暗記ではいくら考えても解けない・・それが応用力問題
従来式の勉強をされてきたK様は、平成22年の港湾の問題練習で、
「1時間考えても答えがわからなかった」
と難しさを訴えています。このためコーチングで問題練習してみることにしました。K様は必死にメモをとられていました。
問題を分析して解ったことは、平成19年、20年ごろと比べて問題が変化していることです。
- 文章が長くなった
- 出題者の特定の意図が出てきた
つまり単純に対策を求める問題ではなくなり、白書の知識の暗記では通用しな くなっているということです。
平成22年の港湾の問題はこうでした。
1-1 わが国の港湾及び空港は,国際競争力の確保と地域の発展に必要な社会資本として整備されている。港あるいは空港のいずれかを選び,地域の発展に果たしている役割を,「産業振興」「人流・物流の円滑化・効率化」「生活環境の向上」のそれぞれの視点から説明せよ。次に,この3つの視点のうち1つを選び,今後さらにその役割を充実し,地域の発展に寄与する上での課題を挙げ,その解決方策について,あなたの考えを述べよ。(問題番号を明記し,答案用紙2枚以上3枚以内にまとめよ。)
ここで最も大事な要求は、
「地域の発展に果たしている役割を説明する」
でした。このような予想はしていなかったし、あまり議論された話題でもありませんでした。したがってまったく考えが及ばなかったということです。
しかし、それが応用力の試験というものです。あらかじめ予想不可能な問題で記憶に頼らず全員が横一線に並んで考え始めて、そこからの進度を競い合う試験なのです。
この考え方は順序立てて考えればそれほど難しいものではありません。港とは地域に対してどんな機能があるか、機能と具体的用途を考えました。すると、
- 船舶 商品、物資を供給し、港では荷降ろし、仕分け、備蓄など。具体的業種としてはトラックターミナル、石油タンク・・
- 人流 交通機関で集まり、会合、宿泊するなど。具体的建築としては、ホテル、ホール、見本市、ショッピングセンター、遊園地・・。
これらに対して、
産業振興人流・物流の円滑化・効率化生活環境の向上 のそれぞれの視点から説明すれば良いのです。さらに設問2では3つの視点のうち1つについて、その役割を充実し,地域の発展に寄与する上での課題を挙げ,その解決方策について考えを述べるというものです。このようにコーチングで考えれば自然と答えが見えてきます。
今年は、このような与条件でしたが、次はどうかはわかりません。問題文を読んでその場で考える応用力がなければ歯が立ちません。このため練習段階から
自分で考えを組み立てる訓練をして暗黙知として体得する
必要があるということです。