と杭基礎への影響

 軟弱地盤上に設けられた橋台等の杭基礎において、橋台背面の盛土荷重に対して地盤のせん断強度が低い場合や、杭の大きさや本数など基礎の設計に側方流動圧を考慮しなかった場合に、背面盛土荷重により橋軸方向に対して杭が変形し橋台の沈下や変形を引き起こす。

2.杭の側方移動の検討における留意点

①粘着力と単位体積重量の把握

 現況の軟弱層の粘着力は、非圧密非排水強度により算出し、圧密排水工法等の対策後においては、強度増加後の粘着力を算出して側方移動判定を行う。その際、盛土の単位体積重量は湿潤密度試験等により正確に確認する。

②側方移動判定値の算出

 側方移動判定値が1.2以上の場合は側方移動のおそれがあり、側方移動判定値算出に用いる地盤の高低差は、背面盛土を含めた盛土天端と現況地盤高さにより算出し、施工中や将来の計画を考慮して判定する。

③側方移動対策と軟弱地盤対策工との併用

 軟弱層の圧密排水や固結などの対策工により、側方移動の防止を図るが、このような現象が生じる軟弱地盤においては、同時に圧密沈下や盛土安定も問題になる。そのため、これらの対策を併せて検討する。

予想問題 Ⅱ-1-1 完成答案

1.杭の側方移動が発生する原理と杭基礎への影響

軟弱地盤上に設けられた橋台等の杭基礎において、橋台背面の盛土荷重に対して地盤のせん断強度が低い場合や、杭の大きさや本数など基礎の設計に側方流動圧を考慮しなかった場合、背面盛土荷重により橋軸方向に対して杭が変形し橋台の沈下や変形を引き起こす。

2.杭の側方移動の検討における留意点

①粘着力と単位体積重量の把握

 現況の軟弱層の粘着力は、非圧密非排水強度により算出し、圧密排水工法等の対策後は、強度増加後の粘着力を算出して側方移動判定を行う。その際、盛土の単位体積重量は湿潤密度試験等により正確に確認する。

②側方移動判定値の算出

 側方移動判定値が1.2以上の場合は側方移動のおそれがあり、判定式の適用は、標準貫入試験のN値が6以下または一軸圧縮強度が120kN/㎡以下である粘性土層がある場合とする。側方移動判定値算出に用いる地盤の高低差は、背面盛土を含めた盛土天端と現況地盤高さにより算出し、施工中や将来の計画を考慮して判定する。

③側方移動対策と軟弱地盤対策工との併用

 軟弱層の圧密排水や固結などの対策工により、側方移動の防止を図るが、このような現象が生じる軟弱地盤においては、同時に圧密沈下や盛土安定も問題になる。そのため、これらの対策を併せて検討する。

予想問題 Ⅱ-1-3 簡易答案

地盤の粘着力について、基礎の設計における主な利用目的を説明せよ。また、粘着力を求めるための調査・試験方法を3つ挙げ、それぞれの方法を概説するとともに得られた粘着力の利用上の留意点について説明せよ。

1.基礎の設計における粘着力の主な利用目的

 

 粘着力は、単位体積重量などと一緒に基礎底面地盤の極限鉛直支持力を算出し、直接基礎の根入れや形状を照査するのに用いる。また、地盤改良等において、改良後の支持力を判定する際にも粘着力が用いられる。

2.粘着力の算出方法

①標準貫入試験:標準貫入試験は、63.5kgのハンマを760mmの高さから落下させてSPTサンプラーを300mm動的貫入するのに必要な打撃回数のN値を求める。

C=6.25Nにより求まる。N値が5未満であるような軟弱な粘性土の場合は、大きなエネルギーを必要とする標準貫入試験では、過小評価となるため、乱れの少ない試料からの室内試験が望ましい。

②一軸圧縮試験:一軸圧縮試験は、乱れの少ない自立する供試体を、拘束圧が作用しない状態で圧縮し、圧縮応力の最大値である一軸圧縮強さqu(KN/㎡)を求める。C=qu/2により求まる。一軸圧縮試験は乱れの影響を受けやすいため、応力-ひずみ曲線により明確な強度ピークを示しているか判断する。

③三軸圧縮試験:三軸圧縮試験は、主にボーリング等により採取された乱れの少ない試料にて、その深度の有効拘束圧で圧密応力を設定して圧縮を行う。主に粘性土では、非圧密非排水UU試験にてφ=0として求める。主に砂礫地盤では、圧密排水CD試験にてC=0として内部摩擦角を利用する。

予想問題 Ⅱ-1-4 簡易答案

斜面崩壊の発生形態を浸食・崩落、表層崩壊、大規模崩壊、岩盤崩壊の4つに分類するとき、この分類の基本的考え方と使用方法について説明せよ。また、このうち2つの型を選び、その特徴を説明せよ。

1.斜面崩壊の発生形態の考え方

①浸食・崩落・・・乾湿、凍結、雨水等により表面が剥離し、湧水の作用でオーバーハングとなった部分が滑落する場合にも使用される。

②表層崩壊・・・表土が湧水等により滑落し、岩の表層が風化等により滑落する場合にも使用される。

③大規模崩壊・・・軟弱土の斜面や地質構造的に不安定な要因を持つ斜面が地下水位の上昇に伴い大規模に滑落し、軟岩等の切土に伴う大規模な地滑りなどの崩壊にも使用。

④岩盤崩壊・・・岩塊落下による崩落や節理等に沿ってすべる岩すべりがあり、岩盤の亀裂に浸透した水の凍結・融解による風化破壊促進による崩壊の場合にも使用。

2.浸食・崩壊の特徴

切土のり面が浸食を受けやすい土砂あるいは粘着力に乏しい砂や火山灰等で構成されている場合や、表土に覆われた比較的急勾配の斜面において、地表水や浸透水によってのり面や斜面が浸食を受け崩落する。

3.表層崩壊の特徴

 難透水性の地層の上に砂質土や崖錐性の堆積物が堆積しているような場合や固結度の低い地層の場合、豪雨等に伴う浸透水が誘因となって深さ2m程度以下の浅い崩壊を生じる。

予想問題 Ⅱ-1-5 簡易答案

三軸圧縮試験の結果に用いるモールの破壊規準と、その適用上の留意点について説明せよ。

また、三軸圧縮試験の試験方法を3つ挙げ、それぞれの概要を説明するとともに、C、φの利用上の留意点について説明せよ。

1.モールの破壊基準

 各セル圧の主応力差の最大値をもとに描いた応力円と包絡線がモールの破壊規準であり、このモールの破壊規準はクーロンの破壊規準τ=c+σtanφにより直線的に表し、三軸圧縮試験はこの直線式から、せん断強さの切片を粘着力C、角度を内部摩擦角φとして算出。モール・クーロンの破壊規準といわれる。

2.三軸圧縮試験の試験方法

①土の非圧密非排水(UU)三軸圧縮試験:非排水状態で1%のひずみ速度を標準とし、異なる拘束圧で圧縮した破壊時のモール円から包絡線を引きC、φ算出。非排水状態で加えられたセル圧の変化は、等量の間隙水圧の変化を生じ土の密度等は変わらないため、応力円に対する包絡線からφ=0とした粘着力を利用。

②圧密排水(CD)三軸圧縮試験:圧密後の供試体を、せん断中に発生する間隙水圧を事実上ゼロとみなせるような速度で排水を伴いながら圧縮。破壊時の全応力によるモールの応力円が、そのまま有効応力によるモールの応力円となり、主に排水を伴う砂質土地盤の安定問題に利用。

③圧密非排水(CUB)三軸圧縮試験:主として飽和粘性土を対象、シルト分多で0.1%/min、粘土分多で0.05%/min程度の速度で間隙水圧を測定しながら圧縮し有効応力強度算出。CUBで得られる有効応力とCD試験の全応力が等しいため、CD試験では非常に長時間を要する粘土は、CUBで得られる有効応力を利用。

予想問題 Ⅱ-1-6 簡易答案

液状化の判定に用いられる非排水繰返し三軸試験の概要と、得られた定数を用いた液状化判定方法と留意点を説明せよ。

 1.非排水繰返し三軸試験の概要

 液状化は、繰り返しの地震波により間隙水圧の排水が短時間で完了しない場合に発生するため、非排水繰返し三軸試験により、非排水条件すなわち地震波により間隙水圧が排除されない状態で繰返し荷重の地震波を再現する。そのため、M=8程度に相当する繰り返し載荷回数20回の液状化強度を挟むように4種類の軸荷重を設定し、液状化の判断である過剰間隙水圧比95%時において液状化強度を算出する。

2. 液状化判定方法

①液状化判定

 液状化強度から求めた液状化強度比Rと地震時に加わる繰返しせん断応力比Lから、液状化に対する安全率FL=R/Lを求め、安全率FLが1以下であれば液状化の可能性があると判断する。

②留意点

非排水繰返し三軸試験から算出したFL値は、N値と粒度試験から推定した値と比較して大きく示すため、それらの結果と比較することで、試料の乱れの影響の有無を確認して、最低なFL値を求める。また、試験値の精度を向上させるため、冷凍させた試料はセル内で融解して間隙水圧の排除による試料の乱れの影響を無くす。

予想問題 Ⅱ-1-7 簡易答案

土留め(山留め)掘削におけるヒービング発生メカニズムについて説明せよ。また、ヒービング対策を3つ挙げ、それぞれの概要と適用における留意点を説明せよ。

(1)ヒービング発生メカニズム

 掘削底面地盤が軟らかい粘性土であり、土留めの根入れが浅い場合に、掘削底面と土留め背面の上載荷重の差により掘削底面が隆起し、土留めのはらみや変形が生じて土留めが崩壊する。

(2)ヒービングの対策工

①深層混合処理工法による掘削面の強度増加

 掘削地盤底面を撹拌機により固化材と混合して、改良土と粘性土からなる複合地盤を形成する。これにより、土留め背面荷重よりも地盤の強度を高めることで、掘削面の隆起を防ぐ。供回り防止と攪拌率向上のため、供回り防止翼や二重管構造の撹拌機を使用する。

②土留めの根入れと剛性向上による荷重遮断

 土留めの根入れと剛性を高めることで、背面土砂荷重に対する抵抗力とすべり面の半径を大きくして、掘削面に土留め背面荷重が影響するのを防止する。支持層が浅い場合は、土留めを支持層に根入れして荷重を遮断する。

③土留め背面荷重の軽減

 土留め背面の土砂を掘削排除して、掘削面に伝わる荷重を低減する。背面掘削に伴い背面地盤の安定が問題になる場合は、背面土砂を軽量材と置き換えて荷重低減を図る。

予想問題 Ⅱ-1-8 簡易答案

構造物の側面に作用する土圧があるが、ランキンの土圧理論、クーロンの土圧理論について説明せよ。また、各検討時の留意点を述べよ。

(1)ランキンの土圧理論

 擁壁が崩壊したときの擁壁に作用する側方土圧の理論で、擁壁が十分に水平変位して崩壊したとき、裏込め土の領域のすべての土要素が塑性平衡状態に入ると仮定し、モールの応力円により擁壁に作用する土圧を計算する。

 検討時、擁壁は鉛直であること、壁面と地盤の間で摩擦が働かないこと、背面土は勾配があっても直線状であることを条件として、条件に適合しない場合は、仮想の背面を想定して適用する。

(2)クーロンの土圧理論

 砂質土(φ=0)に対しての擁壁に作用する土圧理論で、鋼な擁壁が十分移動したとき、擁壁の後の裏込めに破壊した土のくさびが形成され、そのくさびに作用するすべての力の均衡を求めることにより擁壁に作用する土圧を計算する。ランキン土圧に比べ適用上の制限が少ない。

 検討時、壁面が鉛直である必要がなく、壁面に摩擦が働いてもよい。また、背面土の表面が任意の形状でもいいことを条件として、条件に適合しない場合は、仮想の背面を想定して適用する。

予想問題 Ⅱ-1-9 簡易答案

軟弱地盤上の盛土による地盤のすべり破壊のメカニズムを概説せよ。また、安定の評価には三軸圧縮試験が必要となるが、試験方法の概要、分類及び設計での適用に際しての留意点について説明せよ

 

(1)すべり破壊のメカニズム

 盛土荷重により、軟弱地盤がせん断抵抗を上回るせん断応力を受けることで、すべり面に沿ってせん断破壊する。円弧上のすべり面によって破壊することから円弧すべりといわれる。

(2)三軸圧縮試験

①土の非圧密非排水(UU)三軸圧縮試験:非排水状態で1%のひずみ速度を標準とし、異なる拘束圧で圧縮した破壊時のモール円から包絡線を引きC、φ算出。非排水状態で加えられたセル圧の変化は、等量の間隙水圧の変化を生じ土の密度等は変わらないため、応力円に対する包絡線からφ=0とした粘着力を利用。

②圧密排水(CD)三軸圧縮試験:圧密後の供試体を、せん断中に発生する間隙水圧を事実上ゼロとみなせるような速度で排水を伴いながら圧縮。破壊時の全応力によるモールの応力円が、そのまま有効応力によるモールの応力円となり、主に排水を伴う砂質土地盤の安定問題に利用。

③圧密非排水(CUB)三軸圧縮試験:主として飽和粘性土を対象、シルト分多で0.1%/min、粘土分多で0.05%/min程度の速度で間隙水圧を測定しながら圧縮し有効応力強度算出。CUBで得られる有効応力とCD試験の全応力が等しいため、CD試験では非常に長時間を要する粘土は、CUBで得られる有効応力を利用。

予想問題 Ⅱ-1-10 簡易答案

バイブロフローテーション工法と深層混合処理工法について対策原理及び設計・施工上の留意点を説明せよ。

(1)バイブロフローテーション工法

 

 砂質土地盤の支持力増大及び液状化防止を目的として、棒状のバイブロフロットを地盤中で振動させながら水を噴射し、水締めと振動により地盤を締固め、同時に、生じた空隙に砂利等を補給して改良する工法。

 砂質土地盤の細粒分含有率が多くなるにつれて、改良効果が低下するため、ボーリング柱状図による確認や粒度試験を実施して確認する。また、地表面付近では締固めが困難となるため、施工後にローラ等で十分に転圧を行う。

(2)深層混合処理工法

 粉体状あるいはスラリー状の主としてセメント系固化材を地中に供給して、原位置の軟弱土と撹拌機を用いて強制的に攪拌混合することによって原位置で深層に至る強固な柱体状、ブロック状または壁上の安定処理度を形成する工法。すべり抵抗の増加、変形の抑制、沈下の低減および液状化防止を図る。

 土留め掘削工事の底板改良などでは、攪拌翼が矢板に接触する可能性があるため、矢板と改良体を密着させることが困難であるため、複合噴射攪拌方式にて先端から固化材を高圧で地盤中に噴射し混合して構造物に密着した改良体を施工する。

予想問題 Ⅱ-1-11 簡易答案

切土のり面の安定対策工として、かご工、モルタル・コンクリート吹付工がある。各工法について、対策原理を踏まえた工法の概要を説明せよ。また、各工法を採用する際の切土のり面の規模や地山条件、工法の特徴に着目した留意点を工法ごとに3つ述べよ。

(1) かご工

①概要:鉄線で編んだかごの中に砕石を詰め込んだものを法面に設置することで、法表面の浸食等を防止する。浸食を防ぎながら排水を促進する特徴があり、のり面浸食を防止し景観性向上や斜面安定対策として用いられる場合や、土留めとして使用する場合がある。

②留意点:のり面・斜面からの流出土砂によってかごが目詰まりを起こさないように、周囲を砂利で保護する。緑化に際しては、根の生え方や長さなどを計算して、植栽が排水の障害にならないようにする。かごの砕石は自然石を使用して、緑化しなくても環境・景観へ対応可能にする。

(2)モルタル・コンクリート吹付工

①概要:風化しやすい岩盤など、不安定になりやすい土質等に対して、モルタル・コンクリート吹付を行い、水和反応によって強固にのり面を固めて保護する。

②留意点:湧水が懸念される場合は開放型の工法を用いて、湧水の排水を可能にすることで浮き上がりを防止する。施工面積が広く平滑な場合には、10~20cmに1箇所の割合を目安として伸縮目地を設けることで、膨張や収縮によるコンクリートの亀裂を防ぐ。使用セメントが多くなるため、細粒分を多く含まない細骨材を用いて耐久性を確保する。

予想問題 Ⅱ-1-12 簡易答案

すべり破壊、圧密沈下、液状化の発生原理を説明せよ。また、液状化対策として有効な地盤改良工法を2つ挙げ、各工法の対策原理及び施工上の留意点を述べよ。

(1)すべり破壊

 盛土荷重などにより、地盤がせん断抵抗を上回るせん断応力を受けることで、すべり面に沿ってせん断破壊が生じる。

(2)圧密沈下

 軟弱な粘性土層が盛土などの荷重を受けて、土粒子間の間隙水が徐々に排水されることで体積が減少し地盤が沈下する。

(3)液状化

 地下水位が高く細粒分が少ない緩い砂質地盤において、地震動によるせん断応力により間隙水圧が上昇して有効応力が減少、せん断抵抗を失い液状のようになる。

 バイブロフローテーション工法は、棒状のバイブロフロットを地盤中で振動させながら水を噴射し、水締めと振動により地盤を締固め、同時に、生じた空隙に砂利等を補給して、締固め密度を高めせん断抵抗増大で液状化を防ぐ。地表面付近では締固めが困難となるため、施工後にローラ等で十分に転圧を行う。

深層混合処理工法は、粉体状あるいはスラリー状の主としてセメント系固化材を地中に供給し、原位置の軟弱土と撹拌機を用いて強制的に攪拌混合して深層に至る強固な柱体状、ブロック状または壁状の安定処理土を形成。土留め掘削工事の底板改良では、攪拌翼が矢板に接触して矢板と改良体の密着が困難であるため、複合噴射攪拌方式で先端から固化材を高圧で地盤中に噴射し混合し、構造物に密着した改良体を施工して、せん断強度を高めて液状化を防止する。

建設部門 選択科目 土質及び基礎 予想問題Ⅱ-2 解答者06 専門:土質調査

建設部門 選択科目 土質及び基礎 予想問題Ⅱ-2 解答者06 専門:土質調査

予想問題 Ⅱ-2-1 簡易答案

Ⅱ-2-1 模式図に示すように、軟弱地盤上の杭基礎の高架橋に隣接して、開削トンネルの計画がる。(表土粘性土N値5・1m、粘性土N値0・10m、基盤砂層N値20・10m、地下水Gl-1.0m、土留め粘性土止まり)この開削トンネルの設計及び対策工検討業務を進めるに当たり、以下の内容について記述せよ。

(1)調査、検討すべき事項とその内容について説明せよ。

(2)業務を進める手順について、留意点・工夫を要する点を含めて述べよ。

(3)業務を効率的、効果的に進めるための関係者との調整方策について述べよ。

(1) 調査、検討すべき事項とその内容

 

①橋台基礎の側方移動

橋台基礎杭が軟弱中にあり、開削面と橋台背面の高低差により基礎杭に偏土圧が生じ、基礎杭が開削側へ変位して、橋台の変形や開削面側への偏荷重により土留め壁が崩壊する。そのため、N値0の粘性土の粘着力を調査し、開削面側の粘着力を増加させて側方移動に対する抵抗力を増大させる工法を検討する。

②開削底面部のヒービング

開削底面部がN値0の粘性土であり、土留め根入れが軟弱地盤中にあるため、土留め背面と開削面の上載荷重の差により開削底面が隆起し、土留め壁が崩壊する。そのため、開削面の粘着力を調査し、粘着力を増加させて背面土砂の応力を遮断する工法を検討する。

③開削底面部の盤ぶくれ

開削底面部が難透水層、被圧帯水層の順で存在しており、遮水性の土留め壁により被圧帯水層を遮断していないため、難透水層下面に上向きの水圧が生じる。このため、上向きの水圧により開削面が膨れ上がり、最終的にはボイリング状の崩壊となる。土被り荷重、被圧水頭を調査し、開削底面の強度増加により上向きの水圧への抵抗増大を検討する。

(2)業務を進める手順と留意すべき点、工夫を要する点

①側方移動の検討

側方移動判定値を算出して、側方移動判定値が1.2以上であれば側方移動の可能性があると判断し、軟弱土のせん断抵抗増大を検討する。室内土質試験に用いる試料は、シンウォールサンプラーにより静的に採取して、試料の乱れの影響を少なくする。

②ヒービング、盤ぶくれの検討

N値0の粘着力等からヒービングに対する安全率は1.2以上、盤ぶくれの安全率は1.1以上あるか照査する。粘着力は、三軸圧縮試験により土被り拘束圧を載荷させて求める。

③深層混合処理工法の検討

N値0の粘性土をブロック状に基礎砂層まで改良し、改良体と無改良の複合地盤を形成する。表層部が撹拌機により強度低下を起こすため、表層改良を施し、無人胴体観測により橋台や地盤の変位を随時確認する。

(3)関係者との調整方策

発注者は経済的な理由から少ない添加量、配合試験者は作業効率から少ない配合パターン、改良業者は六価クロム低減を要望してくる。私は、これらの要望に対して六価クロム低減型の使用、一般的な最小添加量50kg/を配合パターンの最低添加量、目標強度を満足する3タイプで配合試験を実施。これにより、環境基準を満足する添加量で、目標強度が得られる最小添加量を算出して、効率的な業務を遂行することで各関係者の合意を得る。

予想問題 Ⅱ-2-2 簡易答案

模式図に示すように、軟弱地盤10m下の基盤が傾斜しており、その上に道路盛土の計画がある。この盛土の設計及び対策工検討業務を進めるに当たり、以下の内容について記述せよ。

 

(1)調査、検討すべき事項とその内容について説明せよ。

(2)業務を進める手順について、留意点・工夫を要する点を含めて述べよ。

(3)業務を効率的、効果的に進めるための関係者との調整方策について述べよ。

(1)調査、検討すべき事項とその内容

 

①地盤の圧密沈下:N値0の軟弱層が10m堆積し、高さ8m、幅員30mの盛土荷重により圧密沈下を引き起こす。N値0の粘着力や圧密降伏応力等を調査し、圧密排水や固結等により盛土荷重に対する支持力を高める対策工を検討する。

②地盤の安定性:支持層が傾斜しており、盛土荷重と幅員30mに対して発生した応力球根により、軟弱層の厚い側にすべりが深く、その方向にすべりが発生。軟弱層厚や地盤定数を調査し、軟弱層の厚い側を重点に強化する対策を検討。

(2)業務を進める手順

①圧密沈下の検討:N値0の軟弱層の圧縮指数Ccと盛土荷重により圧密沈下量を算出して、盛土荷重に伴う沈下量が許容変位以内であるか照査する。盛土材の締固め時の単位体積重量を、施工時の締固め量により正確に把握する。

②安定の検討:N値0の軟弱層に対して、三軸圧縮試験を実施する。盛土直後の安定は、非圧密非排水により求めた粘着力C、盛土施工中の一次圧密に伴う強度増加を考慮したい場合は、圧密後のせん断強度φ=0により粘着力を求める。

③地盤改良による対策:軟弱層の厚い側は深層混合処理によるスラリー改良、浅い側は浅層混合処理による粉体改良により、沈下量低減と安定性増大。対策後の強度確認を深層、浅層の接合位置にて行い、不同沈下の発生を無くす。

(3) 関係者との調整方策:発注者は少ない添加量、配合試験者は少ない配合パターン、改良業者は六価クロム低減を要望。私は、六価クロム低減型、一般的な最小添加量50kg/を最低添加量に設定し、3タイプで配合試験実施して、環境基準を満足する中で、目標強度が得られる最小添加量を算出して、各関係者の合意を得る。

予想問題 Ⅱ-2-3 簡易答案

Ⅱ-2-3 模式図に示すように、切土勾配1:1.2の粘性土に隣接した、幹線道路の計画がある。あなたがこの幹線道路の設計及び対策工検討業務を進めるに当たり、以下の内容について記述せよ。

 

(1)調査、検討すべき事項とその内容について説明せよ。

(2)業務を進める手順について、留意点・工夫を要する点を含めて述べよ。

(3)業務を効率的、効果的に進めるための関係者との調整方策について述べよ。

(1)調査、検討すべき事項とその内容

 

①表層崩壊:浸透水や風化により斜面が表層崩壊。のり面亀裂、簡易貫入試験で表層土分布、植生状況などを調査、斜面の風化・浸食の抑制を図る対策を検討。

②地すべり性崩壊:雨水等の浸透水の影響で、粘性土地盤と泥岩地盤の不整合面から地すべりが発生。泥岩層の分布や粘着力を調査、地すべり滑動力の抑止対策検討。

(2)業務を進める手順について、留意点・工夫点

①表層崩壊の検討:斜面表層の土質や植生状況、浸透条件等を、空中写真や地表踏査により確認、のり面保護工の種類、範囲を決定。簡易貫入試験で、粘性土の締まり具合や堆積状況を確認、固結土等の分布を確認して、適正な植生工を判断する。

②地すべり性崩壊の検討:泥岩地盤の深度や亀裂、すべり面の有無、粘着力を求めすべり抵抗を確認。泥岩地盤のためクラックや微細クラックの影響を考慮して、GPサンプリングにより試料の乱れ及び応力開放の影響を少なくする。

③現場打ちコンクリート枠工、グラウンドアンカー工の検討:道路隣接のため、曲げに強い現場打ちコンクリート枠工を使用して強固にのり面を保護。グラウンドアンカー工を併用し、泥岩地盤の周面摩擦抵抗にて斜面崩壊を防止し、アンカー体が所定の強度に達した後、設計アンカー力の1.5倍の荷重で確認試験。

(3)業務を効率的、効果的に進めるための関係者との調整方法

粘着力の算出において、発注者は経済的な面から一軸圧縮試験、試験担当者は応力開放や微細クラックの影響から三軸圧縮試験を要望する。私は、N値から予測したC¬=6.25Nと試料採取状態を基に最適な試験方法を定めて両社の合意を得る。

予想問題 Ⅱ-2-4 簡易答案

模式図に示すように、一部を地山とし、残りの部分は軟弱地盤8mを基礎とする片盛り部において、道路新設工事の計画がある。この新設工事の設計及び対策工検討業務を進めるに当たり、以下の内容について記述せよ。

 

(1)調査、検討すべき事項とその内容について説明せよ。

(2)業務を進める手順について、留意点・工夫を要する点を含めて述べよ。

(3)業務を効率的、効果的に進めるための関係者との調整方策について述べよ。

 


(1)調査・検討すべき事項とその内容

 

①道路の不同沈下:道路が地山、軟弱地盤上を基礎とし、N値0の層と盛土8m及び交通荷重により不同沈下。N値0の粘着力を調査、支持力不足なら対策工検討。

②道路のすべり破壊:泥岩地盤が傾斜、浸透水の影響で粘性土と泥岩との不整合面から地すべり発生。泥岩分布や粘着力調査、地すべり滑動力を抑止する対策を検討。

(2)業務を進める手順

①沈下の検討:N値0の軟弱層の圧縮指数Ccと盛土荷重により圧密沈下量を算出して、盛土荷重に伴う沈下量が許容変位以内であるか照査する。盛土材の締固め時の単位体積重量を、施工時の締固め量により正確に把握する。

②安定の検討:泥岩地盤の深度や亀裂、すべり面の有無、粘着力を求めすべり抵抗を確認。泥岩地盤のためクラックや微細クラックの影響を考慮して、GPサンプリングにより試料の乱れ及び応力開放の影響を少なくする。

③地盤改良による対策:N値0の粘性土を深層混合処理工法により柱体状に泥岩層まで改良し、強度増加を図る。改良に伴う表層の強度低下には表層改良を施し、盛土時には無人胴体観測により高さを随時確認して対策工の効果を確認。

(3)関係者との調整方策:発注者は経済的な理由から少ない添加量、配合試験者は作業効率から少ない配合パターン、改良業者は六価クロム低減を要望。私は、六価クロム低減型、一般的な最小添加量50kg/を配合パターンの最低添加量とし、目標強度を満足する3タイプで配合試験を設定。これにより、環境基準を満足する中で、目標強度が得られる最小添加量を算出して、各関係者の合意を得る。

予想問題 Ⅱ-2-5 簡易答案

模式図に示すように、軟弱地盤10m、その下の支持層に到達した杭で支える道路橋の建設工事において、基礎杭を打設して橋台を施工し、橋台天端まで9mの盛土を実施したところ、数日して橋台が傾いていることが判明した。あなたがこの橋台の変状原因を究明し対策を検討する担当責任者として業務を進めるに当たり、下記の内容について記述せよ。

 

(1)調査、検討すべき事項とその内容について説明せよ。

(2)業務を進める手順について、留意点・工夫を要する点を含めて述べよ。

(3当初の計画とは異なる新たな状況における関係者との調整方策について述べよ。

(1)調査・検討すべき事項とその内容

 

①圧密沈下:N値0の粘性土が10m堆積していることから、粘性土9mの盛土荷重によりN値0地盤が圧密沈下を引き起こし、盛土が沈下するため、N値0粘性土の圧密降伏応力、圧縮指数を調査し、N値0の支持量増加による対策工を検討する。

②側方移動:橋台の基礎杭がN値0の粘性土内にあることから、粘性土9mの盛土荷重によりN値0地盤が杭基礎左方向へ移動して、杭の沈下や変形を引き起こすため、N値0の粘着力を調査し、せん断抵抗を増加させる対策工を検討する。

(2)業務を進める手順

①圧密沈下の検討:N値0の粘性土の圧縮指数Ccと9mの盛土荷重により圧密沈下量を算出し、盛土荷重に対して圧密沈下量が許容範囲内であるか照査する。シンウォールサンプラーの乱れの少ない試料で湿潤密度を正確に算出する。

②側方移動の検討:N値0の粘性土の現況粘着力を非圧密非排水強度により算出、側方移動判定値が1.2未満であるか照査。算出に用いる地盤の高低差は、背面盛土を含めた盛土天端と現況地盤高さにより算出、施工中や将来の計画を含めて算出。

③深層混合処理工法の検討:橋台左側のN値0の粘性土地盤に対して、柱状に支持層まで深層混合処理、せん断抵抗と支持力を増大させ、沈下の低減と側方移動の防止。供回り防止や攪拌性能の向上のため、二重管構造や供回り防止翼を用いる。

(3)当初の計画と異なる新たな状況における調整方策

 地盤改良不良が発生した場合、チェックボーリングによる未改良箇所の確認、原因追及、再改良を実施するため、配合試験者、地盤改良業者に対して、再添加量算出、再改良の期間やコストを導き、発注者には工程、工期の承諾を得る。

予想問題 Ⅱ-2-6 簡易答案

模式図に示すように、盛土8m、表層砂質土5m、軟弱地盤10m、その下の支持層に到達した杭で支える道路橋の建設工事において、基礎杭を打設して橋台を施工したところ、数日して橋台が傾いていることが判明した。あなたがこの橋台の変状原因を究明し対策を検討する担当責任者として業務を進めるに当たり、下記の内容について記述せよ。

 

(1)調査、検討すべき事項とその内容について説明せよ。

(2)業務を進める手順について、留意点・工夫を要する点を含めて述べよ。

(3)当初の計画と異なる新たな状況における関係者との調整方策について述べよ。

(1)調査・検討すべき事項とその内容

 

①圧密沈下:粘性土N値0が10m堆積し、8m盛土荷重により沈下が発生、偏荷重により橋台が傾く。N値0の粘着力を調査して、支持力を向上させる対策工を検討。

②負の周面摩擦力:N値0の粘性土の圧密沈下により、杭基礎に下向きの摩擦力が発生、杭が沈下し橋台が沈下変形。杭の損傷を調査して、損傷がなければ地盤沈下による下向きの摩擦が杭に生じない対策工を検討する。

(2)業務を進める手順について、留意点・工夫を要する点

①圧密沈下の検討:N値0の粘性土の圧縮指数Ccと8mの盛土荷重により圧密沈下量を算出し、盛土荷重に対して圧密沈下量が許容範囲内であるか照査する。圧密沈下の速度算出は、軟弱層上部に砂質土層が存在するため片面排水として行う。

②負の周面摩擦力に対する検討:負の周面摩擦力を算出し、鉛直応力、杭体応力度、杭頭沈下量の検討を行う。鉛直支持力の検討は、負の周面摩擦力を考慮した許容支持力を、中立点の下方の土の有効重量や杭の極限支持力などを利用して算出。

③対策工の検討:N値0の粘性土に対して支持層まで深層混合処理を施し、支持力を向上させて圧密沈下を防止する。地盤改良の固化が発現されるまで、フーチング周りに鋼矢板を設置するなど、圧密沈下による負の周面摩擦力の影響を遮断する。

(3) 関係者との調整方策: 地盤改良後28日を経過しても設計強度が得られない場合、チェックボーリング実施し、固化不良原因、不良範囲、再改良に向けて、配合試験者、地盤改良業者に再添加量算出、再改良の期間やコストを調整し、発注者には工程、工期の承諾を得る。

建設部門 選択科目 土質及び基礎 予想問題Ⅲ 解答者06 専門:土質調査

建設部門 選択科目 土質及び基礎 予想問題Ⅲ 解答者06 専門:土質調査

予想問題 Ⅲ-1 簡易答案

近年、予想を超える大規模な自然災害が増加しており、地盤構造物(盛土、切土、擁壁、構造物基礎等)においても大規模災害に備えた対策が求められる。そのため、地盤構造物(盛土、切土、擁壁、構造物基礎等)において、自然災害に対する強靭化によるレジリエンスの確保は大きな課題であり、強くしなやかな防災・減災対策が求められる。

 

(1)大規模な自然災害に対する地盤構造物(盛土、切土、擁壁、構造物基礎等)の強靭化にあたり、技術者としての立場で多面的な観点から課題を抽出し分析せよ。

(2)抽出した課題のうち最も重要と考える課題を1つ挙げ、その課題に対する複数の解決策を示せ。

(3)解決策に共通して新たに生じるリスクとそれへの対策について述べよ。

(1)地盤構造物の強靭化の課題

 

①大規模災害を想定した地盤構造物の基礎地盤整備:大規模災害を想定した基礎地盤の補強や免震・制震による設計を行う。これにより、自然災害による基礎地盤の崩壊を防止し、地盤構造物が完全に崩壊するのを防ぐ。そのため、大規模災害による被害の低減や住民が避難する時間を確保することができる。

②大規模災害を想定した地盤構造物の変状:大規模災害を想定した地盤構造物の変状形態を事前に想定し、事前に対策工を検討することで、災害発生時における迅速な復旧作業を行う。これにより、地盤構造物の長期的な機能の停止を回避することができる。

③大規模災害を想定した液状化判定方法:大規模地震を想定した液状化の基準や、木造住宅など被害の大きい構造物を考慮した合理的な判定方法を確立する。これにより、合理的な液状化対策が可能になる。

(2) 大規模災害を想定した基礎地盤整備

①基礎地盤の軟弱化防止:軟弱地盤に対してセメント改良や置換え等を実施し、地盤のせん断強度を高める。これにより、大規模な大雨の地下水位上昇に伴う地盤の軟弱化を防止して、構造物の沈下等を防ぐ。

②基礎地盤のすべり防止:地すべりが想定される地盤に対して、斜面の排土、擁壁の設置、落成防止柵、アンカー等を施し、大規模な地震や大雨による地すべり発生の抑止・抑制を図り、地すべりにより民家や道路が被災するのを防ぐ。

③基礎地盤の液状化防止:大規模な地震において、液状化が想定される砂質地盤に対して、セメント改良や置換え、構造物基礎の支持杭化等を実施する。これにより、地震発生に伴う地盤の液状化を防止して、地盤の沈下、構造物の変形を防ぐ。

(3)解決策に共通して新たに生じるリスクとそれへの対策。

①リスク:積極的な地盤改良、置換え、斜面の排土などにより、大量の建設発生土が生じ、発生土の受け入れ先の飽和や使用不可能な残土により、土砂の長期放置や運搬にともなうトラックが増加がする。そのため、土砂確保に伴う土地の整備や運搬に伴う排気ガスの増加により、自然環境・生活環境に影響を及ぼす可能性がある。

②対策:発注者による土砂運搬先や運搬ルートの指定、ストックヤードの整備、他工事との工事間利用の促進を図る。これにより、あらかじめ建設発生土の適正な利用及び処分を確保することで、自然環境、生活環境の悪化を回避する。

予想問題 Ⅲ-2 簡易答案

近年、我が国では少子高齢化による生産年齢人口の減少が続いており、建設業界においても、現在及び将来にわたる公共工事の品質確保とその担い手の中長期的な確保・育成が求められている。

 

 その一方で、社会資本の老朽化に伴う健全性の確保も必要であり、中長期的に品質を確保することが求められる。

(1)地盤構造物(盛土、切土、擁壁、構造物基礎等)において、中長期的な品質の確保に当たり、盛土、切土、擁壁、構造物基礎の中から3つを選び、それぞれにおける品質確保上の特徴を述べたうえで、技術者としての立場で多面的な観点から課題を抽出し分析せよ。

(2)抽出した課題のうち最も重要と考える課題を1つ挙げ、その課題に対する複数の解決策を示せ。

(3)解決策に共通して新たに生じるリスクとそれへの対策について述べよ。

(1)地盤構造物の品質確保における課題

 

①盛土:盛土は、締固め不足に伴う浸透水の流入により沈下や崩壊を引き起こす特徴がある。そのため、MC建設機械による施工や、UAVによる出来高管理を行い、ICT機械を使用することで、経験の差による品質のばらつきをなくす。また、ICT機械により現場作業が減少し、安全性の向上・省力化を図り、建設業の離職の原因であるきつい・汚い・危険の3Kを回避し、担い手を確保する。

②切土:切土は、せん断抵抗の低い地層や地下水位の影響により地すべり性崩壊を引起こす特徴がある。そのため、MGLシステムによる間隙水圧測定や、現況排水条件のせん断強度など、現況状態を正確に求めて品質を確保する。その際、マニュアルを整備することで、一から学んで技術を身につけやすい環境を整備する。

③構造物基礎:軟弱地盤中の杭基礎は、圧密によるネガティブフリクションにより、杭の沈下が生じる。そのため、地盤改良による圧密防止や杭表面のすべり層添付により品質を確保。その際、軟弱地盤の判定から対策工までの流れを多能工化により、一人の人材が習得して行える育成体制を整備して、中朝的な担い手の確保・育成。

(2)盛土におけるICTによる品質確保と3Kの回避  

①工法規定による締固め確保:TSやGNSSにより締固め機械の位置を習得して、走行軌跡や締固め回数をリアルタイムで管理することで、締固め不足の防止と均一な施工を行う。これにより、あらゆる土質における施工範囲全面の締固めの品質を確保することができ、ICTの活用により施工のきつさを無くして担い手を確保する。

②機械制御による施工の高精度化:レベル確認や丁張設置などの仮設を省略して、MC建設機械により施工を行うことで、施工の形状を機械制御して、施工の高精度化を図る。これにより、施工における高さや勾配などの正確性を維持することが可能になり、重機周りの作業を無くして危険性を減らすことで担い手を確保する。

③品質確認の自動化:UAV、GNSS観測機による測量や高精度の測位計測機能を利用することにより、施工における高さや、施工形状の管理を自動で迅速かつ高精度に行うことができ、広範囲の盛土管理も容易になり担い手を確保することができる。。

(3)解決策に共通して新たに生じるリスクとそれへの対策

①リスク:品質向上のためICT機械ばかりに頼り、担い手の育成がICT機器の操作等に偏り、根本的な盛土に必要な技術が衰退して、担い手の技術力がなくなる。

②対策:通常の建設機械、測量方法による施工を教育して、応用技術としてICT技術を教育する。通常施工とICT施工の両方の技術を持つ担い手が確保できる。

予想問題 Ⅲ-3 簡易答案

地盤構造物(盛土、切土、擁壁、構造物基礎等)に発生するトラブルでは、雨水による浸透水や地震動による内部亀裂など、外観では把握が困難な地中の劣化状況が原因になることも多い。そのため、地盤構造物の計画及び建設に当たっては、調査・設計・施工の各段階において、地盤中の劣化によるリスクを可能な限り把握し、低減させるよう努める必要がある。

 

(1)地盤構造物の計画及び建設に当たり、自然災害における地盤の脆弱性に対応するため、技術者としての立場で多面的な観点から課題を抽出し分析せよ。

(2)抽出した課題のうち最も重要と考える課題を1つ挙げ、その課題に対する複数の解決策を示せ。

(3)解決策に共通して新たに生じるリスクとそれへの対策について述べよ。

(1)自然災害における地盤脆弱性の課題

 

①基礎地盤調査における脆弱性の把握:調査段階において、地盤の脆弱性を把握するため、地盤中の地下水位、細粒分、土質分類などの土質情報を調査して、地盤中の劣化の可能性を判断する。

②対策基礎設計におけるリスク回避:設計段階において、地盤の軟弱化や液状化に対する影響を無くすため、基礎構造における耐震設計や杭の支持杭化を施し、地盤中が劣化してもリスクを回避する。

③施工における地盤劣化防止:施工段階において、地盤中の劣化を防止するため、地盤改良や置換えを施すことで、せん断強度を増加させて浸透水や地震動等による軟弱化を防止する。

(2)施工における地盤の劣化防止

①軟弱化防止:雨水等の浸透水に対して地盤が軟弱するのを防止するため、地盤改良や置換え等を実施する。これにより、浸透水による間隙水圧の上昇に伴い地盤のせん断抵抗が低下するのを防ぎ、地盤が劣化するのを防ぐ。

②液状化防止:地震動により地盤が液状化するのを防止するため、地下水位が高く、細粒分が少ない液状化の可能性がある地盤に対して、地盤改良や置換え、支持杭化を行う。これにより、地震動に対して地盤中の粒子の密実化による液状化を防止し、また、支持杭により液状化によるリスクを回避する。

③地すべりの抑止・抑制:大雨や地震により、地すべりが予想される地盤に対して、斜面の排土や擁壁の設置、落石防止策、アンカー等を施し、すべりに対する抑止・抑制を図る。これにより、浸透水や揺れ、すべり面からのすべりを防止する。

(3)解決策に共通して新たに生じるリスクと対策

①リスク:基礎地盤対策を進める中で、積極的な地盤改良、置換え、斜面の排土等により、大量の建設発生土が生じる。これにより、土砂受け入れ先の飽和や、軟弱土などの使用不可能な残土により、土砂の長期放置や運搬に伴うトラックの増加が発生する。そのため、建設発生土の確保に伴う土地の整備や、運搬による排気ガスの増加により、地球環境・生活環境の悪化が生じる。

②対策:発注者による土砂の運搬先や運搬ルートの指定、ストックヤードの整備、他工事との工事管理用の促進を図る。これにより、あらかじめ建設発生土の適正な利用や処分を確保することで、自然環境・生活環境の悪化を防ぐ。

予想問題 Ⅲ-4 簡易答案

我が国では、高度経済成長期以降に急速に整備した社会資本が、今後一斉に老朽化することが懸念されており、既存の社会資本における健全性の確保が求められている。そのなかで、i-Constructionの取り組みによる生産性の向上が求められている。

 

(1)i-Constructionの取り組みの中で、地盤構造物(盛土、切土、擁壁、構造物基礎等)による、生産性向上にあたり、技術者としての立場で多面的な観点から課題を抽出し分析せよ。

(2)抽出した課題のうち最も重要と考える課題を1つ挙げ、その課題に対する複数の解決策を示せ。

(3)解決策に共通して新たに生じるリスクとそれへの対策について述べよ。

(1)地盤構造物の社会資本整備に伴う生産性の向上

 

①ICTの活用による効率化:ICTを活用した省力的な土構造物のメンテナンスや施工により、老朽化したインフラの早急な整備を可能にして、社会資本整備の効率化。

②変状兆候の早期把握:地盤構造物は、雨水による浸透水や斜面の風化、盛土内部の間隙水圧の上昇により盛土構造が劣化する。そのため、間隙水圧の上昇を盛土内部センサーにより一早く把握し、早期対策により健全性を確保する。

③プレキャスト化による整備の迅速化:擁壁の老朽化は、降雨や地震等による過大な土圧や水圧により、ひび割れやブロックずれが発生して機能が喪失する。そのため、背面土砂の排土や置換え、擁壁プレキャストの取替えにより健全性を確保する。

(2)ICT活用による解決策

①UAVによる維持管理:空中写真に比べ機械経費が安く、容易に撮影が行えるUAVにより積極的な維持管理を行う。これにより、膨大な盛土等における変状や劣化の状態確認が容易かつ安全に行えるようになり、自動処理や測量の省力化を可能にすることで、早急なインフラ整備ができる。

②設計~維持管理のシームレス化:CIM・BIMによる3次元設計を行うことで設計の可視化を行う。これにより、設計~維持管理、対策工までの流れをシームレス化することにより、効率的にインフラ整備を行うができる。

③MC建設機械による施工:遠隔操作、無人化が可能なMC建設機械を使用することで、高さ、勾配等を自動制御して、老朽化により健全性低下した土構造物を、安全かつ効率的に整備する。

(3)解決策に共通して新たに生じるリスクとそれへの対策

①リスク:生産性向上のためICT機械ばかりに頼り、担い手の育成がICT機器の操作等に偏るため、根本的な維持管理、補修に必要な技術が衰退して、担い手の技術力がなくなる。それに伴い、ICT機器の故障時に対して、通常施工よりも業務停止の影響が大きくなる。

②対策:通常の建設機械、測量方法による施工を教育した上で、応用技術としてICT技術や操作方法を教育する。通常施工とICT施工の両方の技術を持つ担い手を確保することで、急なICT機器のトラブルにおいても生産性を維持できる。

予想問題 Ⅲ-5 簡易答案

我が国では、毎年のように地震災害、水害、土砂災害等の自然災害が発生している。また、近年では予想を超える大雨による洪水や土砂災害も頻発しており、これらを想定した社会資本の整備が求められている。

 

(1)予想を超える大規模災害に対して、地盤構造物(盛土、切土、擁壁、構造物基礎等)を整備する中で、技術者としての立場で多面的な観点から課題を抽出し分析せよ。

(2)抽出した課題のうち最も重要と考える課題を1つ挙げ、その課題に対する複数の解決策を示せ。

(3)解決策に共通して新たに生じるリスクとそれへの対策について述べよ。

(1)大規模災害に対する地盤構造物整備の課題

 

①大規模災害を想定した基礎地盤対策:大規模な大雨や地震などの浸透水、地震動などにより、構造物基礎地盤が軟弱化するため、地盤改良等により強度増加することで、自然災害に抵抗する基礎地盤を整備する。

②大規模災害を想定した設計:予測を超える大規模災害により被害が増大しているため、降雨強度や液状化強度の変更など、設計段階において大規模災害を想定した安全率や基準の変更を実施する。そのため、大規模災害を想定した設計値により、大規模災害が発生しても崩壊しない地盤構造物を整備する。

③大規模災害を想定した地盤構造物の変状調査:風化や過去の災害により機能劣化がみられる既設地盤構造物などに対しては、事前に大規模災害を想定した地盤構造物の変状形態を想定し、対策工を施すことで大規模災害における崩壊を回避する。

(2)大規模災害を想定した基礎地盤対策

①基礎地盤の軟弱地盤防止:軟弱地盤に対して、地盤改良や置換え等を実施することで地盤のせん断強度を高めて、大規模な大雨等の浸透水により地盤が軟弱化するのを防止して、地盤構造物が崩壊するのを防ぐ。

②基礎地盤のすべり防止:大規模災害に対して、すべりの発生が予測される地盤に対して、斜面の排土や擁壁設置、落石防止策、アンカー等を施し、大規模な地震や大雨によるすべりの抑止、抑制を図り、地すべりにより斜面が崩壊するのを防ぐ。

③地盤の液状化防止:大規模な地震において、液状化が想定される砂質地盤に対して、地盤改良や置換え、支持杭化を実施する。これにより、地震発生による地盤の液状化を防止して、地盤構造物の沈下・変形を防止する。

(3)解決策に共通して新たに生じるリスクと対策

①リスク:積極的な地盤改良、置換え、斜面の排土などにより、大量の建設発生土が生じ、発生土の受け入れ先の飽和や使用不可能な残土により、土砂の長期放置や運搬にともなうトラックが増加する。そのため、土砂確保に伴う土地の整備や運搬に伴う排気ガスの増加により、自然環境・生活環境に影響を及ぼす可能性がある。

②対策:発注者による土砂運搬先や運搬ルートの指定、ストックヤードの整備、他工事との工事間利用の促進を図る。これにより、あらかじめ建設発生土の適正な利用及び処分を確保することで、自然環境、生活環境の悪化を回避する。

予想問題 Ⅲ-6 簡易答案

高度成長期に構築した社会資本ストックの老朽化に対して、限られた事業費の中で効果的・効率的な維持管理が求められる。このため、トンネル等の構造物においては、新技術の導入による維持管理の高度化、安全性、信頼性、効率性の向上が求められている。一方で、地盤構造物(盛土、切土、擁壁、構造物基礎等)においては、風化や環境変化など考慮すべき要素が多く、構造物ごとに劣化過程評価を行う必要があるため、これらの特徴を踏まえた、より一層効率的な維持管理が求められる。

 

(1)地盤構造物(盛土、切土、擁壁、構造物基礎等)において、革新的な新技術導入に伴う、点検から維持管理、修繕までの一連の計画を策定するに当たり、技術者としての立場で多面的な観点から課題を抽出し分析せよ。

(2)抽出した課題のうち最も重要と考える課題を1つ挙げ、その課題に対する複数の解決策を示せ。

(3)解決策に共通して新たに生じるリスクとそれへの対策について述べよ。

(1)地盤構造物の維持管理の課題

①ICT施工による品質向上:盛土等は、締固め不足に伴う浸透水の流入により沈下や崩壊を引き起こす特徴がある。そのため、MC建設機械による施工や、UAVによる出来高管理を行い、ICT機械を使用して、設計、施工時の品質を高めて劣化の発生要因を排除することで、点検から維持管理、修繕における負担を無くす。

②内部センサーによる劣化判定:切土等は、せん断抵抗の低い地層や地下水位の影響により地すべり性崩壊を引起こす特徴がある。そのため、MGLシステムによる間隙水圧測定や、現況排水条件のせん断強度など、地盤構造物ごとの現況状態を正確に把握し、維持管理、修繕の優先順位を定めて、効率的な維持管理、修繕を行う。

③設計~維持管理、修繕のシームレス化:CIM・BIMによる3次元設計を行うことで設計の可視化を行う。これにより、設計~維持管理、対策工までの流れをシームレス化することにより、効率的に維持管理を行うができる。

(2)ICT施工による品質向上

①工法規定による締固め確保:TSやGNSSにより締固め機械の位置を習得して、走行軌跡や締固め回数をリアルタイムで管理することで、締固め不足の防止と均一な施工を行う。これにより、あらゆる土質における施工範囲全面の締固めの品質を確保することができ、湧水の侵入等による変状を無くして維持管理、修繕の負担を低減し、効率的に行う。

②機械制御による施工の高精度化:レベル確認や丁張設置などの仮設を省略して、MC建設機械により施工を行うことで、施工の形状を機械制御して、施工の高精度化を図る。これにより、施工における高さや勾配などの正確性を維持することが可能になり、すべりの発生など変状を回避して維持管理の効率化を図る。

③品質確認の自動化:UAV、GNSS観測機による測量や高精度の測位計測機能を利用することにより、施工における高さや、施工形状の管理を自動で迅速かつ高精度に行うことができ、広範囲の盛土管理も容易になり担い手を確保することができる。。

(3)解決策に共通して新たに生じるリスクとそれへの対策

①リスク:品質向上のためICT機械ばかりに頼り、担い手の育成がICT機器の操作等に偏り、根本的な盛土に必要な技術が衰退して、担い手の技術力がなくなる。

②対策:通常の建設機械、測量方法による施工を教育して、応用技術としてICT技術を教育する。通常施工とICT施工の両方の技術を持つ担い手が確保できる。

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