建設部門 選択科目 土質及び基礎 予想問題Ⅱ-1 解答者06専門:土質調査
建設部門 選択科目 土質及び基礎 予想問題Ⅱ-1 解答者06専門:土質調査
予想問題 Ⅱ-1-1 簡易答案
杭の側方移動が発生する原理と杭基礎への影響を説明せよ。また、側方移動に対して検討する際の留意点を3つ挙げ、その概要を説明せよ。
1.杭の側方移動が発生する原理と杭基礎への影響
軟弱地盤上に設けられた橋台等の杭基礎において、橋台背面の盛土荷重に対して地盤のせん断強度が低い場合や、杭の大きさや本数など基礎の設計に側方流動圧を考慮しなかった場合に、背面盛土荷重により橋軸方向に対して杭が変形し橋台の沈下や変形を引き起こす。
2.杭の側方移動の検討における留意点
①粘着力と単位体積重量の把握
現況の軟弱層の粘着力は、非圧密非排水強度により算出し、圧密排水工法等の対策後においては、強度増加後の粘着力を算出して側方移動判定を行う。その際、盛土の単位体積重量は湿潤密度試験等により正確に確認する。
②側方移動判定値の算出
側方移動判定値が1.2以上の場合は側方移動のおそれがあり、側方移動判定値算出に用いる地盤の高低差は、背面盛土を含めた盛土天端と現況地盤高さにより算出し、施工中や将来の計画を考慮して判定する。
③側方移動対策と軟弱地盤対策工との併用
軟弱層の圧密排水や固結などの対策工により、側方移動の防止を図るが、このような現象が生じる軟弱地盤においては、同時に圧密沈下や盛土安定も問題になる。そのため、これらの対策を併せて検討する。
予想問題 Ⅱ-1-1 完成答案
1.杭の側方移動が発生する原理と杭基礎への影響
軟弱地盤上に設けられた橋台等の杭基礎において、橋台背面の盛土荷重に対して地盤のせん断強度が低い場合や、杭の大きさや本数など基礎の設計に側方流動圧を考慮しなかった場合、背面盛土荷重により橋軸方向に対して杭が変形し橋台の沈下や変形を引き起こす。
2.杭の側方移動の検討における留意点
①粘着力と単位体積重量の把握
現況の軟弱層の粘着力は、非圧密非排水強度により算出し、圧密排水工法等の対策後は、強度増加後の粘着力を算出して側方移動判定を行う。その際、盛土の単位体積重量は湿潤密度試験等により正確に確認する。
②側方移動判定値の算出
側方移動判定値が1.2以上の場合は側方移動のおそれがあり、判定式の適用は、標準貫入試験のN値が6以下または一軸圧縮強度が120kN/㎡以下である粘性土層がある場合とする。側方移動判定値算出に用いる地盤の高低差は、背面盛土を含めた盛土天端と現況地盤高さにより算出し、施工中や将来の計画を考慮して判定する。
③側方移動対策と軟弱地盤対策工との併用
軟弱層の圧密排水や固結などの対策工により、側方移動の防止を図るが、このような現象が生じる軟弱地盤においては、同時に圧密沈下や盛土安定も問題になる。そのため、これらの対策を併せて検討する。
予想問題 Ⅱ-1-3 簡易答案
地盤の粘着力について、基礎の設計における主な利用目的を説明せよ。また、粘着力を求めるための調査・試験方法を3つ挙げ、それぞれの方法を概説するとともに得られた粘着力の利用上の留意点について説明せよ。
1.基礎の設計における粘着力の主な利用目的
粘着力は、単位体積重量などと一緒に基礎底面地盤の極限鉛直支持力を算出し、直接基礎の根入れや形状を照査するのに用いる。また、地盤改良等において、改良後の支持力を判定する際にも粘着力が用いられる。
2.粘着力の算出方法
①標準貫入試験:標準貫入試験は、63.5kgのハンマを760mmの高さから落下させてSPTサンプラーを300mm動的貫入するのに必要な打撃回数のN値を求める。
C=6.25Nにより求まる。N値が5未満であるような軟弱な粘性土の場合は、大きなエネルギーを必要とする標準貫入試験では、過小評価となるため、乱れの少ない試料からの室内試験が望ましい。
②一軸圧縮試験:一軸圧縮試験は、乱れの少ない自立する供試体を、拘束圧が作用しない状態で圧縮し、圧縮応力の最大値である一軸圧縮強さqu(KN/㎡)を求める。C=qu/2により求まる。一軸圧縮試験は乱れの影響を受けやすいため、応力-ひずみ曲線により明確な強度ピークを示しているか判断する。
③三軸圧縮試験:三軸圧縮試験は、主にボーリング等により採取された乱れの少ない試料にて、その深度の有効拘束圧で圧密応力を設定して圧縮を行う。主に粘性土では、非圧密非排水UU試験にてφ=0として求める。主に砂礫地盤では、圧密排水CD試験にてC=0として内部摩擦角を利用する。
予想問題 Ⅱ-1-4 簡易答案
斜面崩壊の発生形態を浸食・崩落、表層崩壊、大規模崩壊、岩盤崩壊の4つに分類するとき、この分類の基本的考え方と使用方法について説明せよ。また、このうち2つの型を選び、その特徴を説明せよ。
1.斜面崩壊の発生形態の考え方
①浸食・崩落・・・乾湿、凍結、雨水等により表面が剥離し、湧水の作用でオーバーハングとなった部分が滑落する場合にも使用される。
②表層崩壊・・・表土が湧水等により滑落し、岩の表層が風化等により滑落する場合にも使用される。
③大規模崩壊・・・軟弱土の斜面や地質構造的に不安定な要因を持つ斜面が地下水位の上昇に伴い大規模に滑落し、軟岩等の切土に伴う大規模な地滑りなどの崩壊にも使用。
④岩盤崩壊・・・岩塊落下による崩落や節理等に沿ってすべる岩すべりがあり、岩盤の亀裂に浸透した水の凍結・融解による風化破壊促進による崩壊の場合にも使用。
2.浸食・崩壊の特徴
切土のり面が浸食を受けやすい土砂あるいは粘着力に乏しい砂や火山灰等で構成されている場合や、表土に覆われた比較的急勾配の斜面において、地表水や浸透水によってのり面や斜面が浸食を受け崩落する。
3.表層崩壊の特徴
難透水性の地層の上に砂質土や崖錐性の堆積物が堆積しているような場合や固結度の低い地層の場合、豪雨等に伴う浸透水が誘因となって深さ2m程度以下の浅い崩壊を生じる。
予想問題 Ⅱ-1-5 簡易答案
三軸圧縮試験の結果に用いるモールの破壊規準と、その適用上の留意点について説明せよ。
また、三軸圧縮試験の試験方法を3つ挙げ、それぞれの概要を説明するとともに、C、φの利用上の留意点について説明せよ。
1.モールの破壊基準
各セル圧の主応力差の最大値をもとに描いた応力円と包絡線がモールの破壊規準であり、このモールの破壊規準はクーロンの破壊規準τ=c+σtanφにより直線的に表し、三軸圧縮試験はこの直線式から、せん断強さの切片を粘着力C、角度を内部摩擦角φとして算出。モール・クーロンの破壊規準といわれる。
2.三軸圧縮試験の試験方法
①土の非圧密非排水(UU)三軸圧縮試験:非排水状態で1%のひずみ速度を標準とし、異なる拘束圧で圧縮した破壊時のモール円から包絡線を引きC、φ算出。非排水状態で加えられたセル圧の変化は、等量の間隙水圧の変化を生じ土の密度等は変わらないため、応力円に対する包絡線からφ=0とした粘着力を利用。
②圧密排水(CD)三軸圧縮試験:圧密後の供試体を、せん断中に発生する間隙水圧を事実上ゼロとみなせるような速度で排水を伴いながら圧縮。破壊時の全応力によるモールの応力円が、そのまま有効応力によるモールの応力円となり、主に排水を伴う砂質土地盤の安定問題に利用。
③圧密非排水(CUB)三軸圧縮試験:主として飽和粘性土を対象、シルト分多で0.1%/min、粘土分多で0.05%/min程度の速度で間隙水圧を測定しながら圧縮し有効応力強度算出。CUBで得られる有効応力とCD試験の全応力が等しいため、CD試験では非常に長時間を要する粘土は、CUBで得られる有効応力を利用。
予想問題 Ⅱ-1-6 簡易答案
液状化の判定に用いられる非排水繰返し三軸試験の概要と、得られた定数を用いた液状化判定方法と留意点を説明せよ。
1.非排水繰返し三軸試験の概要
液状化は、繰り返しの地震波により間隙水圧の排水が短時間で完了しない場合に発生するため、非排水繰返し三軸試験により、非排水条件すなわち地震波により間隙水圧が排除されない状態で繰返し荷重の地震波を再現する。そのため、M=8程度に相当する繰り返し載荷回数20回の液状化強度を挟むように4種類の軸荷重を設定し、液状化の判断である過剰間隙水圧比95%時において液状化強度を算出する。
2. 液状化判定方法
①液状化判定
液状化強度から求めた液状化強度比Rと地震時に加わる繰返しせん断応力比Lから、液状化に対する安全率FL=R/Lを求め、安全率FLが1以下であれば液状化の可能性があると判断する。
②留意点
非排水繰返し三軸試験から算出したFL値は、N値と粒度試験から推定した値と比較して大きく示すため、それらの結果と比較することで、試料の乱れの影響の有無を確認して、最低なFL値を求める。また、試験値の精度を向上させるため、冷凍させた試料はセル内で融解して間隙水圧の排除による試料の乱れの影響を無くす。
予想問題 Ⅱ-1-7 簡易答案
土留め(山留め)掘削におけるヒービング発生メカニズムについて説明せよ。また、ヒービング対策を3つ挙げ、それぞれの概要と適用における留意点を説明せよ。
(1)ヒービング発生メカニズム
掘削底面地盤が軟らかい粘性土であり、土留めの根入れが浅い場合に、掘削底面と土留め背面の上載荷重の差により掘削底面が隆起し、土留めのはらみや変形が生じて土留めが崩壊する。
(2)ヒービングの対策工
①深層混合処理工法による掘削面の強度増加
掘削地盤底面を撹拌機により固化材と混合して、改良土と粘性土からなる複合地盤を形成する。これにより、土留め背面荷重よりも地盤の強度を高めることで、掘削面の隆起を防ぐ。供回り防止と攪拌率向上のため、供回り防止翼や二重管構造の撹拌機を使用する。
②土留めの根入れと剛性向上による荷重遮断
土留めの根入れと剛性を高めることで、背面土砂荷重に対する抵抗力とすべり面の半径を大きくして、掘削面に土留め背面荷重が影響するのを防止する。支持層が浅い場合は、土留めを支持層に根入れして荷重を遮断する。
③土留め背面荷重の軽減
土留め背面の土砂を掘削排除して、掘削面に伝わる荷重を低減する。背面掘削に伴い背面地盤の安定が問題になる場合は、背面土砂を軽量材と置き換えて荷重低減を図る。
予想問題 Ⅱ-1-8 簡易答案
構造物の側面に作用する土圧があるが、ランキンの土圧理論、クーロンの土圧理論について説明せよ。また、各検討時の留意点を述べよ。
(1)ランキンの土圧理論
擁壁が崩壊したときの擁壁に作用する側方土圧の理論で、擁壁が十分に水平変位して崩壊したとき、裏込め土の領域のすべての土要素が塑性平衡状態に入ると仮定し、モールの応力円により擁壁に作用する土圧を計算する。
検討時、擁壁は鉛直であること、壁面と地盤の間で摩擦が働かないこと、背面土は勾配があっても直線状であることを条件として、条件に適合しない場合は、仮想の背面を想定して適用する。
(2)クーロンの土圧理論
砂質土(φ=0)に対しての擁壁に作用する土圧理論で、鋼な擁壁が十分移動したとき、擁壁の後の裏込めに破壊した土のくさびが形成され、そのくさびに作用するすべての力の均衡を求めることにより擁壁に作用する土圧を計算する。ランキン土圧に比べ適用上の制限が少ない。
検討時、壁面が鉛直である必要がなく、壁面に摩擦が働いてもよい。また、背面土の表面が任意の形状でもいいことを条件として、条件に適合しない場合は、仮想の背面を想定して適用する。
予想問題 Ⅱ-1-9 簡易答案
軟弱地盤上の盛土による地盤のすべり破壊のメカニズムを概説せよ。また、安定の評価には三軸圧縮試験が必要となるが、試験方法の概要、分類及び設計での適用に際しての留意点について説明せよ
(1)すべり破壊のメカニズム
盛土荷重により、軟弱地盤がせん断抵抗を上回るせん断応力を受けることで、すべり面に沿ってせん断破壊する。円弧上のすべり面によって破壊することから円弧すべりといわれる。
(2)三軸圧縮試験
①土の非圧密非排水(UU)三軸圧縮試験:非排水状態で1%のひずみ速度を標準とし、異なる拘束圧で圧縮した破壊時のモール円から包絡線を引きC、φ算出。非排水状態で加えられたセル圧の変化は、等量の間隙水圧の変化を生じ土の密度等は変わらないため、応力円に対する包絡線からφ=0とした粘着力を利用。
②圧密排水(CD)三軸圧縮試験:圧密後の供試体を、せん断中に発生する間隙水圧を事実上ゼロとみなせるような速度で排水を伴いながら圧縮。破壊時の全応力によるモールの応力円が、そのまま有効応力によるモールの応力円となり、主に排水を伴う砂質土地盤の安定問題に利用。
③圧密非排水(CUB)三軸圧縮試験:主として飽和粘性土を対象、シルト分多で0.1%/min、粘土分多で0.05%/min程度の速度で間隙水圧を測定しながら圧縮し有効応力強度算出。CUBで得られる有効応力とCD試験の全応力が等しいため、CD試験では非常に長時間を要する粘土は、CUBで得られる有効応力を利用。
予想問題 Ⅱ-1-10 簡易答案
バイブロフローテーション工法と深層混合処理工法について対策原理及び設計・施工上の留意点を説明せよ。
(1)バイブロフローテーション工法
砂質土地盤の支持力増大及び液状化防止を目的として、棒状のバイブロフロットを地盤中で振動させながら水を噴射し、水締めと振動により地盤を締固め、同時に、生じた空隙に砂利等を補給して改良する工法。
砂質土地盤の細粒分含有率が多くなるにつれて、改良効果が低下するため、ボーリング柱状図による確認や粒度試験を実施して確認する。また、地表面付近では締固めが困難となるため、施工後にローラ等で十分に転圧を行う。
(2)深層混合処理工法
粉体状あるいはスラリー状の主としてセメント系固化材を地中に供給して、原位置の軟弱土と撹拌機を用いて強制的に攪拌混合することによって原位置で深層に至る強固な柱体状、ブロック状または壁上の安定処理度を形成する工法。すべり抵抗の増加、変形の抑制、沈下の低減および液状化防止を図る。
土留め掘削工事の底板改良などでは、攪拌翼が矢板に接触する可能性があるため、矢板と改良体を密着させることが困難であるため、複合噴射攪拌方式にて先端から固化材を高圧で地盤中に噴射し混合して構造物に密着した改良体を施工する。
予想問題 Ⅱ-1-11 簡易答案
切土のり面の安定対策工として、かご工、モルタル・コンクリート吹付工がある。各工法について、対策原理を踏まえた工法の概要を説明せよ。また、各工法を採用する際の切土のり面の規模や地山条件、工法の特徴に着目した留意点を工法ごとに3つ述べよ。
(1) かご工
①概要:鉄線で編んだかごの中に砕石を詰め込んだものを法面に設置することで、法表面の浸食等を防止する。浸食を防ぎながら排水を促進する特徴があり、のり面浸食を防止し景観性向上や斜面安定対策として用いられる場合や、土留めとして使用する場合がある。
②留意点:のり面・斜面からの流出土砂によってかごが目詰まりを起こさないように、周囲を砂利で保護する。緑化に際しては、根の生え方や長さなどを計算して、植栽が排水の障害にならないようにする。かごの砕石は自然石を使用して、緑化しなくても環境・景観へ対応可能にする。
(2)モルタル・コンクリート吹付工
①概要:風化しやすい岩盤など、不安定になりやすい土質等に対して、モルタル・コンクリート吹付を行い、水和反応によって強固にのり面を固めて保護する。
②留意点:湧水が懸念される場合は開放型の工法を用いて、湧水の排水を可能にすることで浮き上がりを防止する。施工面積が広く平滑な場合には、10~20cmに1箇所の割合を目安として伸縮目地を設けることで、膨張や収縮によるコンクリートの亀裂を防ぐ。使用セメントが多くなるため、細粒分を多く含まない細骨材を用いて耐久性を確保する。
予想問題 Ⅱ-1-12 簡易答案
すべり破壊、圧密沈下、液状化の発生原理を説明せよ。また、液状化対策として有効な地盤改良工法を2つ挙げ、各工法の対策原理及び施工上の留意点を述べよ。
(1)すべり破壊
盛土荷重などにより、地盤がせん断抵抗を上回るせん断応力を受けることで、すべり面に沿ってせん断破壊が生じる。
(2)圧密沈下
軟弱な粘性土層が盛土などの荷重を受けて、土粒子間の間隙水が徐々に排水されることで体積が減少し地盤が沈下する。
(3)液状化
地下水位が高く細粒分が少ない緩い砂質地盤において、地震動によるせん断応力により間隙水圧が上昇して有効応力が減少、せん断抵抗を失い液状のようになる。
バイブロフローテーション工法は、棒状のバイブロフロットを地盤中で振動させながら水を噴射し、水締めと振動により地盤を締固め、同時に、生じた空隙に砂利等を補給して、締固め密度を高めせん断抵抗増大で液状化を防ぐ。地表面付近では締固めが困難となるため、施工後にローラ等で十分に転圧を行う。
深層混合処理工法は、粉体状あるいはスラリー状の主としてセメント系固化材を地中に供給し、原位置の軟弱土と撹拌機を用いて強制的に攪拌混合して深層に至る強固な柱体状、ブロック状または壁状の安定処理土を形成。土留め掘削工事の底板改良では、攪拌翼が矢板に接触して矢板と改良体の密着が困難であるため、複合噴射攪拌方式で先端から固化材を高圧で地盤中に噴射し混合し、構造物に密着した改良体を施工して、せん断強度を高めて液状化を防止する。