メールマガジン技術士合格への道 2010年 第12回
 必ず合格できる 技術士二次試験合格講座
  ― 面白いほど合格できる体験論文 その3 ―


 技術士筆記試験を受験されるみなさまへ。筆記試験が終わってこれからは体験論文に取り掛からねばなりません。専門家にふさわしい業績を表現するにはどうすべきか、本研究所ではこれまで体験論文に潜む数々の問題を解決し、体験論文のコンピテンシー表現に努めてきました。目指すものは、

口頭試験の場を和やかな雑談の場に変える=楽勝で合格する

ことです。「研鑽し続ける専門技術者」のイメージさえ試験官に定着できれば不可能ではありません。技術士という資格が有能な技術コンサルタントに与えられる資格であるため、それができれば当然合格できてしかるべきなのです。

 ただし、「技術者コンピテンシー」が感じとれるにはどうするかはやや難問です。このため、論文や試験で「コンピテンシー」がいかなる原理で試験官の頭の中に形成されるのか逆解析する必要がありました。実際には多数のコーチング指導例からナレッジマネジメントにより集成しています。
 
 このメールマガジンではこれまで講座の指導で開発された、実戦的なノウハウを公開して、出来るだけたくさんの方の合格を支援します。


1.はじめに

 技術士合格への道研究所では「誰でも必ず合格できる」指導を目指して

コンピテンシー理論+コーチング指導

を実践してきました。用語について詳しくは次のページをご覧ください。

http://www.gijutsushi1.com/category/1261095.html#conptency
http://www.gijutsushi1.com/category/1261095.html#couching

 このメールマガジンでは、技術士二次筆記試験の直前対策として、今年の指導で判明した「面白いほど合格できる体験論文」を3回シリーズでお送りしています。今回はその第3回目、最終回です。

 その1 いかにして業績概要で技術者コンピテンシーを表わすか
 その2 専門的かつ独創的で汎用性がある問題解決過程
●その3 技術士にふさわしい現時点の評価、今後の展望とは

 なお、これらの内容はこれから開催される無料セミナーで公開していきます。セミナー資料は公開します。関心ある方はぜひご覧ください。直近では、9/11(土)に開催します。
http://www.gijutsushi1.com/article/13767002.html
 すでに開催した第1回、第2回の内容はこちら。
http://www.gijutsushi1.com/article/13776677.html
http://www.gijutsushi1.com/article/13783709.html

2. 技術士にふさわしい現時点の評価、今後の展望
 
 技術士体験論文では、概要、立場・役割、課題及び問題点、技術的提案、成果、技術的評価、今後の展望の各項目が問われます。そしてその採点は、試験官によって驚くほど短時間で判定されています。

2.1 技術的体験論文は技術者コンピテンシーのチェックリスト

 試験官は技術士受験者の能力を判定するため、口頭試験に先だって技術士体験論文を読んでおきます。体験論文は単独で採点されることはありませんが、事前に論文に目を通して、口頭試験(の質問)と合わせて受験者の専門的能力の判定根拠とします。このとき注目すべきことは、試験官が体験論文を見るときに、暗黙のうちに専門家として培われた人を見る目すなわちその人のチェックリストによって評価しているということなのです。これは直観的、感覚的に行われ、そして、もしNGなら口頭試験で確かめるということなのです。つまり、

(1)まず論文でチェック、OKかNGか
(2)次に口頭試験でチェック、OKかNGか
(3)上記(1)(2)で確定する

というものなのです。このため論文の内容が悪いと口頭試験が厳しくなります。逆に論文の内容が良ければ面接は雑談のように和やかに行われることもあります。後者の場合チェックすることがなかったとも言えます。口頭試験の場を和やかな雑談の場に変える可能性はこの辺にあります。

 以上ことから口頭試験を有利に進めるには、体験論文の内容を高めておくしかないということです。体験論文の不備は後から大きな負担となってくることを忘れてはなりません。

 体験論文とは口頭試験に先立って、受験者の情報の大部分を占める問題解決力を論文から読み取るわけであり、言い換えるとコンピテンシーのかなりの部分を決定づけられてしまからです。

 ということから、体験論文作成においては「成果を生み出すプロセス」の説明に集中すべきであることがうかがえます。

2.2 合格に寄与する「技術者コンピテンシー」を高めるには?

 「技術者コンピテンシー」が技術士論文において役立つなら、業績の記述内容においてそれを表現することはできないかと考えます。しかし、人が技術者を専門家と認める場合はどんなときかと想像してください。表現方法や言葉尻といった表面的なことではまず無理なのです。それには、専門家としての

本質的な活動を行い、そこで獲得した能力を表すしかない

ということなのです。本研究所では暗黙知的な要素である「技術者コンピテンシー」を表現するため、結局は専門家としてどう考え、どう勉強すべきかを提案し、受講生様が専門家となるお手伝いをしています。

3. 技術的提案で「技術者コンピテンシー」を感じさせるには

 では、「技術者コンピテンシー」を技術士体験論文で表現する方法について、今回は「現時点での評価、今後の展望とは」について考えてみましょう。

3.1 良い「現時点での評価、今後の展望」の条件とは
 
 体験論文の「現時点での評価」は「提案」、「成果」に続いて、それらに対する自己評価を示すものであり、業績の最終的な評価となるものです。本来は結果の善し悪しを判断するものですが、それを評価する専門家としての視点が試されます。たいていの方はそのような練習ができていないため、あるがままの自己評価に陥りがちです。その採点結果はむろん期待はできません。

 体験論文は技術者のコンピテンシーを問うものですから、まずは「成果」につなげる意思を表すことが大切です。それから専門家らしい視点として、体験から学ぶ姿勢や、結果に対する鋭いチェックの視点を表せばよいのです。

3.1.1 「成果」につなげる意思

 現時点での評価というと、終わった後の結果に対する反省のように見えますが、そこに「成果につなげる意思」があると必然的に成果につなげる活動が見える化されることとなります。その結果未来の成果を予感させることとなり、技術者としてのコンピテンシーが確実に高まります。これを行うためには、業務でやったことを最後まで見届けて評価を下すことがです。

当初はうまく計画されていたとしても、実施してみると何らかの障害が発生して、新たな改善が必要となることは多いものです。そうした障害を技術で乗り越える「知恵」が技術者コンピテンシーといえます。提案の結果を分析すれば明らかとなるでしょう。

 この意味で、「現時点での評価」として良くある次の例がなぜいけないのか考えてみましょう。

(1)私が行ったA工法の現時点での評価はまあまあ良かった
(2) A工法で施工した結果、その後クレームは聞いていない

 A工法は独創的な工法だと想像しますが、「評価は良い」では反省にならず、その物件としては良いものの、技術者としての新たな成果にはつながらないということです。A工法には弱点があったはずで、それを解決するという課題が課せられていたはずです。それを忘れて、ただの現状に甘んじているのでは技術者としてのコンピテンシーが疑われてしまいます。

 また、「クレームがない」のは悪さが申告されなかったに過ぎず、不満がくすぶっている場合もあります。「クレームは聞いていない」などと安心せずに、未来のクレームを先取りするような姿勢が必要だと思います。

3.1.2 体験から学ぶ姿勢

 「現時点での評価」は実施した結果を診断するものですが、これは技術者にとつてはまとない学びの機会でもあります。専門家の活動は前例や参考例の少ないものです。技術士の体験論文の業績は、その結果を評価しようにも類似の業績は数少なく、もはや自分でしか評価出来ない場合が多いものです。逆にそのような専門的領域では、自ら実施した結果、すなわち体験から学ぶのが最も手っ取り早い勉強となります。

 「現時点での評価」とは、過去に実施した業績を後から評価することですから、

  • 業績を振り返って新たに体験して学んだこと
  • 予想外の事実から学んだこと

を表現しなければなりません。この「体験からの学び」の意味から、実施したこととは違う、やらなかったことに対するコメントは望ましくはありません

  • A工法の反省から今回はB工法を採用すれば良かった

 この例は一見反省しているように見えますが、肝心の実施したA工法については反省せずに、実施していないB工法を取り上げています。これでは体験(A工法)から学ぶ機会を失っているも同然です。臨機応変にA工法からB工法に乗り換えるのも一つですが、それにしてもその理由に触れなければ、ただの試行錯誤であり専門家らしい知見は感じられません。

3.1.3 「鋭いチェックの目」で評価する

 前述の「実施したA工法については反省せずに、実施していないB工法を取り上げる」のは、体験(A工法)には取り立てて反省材料がないという場合が多いのではないでしょうか。この一因としてチェックの目が甘いことが考えられます。一般にチェックが甘いと、現状の悪さが洗い出されず、反省点も浮かんできません。

 逆に「鋭いチェックの目」があると、よりたくさんの改善点が洗い出されて業績は進歩します。また、本質的な改善を図るには表面的ではなく、根本的な問題点まで洗い出す専門家の視点が欠かせません。

 チェックの目というと、日ごろPDCAでふつうに行っていることのように思われますが、実はそのチェック(C)にはレベルがあって、「チェックの目の鋭さ」によって、異なるPDCAが行われているということなのです。逆に言うと「鋭いチェックの目」は質の高い技術的品質を得るための必須条件だということです。
 
 このことから専門家にふさわしい「現時点での評価」をするには、より高精度な分析や新しい傾向の変化、将来的なリスクなどに言及するとよいでしょう。

3.2 良い「今後の展望」の書き方

 「今後の展望」とは個人的に考える未来予想や今後の活動予定ではありません。そこでは、業績を取り巻くマーケットや技術分野が今後どう変化するかや、技術士として自らどう行動すべきかが問われます。こうした未来展望にふさわしい技術者コンピテンシーとしては、

  • 専門技術に対する一貫的な取り組み姿勢
  • パラダイムシフトを推し進める使命感

のようなものが相当すると考えています。

3.2.1専門技術に対する一貫的な取り組み姿勢の書き方

 専門技術分野で一貫的に取り組むことは、専門家としては普通に行っていることです。体験論文でも、そうしたいつもの視点で今後も改善し続ける活動を表現できれば良いでしょう。ただし、論文では当初の計画に対して、最終的な結果が予想とは違う方向に展開し、その結果として現時点での評価が違ったものになってしまう例が見受けられます。

 この原因は「業績の一貫性」を追求するより、「今後の展望」としての書きやすさを狙うためと思われます。「展望」を論じる視点は多数あって、収集した資料のアピール性に依存した内容になりがちなのです。

3.2.2 パラダイムシフトを推し進める使命感

 現在社会は変化の時代であり、来るべき問題を乗り越えることは技術者の普遍的な課題です。そうした変化に対して、社会的な変革(パラダイムシフト)を提案して社会全体で恩恵を被る状態に導くことは最も高いコンピテンシーに相当します。時代的な転換を推し進めるには、使命感がなければならず、それには専門家としての自覚がなければならないからです。

 こうした活動は幕末のヒーロー、坂本龍馬に例えることができます。人々が龍馬を崇拝するのは、当時多くの日本人が気付いていなかった日本の危機に対して、パラダイムシフトを提案し、結果として明治維新の礎を築いたからにほかなりません。こうした時代的な転換を果たすには犠牲も多く、使命感がなければできるものではありません。そこまでの苦難を乗り越える意志力の源は「自分がやるしかない」という自覚とそこに至る特異な体験があったからだと思います。

 このように一般的に使命感は専門家の指標であるとともに、使命感が変革を推進して専門家として活動する原動力になっているともいえます。いずれにせよ「今後の展望」としては、パラダイムシフトや専門家らしい使命感がふさわしく、それらに言及すれば最上級の技術者コンピテンシーを表現できるということです。

4. まとめ「口頭試験の場を和やかな雑談の場に変える」には

 今回は、体験論文の締めくくりとなる、現時点の評価、今後の展望について考えてみました。本来は受験者の専門家としてのパーソナリティーをダイレクトに表現すべきところですが、担当者レベルの職務経験では、そのような専門家としての自覚が持てない場合も多いようです。

 試験官は専門家らしい見識や使命感をチェックするため、厳しい質問を浴びせかけます。こうした口頭試験の場を和やかな雑談の場に変えるには、この体験論文の締めくくりの章において試験官をしのぐ技術者コンピテンシーをアピールするしかありません。


■最近の指導活動のご紹介

(1)平成22年筆記問題再現答案指導

 現在、筆記試験の再現答案の添削、修正を進めているところです。複数の方が3~4回の添削を経て満点答案を作成されています。正解答案を得るだけではなく、何か良くて、何がいけないか、という正しい判断力がコーチング指導で確実に養えます。

講座の指導は、「レジュメ」、「チェックシート」という筆記試験指導専用様式を用いたコーチング指導です。この素晴らしさは次の記事をご覧(お聞き)くだされば解ります。
2010.08.28 1ヶ月でここまで、コーチング恐るべし、水道部門N様は語る
http://www.gijutsushi1.com/article/13783645.html

(2)体験論文の概要指導(技術的体験チェックシートによる)

 体験論文の概要作成を行っています。技術的体験チェックシートはその指導専用様式であり、このフォーマットで考えれば自然に成果や貢献度を表すことが可能です。わかりにくいストーリー作成も面談コーチングでばっちりです。詳しくは下記の記事をご覧ください。コーチングでは現状を評価するのではなく、常に最良の解決策を提案できます。そのこころは、

100の一般論より、1の自分だけのベスト解答

2010.08.18 個別コーチング体験論文業績の選定(水道部門GLS様)
http://www.gijutsushi1.com/article/13776744.html
2010.08.14 個別コーチング体験論文業績の選定(建設部門S様)
http://www.gijutsushi1.com/article/13776691.html


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代表者 佐武良祐
〒103-0007 東京都中央区日本橋浜町1-10-8
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