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― 合格できる筆記試験対策3 必須科目の答案対策 ―
1.はじめに
筆記試験の必須科目は、問題数も少なく傾向が分かりやすいため、まず
最初に取り掛かることになる問題だと思います。その必須科目問題には次
の特徴があります。
(1)部門に共通した大きなテーマ
(2)技術者としての広い見識を求められる
(3)専門業務だけでなく業界全体の知識がなければ対処できない
(4)コンサルタントとして活動するためのベースとなる知識、能力
(5)テーマは最近のトレンディーなものが多い
この(1)〜(3)のため、問題を整理する意味もあって従来は次のような
合格法がまことしやかに伝えられていました。
(1)「はじめに」と「おわりに」を必ず書いて起承転結の形にする
(2) 本文中では専門キーワードをたくさん用いる
(3) 「おわりに」の中で「私は〜の所存である」と決意を述べる
(4)答案の最後に「以上」と必ず書く
しかし、これらはかつて合格した先人が体験から解釈した論文の作法に
過ぎません。技術者として必須な能力や貢献ではありませんので、当然根
拠などあるはずがないのです。
しかも、平成19年の試験法改正以降は、問題の傾向が変化して、従来の
専門知識ではなく応用力が重視されるようになりました。試験対策は、
「答案を暗記して書く」のではなく、臨機応変に「その場で考えをまとめ
る」能力が必要とされています。
では、その技術士としての答案の基準は何か?とても分かりにくいと、
皆さんお考えかもしれません。しかしこれははっきりしています。一言で
言うと「技術コンサルタントとして上手に問題解決が出来るか」というこ
とです。ここで判断根拠となるのが「成果につながる能力」の尺度、すな
わちコンピテンシーという尺度なのです。
そのような、混迷の状況を打破して一回で合格をクリアする方法を提案
するのが本講座のねらいです。ホームページにある「合格者の声」を聞か
れるとさらに詳しくお分かりいただけるかと思います。
http://www.gijutsushi1.com/category/1261109.html
2. 合格できる必須科目の答案対策
筆記試験に合格するには、まず問題に対して答えられなければなりませ
ん。その方法として、まず正しい問題予想が必要であることは既に述べま
した。今回は予想した問題が出たという前提で述べます。
技術士試験は技術コンサルタントとしての能力を測る試験であり、特に
選択科目の問題文は、プロの技術コンサルタントが実務で遭遇する問題を
文章で模擬したものです。したがってそのような問題に遭遇したコンサル
タントとして上手に問題を解決すればよいのです。
実務におけるコンサルティングで何が求められるか、それはそれほど難
しいことではありません。
(1)正しい現状認識に基づいている
(2)事実に基づいて正しい課題設定がされている
(3)問題を解決するのに有効な解決策が提案されている
(4)依頼者の求めている事項を満たしている
ざっと、当然ですがこのようなことです。これらを適切に行っていけば
よいだけのことです。以下、補足します。
(1)正しい現状認識に基づいている
問題解決の基礎となるのが現状認識であり、これがコンサルティングの
スタートになります。ここで重要なのは正しい問題解決をするために、正
しい情報をつかむことと、何が根本的な問題かを把握することです。派生
的な問題にとらわれると方針を誤ります。
最近の必須科目問題では図表を与えて、そこから考察する問題が増えて
います。グラフや表の数値が何を意味しているか、じっくり考えて、底か
らスタートしなければなりません。この正しい情報を得るために必要なの
が論理的思考です。「この図から〜が分かる。だから〜すべき」と言うよ
うに考えを組み立てることで間違いない認識が得られますのでぜひ行って
ください。
このとき専門用語のキーワードを用いて現状を表すことも必要です。例
えば、ある概念を表すのに次のように表現したらどうでしょう。
不動産などの資産について、最適な時期、規模による投資を行うことに
よりその価値を高め、利益の最大化を図ることによって行うライフサイク
ルコストを考慮した効率的な資産管理方法・・
とても回りくどくなりました。これはいわゆる「アセットマネジメン
ト」です。専門家としては、このような概念を効率よく表現して論文を作
成する必要があるのです
(2)事実に基づいて正しい課題設定がされている
「正しい課題設定」は意外と出来ないものです。これが違うと最終的な
答えとして十分なものは得られません。正しく課題を設定するには、現状
把握を行い、問題に対してもれなく手を打つことです。そして対策として
漏れやダブリがないようにします。
また、課題設定で間違えやすいのが、「課題とは何か」、「問題点との
違い」といった論理展開上の言葉の意味の誤解です。良く間違いやすいの
は「コンクリートが中性化することが課題である」というように問題点を
課題としてしまうことです。
課題は対策へと導く方針や目標でなければなりません。それなのに問題
点と同じだと、解決策が導けなくなり、結局誤った答えとなりがちです。
「問題点と課題」については次のリンクをご覧ください。
http://www.gijutsushi1.com/category/1261108.html
このほか、「問題点、課題、解決策」という論理的な一貫性は技術コン
サルタントとして問題解決行う上での必須条件なわけですが、それが乱れ
ているとなると、技術者としての能力を疑われかねません。
(3)問題を解決するのに有効な解決策が提案されている
解決策は技術士としての腕の見せ所です。ここでは効果のありそうな専
門的な方策を提案します。大事なことは
・結果的に問題解決に成功している
・問題の内容にふさわしい技術が応用されている
・専門技術が単発ではなく、技術体系を背景として応用されている
このようなことではないでしょうか。そのとき、技術の応用背景として
専門分野の技術体系がある(知っている)ことを添えると信頼感が増しま
す。
(4)依頼者の求めている事項を満たしている
問題文にはいろいろな要求事項が書かれています。これらはすべて依頼
者の求めていることなので、それらに忠実に答えることが大事です。
試験法改正以降は、応用力を試すため問題の付帯条件として求めるよう
な問題形式が増えています。例えば昨年の建設部門の必須科目問題の2問
は、単純な維持管理、技術開発の問題ではありませんでした。
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2-1社会資本の維持管理に関する現状と課題を述べ、これに対する対策と
してのアセットマネジメントの必要性及びその実用化に向けた方策につい
てあなたの意見を述べよ。
社会資本の維持管理を普通にするのではなくアセットマネジメントを応用
して行う。
2-2我が国の公共事業は、近年、縮小傾向にあるが、このような状況が、
建設分野における技術力の維持及び向上に与える影響とその課題を挙げ、
今後とるべき方策についてあなたの意見を述べよ。
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技術力の維持・向上を平常時ではなく、公共事業が縮小しているときに行
う。
いずれも、上記の要約のように出題者の意図は、応用的思考を求めてお
り、単純に「答案を暗記して書く」のではなく、臨機応変に「その場で正
しい考えをまとめる」以外には書けない内容となっています。このため答
案練習するだけではなく、短時間で間違えずにあらすじをまとめる能力が
必要とされています。
3. 必須科目答案の作成方法のまとめ
以上、必須科目問題の考え方を述べてきましたが、このねらいを一言で
言うと、
「どんなときでも自分ひとりで正しく判断できる」
ことを求められているのだと思います。これは技術コンサルタントとして
の独立性、自立性から来るものだと考えます。コンサルタントの判断は絶
対的な影響力がありますので責任が求められるということです。
こうした技術コンサルタントとしての高い能力を開発するためにはコン
ピテンシーを高めるしかありません。残念ながらコンピテンシーは自分で
は気づきにくいものであり、自己学習以外に上司から添削を受けるなどの
コーチングが不可欠といえそうです。
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