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メールマガジン技術士合格への道 2010年 第11回
必ず合格できる 技術士二次試験合格講座
― 面白いほど合格できる体験論文 その2 ―
技術士筆記試験を受験されるみなさまへ。筆記試験が終わってこれからは体験論文に取り掛からねばなりません。専門家にふさわしい業績を表現するにはどうすべきか、本研究所ではこれまで論文に潜む問題を分析をし続けてきました。
これまで確認されている合格できる技術的体験論文の3大条件は、
(1)業績の概要から技術者コンピテンシーが感じとれる
(2)問題点、課題、解決策の過程が専門的かつ独創的で汎用性がある
(3)現時点での反省や専門家らしい展望がある
というものです。一言でまとめると「研鑽し続ける専門技術者」のイメージです。技術士という資格が有能な技術コンサルタントに与えられる資格であるため、上記(1)~(3)が満たせれば当然合格できてしかるべきなのです。
ただし、「技術者コンピテンシー」が感じとれるにはどうするかはやや難問です。このため、「技術者コンピテンシー」がいかなる原理で試験官の頭の中に形成されるのか逆解析する必要がありました。実際には多数の添削答案からナレッジマネジメントにより行っています。
このメールマガジンではこれまで講座の指導で開発された、実戦的なノウハウを公開して、出来るだけたくさんの方の合格を支援したいと考えています。
1.はじめに
技術士合格への道研究所では「誰でも必ず合格できる」指導を目指して
コンピテンシー理論+コーチング指導
を実践してきました。用語について詳しくは次のページをご覧ください。
http://www.gijutsushi1.com/category/1261095.html#conptency
http://www.gijutsushi1.com/category/1261095.html#couching
さて、このメールマガジンでは、技術士二次筆記試験の直前対策として、今年の指導で判明した「面白いほど合格できる体験論文」を3回シリーズでお送りしています。今回はその第2回目です。
その1 いかにして業績概要で技術者コンピテンシーを表わすか
●その2 専門的かつ独創的で汎用性がある問題解決過程
その3 専門家らしい反省、専門家らしい展望とは
なお、これらの内容はこれから開催される無料セミナーで公開していきます。セミナー資料は公開します。関心ある方はぜひご覧ください。直近では、8/28(土)に開催します。
http://www.gijutsushi1.com/article/13767002.html
すでに開催した第1回の内容はこちらです。
http://www.gijutsushi1.com/article/13776677.html
2. 専門的かつ独創的で汎用性がある問題解決過程
技術士体験論文では、概要、立場・役割、課題及び問題点、技術的提案、成果、技術的評価、今後の展望の各項目が問われます。そしてその採点は、試験官によって驚くほど短時間で判定されています。
2.1 技術的体験論文はチェックシート
試験官は技術士受験者の能力を判定するため、口頭試験に先だって技術士体験論文を読んでおきます。体験論文は単独で採点されることはありませんが、事前に論文に目を通して、口頭試験(の質問)と合わせて受験者の専門的能力の判定根拠とします。このとき注目すべきことは、試験官が体験論文を見るときに、暗黙のうちに専門家として培われた人を見る目すなわちその人のチェックリストによって評価しているということなのです。これは直観的、感覚的に行われ、そして、もしNGなら口頭試験で確かめるということなのです。つまり、
(1)まず論文でチェック、OKかNGか
(2)次に口頭試験でチェック、OKかNGか
(3)上記(1)(2)で確定する
というものなのです。このため論文の内容が悪いと口頭試験が厳しくなります。逆に論文の内容が良ければ面接は雑談のように和やかに行われることもあります。後者の場合チェックすることがなかったとも言えます。
このことから口頭試験を有利に進めるには、極力実は体験論文の評価を高めるしかないということです。体験論文の不備は後から大きな負担となってくることを忘れてはなりません。
体験論文とは口頭試験に先立って、受験者の情報の大部分を占める問題解決力を論文から読み取るわけであり、言い換えるとコンピテンシーのかなりの部分を決定づけられてしまうということです。
ということから、体験論文作成においては「成果を生み出すプロセス」の説明に集中すべきであることがうかがえます。
2.2 合格に寄与する「技術者コンピテンシー」を高めるには?
「技術者コンピテンシー」が技術士論文において役立つとわかっているなら、業績の記述内容においてそれを表現することはできないかと考えます。しかし、人が技術者を専門家と認める場合はどんなときかと想像してください。表現方法や言葉尻といった表面的なことではまず無理なのです。それには、専門家としての
本質的な活動を行い、そこで獲得した能力を表すしかない
ということなのです。本研究所では暗黙知的な要素である「技術者コンピテンシー」を表現するため、結局は専門家としてどう考え、どう勉強すべきかを提案し、受講生様が専門家となるお手伝いをしています。
3. 技術的提案で「技術者コンピテンシー」を感じさせるには
では、「技術者コンピテンシー」を技術士体験論文で表現する方法について、今回は「技術的提案」について考えてみましょう。
3.1 良い「技術的提案」の条件とは
体験論文の「技術的提案」は「課題、問題点」に続いて、それらの解決方法を示すものであり、論文の中心となるものです。本来は方法論を具体的に示すだけで十分です。しかし、やったことあるがままに書いて良いと思いますか。その採点方法については何も示されていません。
論文自体が技術者のコンピテンシーを問うものですから、解決法に対する評価とは、技術応用の巧みさや再現性に基づいたものであるはずです。この意味から「独創性」と「汎用性」の2つを高めていけば論文の評価は高まるものと考えています。「技術的提案」を書くときに独創性であり、かつ汎用性があるように書けばよいのです。また、基本的なことですがその分野の専門技術に基づいたものでなければ意味がありません。
3.1.1 「独創性」があるとは
独創性というと、新規であることや前例がないことが相当しますが、それだけでは独創性があるとは言えません。一般的に前例がないことは何か理由があってそうしない場合が多いのです。その理由を解消する方法がない限り本当の意味での独創とは言えません。次の2つの例から独創性を生み出す方法を考えてみましょう。
(1)当時他に例のなかったA工法を日本で初めて採用した
A工法は珍しい工法だと想像しますが、これまでなかった背景には次のようなA工法を採用しない理由があったはずです。
これらを解消して同工法を採用するところに独創性があります。つまり、
在来工法より高性能をもたらし、しかもA工法の欠点を解消できる技術的工夫
それこそが独創性の本質なのです。
(2)臨機応変に対応(工夫)して編み出した方法
工夫は独創性の要因ですが、次のようなケースは独創的とは言えません。
ということで、ただ工夫や努力、配慮したということではなく、前項(1)で述べた技術的な工夫がないとだめなのです。
3.1.2 「汎用性」があるとは
汎用性は意外と知られていない技術の評価指標の一つです。この汎用性がある技術とは、成果の再現性があることや、他の物件に転用できることと考えてよいでしよう。次の例から汎用性について考えてみましょう。
このことは一見、汎用性があるように見えますが、次の問題を含んでいます。
つまり汎用性とは、ある程度違うケースに対して同じ効果を生み出せる、言い換えると幅広い適用範囲を持っている技術に対して言えることです。
3.1.3 「専門分野の技術」が応用されている
技術士の業績は部門や選択科目で技術領域が指定されており、原則的にその領域の技術に長けていることがコンピテンシーの要件といえます。このため、「技術的提案」では専門領域の技術がどのように活用されているかをチェックされることになります。
このことから、前述の独創性や汎用性は専門技術領域を背景としたものであれば都合が良いというものです。
3.2 良い「技術的提案」の書き方
独創性、汎用性がいかなるものか分ったところで、コンピテンシーを高めるような「技術的提案」の書き方について考えましょう。
(1)在来工法の問題点を解消する仕組み、原理を明らかとする
技術的体験論文では、コンピテンシーを測るため、「課題、問題点」が必須要件となっています。独創性を高めるにはさらに他にも問題があり、その解消が困難であったこと、つまり困難を解消した仕組みの考案過程を述べることです。
たとえば一例をあげると、地下水レベルの高い土地での土留め工法の開発については、独創性は地下水の浸透を防ぐため地盤改良を併用することを提案するなどです。
(2)技術を抽象化、概念化して適用可能性を高める
技術とは個々のケースごとに最適例があり、通常は汎用化が難しいものです。そこで、技術を特定の工法ではなく、考え方や設計法といった応用性の高い概念や理論として抽象化すれば良いのです。
抽象化によって個別ケースの優位性は失われますが、理論としての汎用性が高まり、個別ケースごとの対応も可能となれば、技術としての評価は高くなるということです。
先の土留め工法の例では、特定の機材や材料の開発ではなく、特定の条件に依存せず、地質や地下水位に応じて調整可能な理論として設定します。
(3)専門技術体系から応用した過程を説明する
独創性や汎用性を専門技術領域に関連付けるためには、それらの解決過程に専門技術を応用したことを明記すればよいのです。さらにその技術は、個別の要素技術ではなく、専門技術体系からの応用として説明することが大切です。
同様に先の土留め工法の例では、そこでの理論が現場の体験や努力、試行錯誤で開発されたものではなく、地質工学や土木工学、構造力学の要素技術を応用した結果生み出されたものと表現すればよいのです。
4. 「技術的提案で「技術者コンピテンシー」を感じさせる」のまとめ
今回は、体験論文の中心となる、技術的提案について考えてみました。 ともするとあるがままに書いてしまいがちですが、試験官は独創性や汎用性、専門技術をチェックしながら技術者コンピテンシーを判断しています。こうした試験官の目に留まるためには、コンピテンシーを表す要素を、読み取りやすい形で答案にまとめていけば良いと考えます。
■最近の指導活動のご紹介
(1)再現答案指導
現在、筆記試験の再現答案の合否判定、添削、その修正を進めているところです。試験当日はやっとのことで書き上げた答案ですが、添削してみると冷静な目で見て反省するところが多いものです。何か良くて、何がいけなかったか、という正しい判断力がコーチング指導で確実に養えます。すでに複数の方が再現答案を修正されて、満点答案を作成されています。
この背景として、講座ではH22年問題学習を最良の勉強機会と位置付けていることがあります。苦労されて学べばきっと力がつくはずです。また、たとえ今年合格していたとしても、技術士としての考え方を仕上げてもらいたいと願っています。
(2)体験論文指導
体験論文の作成に向けて現在業績の選定を行っています。業績選定は、成果や貢献度を総合的に考えて選定するため、面談コーチングによって行っています。詳しくは下記の記事をご覧ください。
http://www.gijutsushi1.com/article/13776744.html
・技術者の業績のコンピテンシーを増す方程式
コンピテンシーの大きさC=M×K×N
http://www.gijutsushi1.com/article/13776691.html
技術士合格への道研究所
代表者 佐武良祐
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