森林部門の方の体験論文指導を行いました。
この日はチェックシートによる業績の骨子の確認です。技術士のたいていの業績が問題解決型となっているため、チェックシートでは、「問題点」と「解決策」をまず考えます。
森林部門のこの方も、よくある問題を抱えていました。それは、
技術的問題点として掲げている事項が真の問題ではない技術的に提案したことをすべて業績として上げている業績を説明するのに作業内容を記述してしまうそれぞれ何がいけないのか説明しておきます。
1. 技術的問題点として掲げている事項が真の問題ではない
技術士として問題を正しく認識することは解決に不可欠な前提です。たとえば、技術的問題点が、①業務上の問題から発生した理不尽な制約をもとに本音で答えている、②わからない事項に起因した判断不能であるとしたら問題は正しく解けません。それぞれこう考えます。
①業務上の問題から発生した制約なら、真の原因を追究し、まずは建前を貫く。
②未知に由来する問題に対しては、まず正しい調査をしてから判断する。
2. 技術的に提案したことをすべて業績として上げている
技術的問題の解決は合理的で最小限の必要十分な対策でなければなりません。しかし、業務としてやってきたことはどれも捨てがいものばかりのため、「枯れ木も山のにぎわい」あるいは「業績の質より数で勝負」と考え、提案したことをすべてとりあげてしまいがちです。しかし、必要性の薄いものや、効果の無いことを取り上げていると能力を疑われてしまって逆効果です。
また、文字数が多くなって大事なことが表現できません。ですから必須な事項見極める判断が必要です。 ですから、記述内容は
必要最小限の必須要素、すなわち「MUST」の内容
でなければならないのです。
3. 業績を説明するのに作業内容を記述してしまう。
業務概要や提案内の説明が複数の作業の説明で終始していませんか。確かにやった作業をすべて上げれば内容は表現できます。しかし、
技術士に求められていることは「作業」ではなく、判断や理念それから成果です。
やったことがどのような意味があるのか、その意義を考えて概念的に表現することが必要です。