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  メールマガジン技術士合格への道 2011年 第6回   
今年こそ合格する 技術士二次試験合格講座   
合格に必要な要件 その5 知るところ
(留意点)を述べよとは知識ではなくノウハウ      


  技術士二次試験を楽勝で合格するにはどうすればよいか。技術士合格への道研究所では過去11年間、数々の指導法の研究をしてきました。その結果、昨年に引き続いて今年の合格発表でも驚異的な成果を生みました。技術士合格への道研究所では、テクニックではない本質的なプロのコンサルタントとしての能力開発を目指して  

 コンピテンシー理論+コーチング指導  

を実践してきました。この一環として、日本橋セミナールーム開設や音声ファイルコーチングなどを行ってきました。

 今後とも技術者としての再考の資格、技術士の能力開発の専門機関として指導法の開発に努めてまいります。ぜひご期待ください。 

1.はじめに  

 技術士合格への道研究所では「わかる指導、力の出る指導」を目指しています。

   「コンピテンシー理論とは高い能力を発揮している人の行動特性であり、そのような能力開発理論を応用して効果的に技術者指導を行うものです。

  また、「コーチング指導」とは、論文添削だけでなく、答案の考察方法や解答姿勢、ご自分にピッタリの試験戦略を毎回口頭で解説して、かつご自身でも正しく考えられる思考力を養うものです。これらの考え方について、解りやすい動画を用意しました。 http://www.gijutsushi1.com/article/13435282.html

   技術士試験の評価尺度が何かは明かされていません。一説には4つの尺度なるものが言われていますが、つまるところ有能なコンサルタントの条件に他なりません。   本マガジンでは、過去11年間の指導結果より合格に役立った本質的な考え方、「合格に必要な要件」を5回シリーズで紹介します。今回はその5回目です。

2. 合格に必要な要件とは    本研究所の講座では筆記試験後に再現答案で独自の合否判定を行っています。そして、合格発表後に見直して合否判定の尺度を修正してきました。その結果、大きく5つの要件が浮かび上がってきました。それは、  

(1)出題者の意図を正しく読み取る

 (2)問題分析、課題立案、対応策の提案の展開

 (3)技術を用いて問題解決していること

 (4)簡潔に単刀直入に述べる

 (5)「知るところ(留意点)を述べよ」とは「知識」ではなくノウハウ  

といった5項目です。今回は、

(5)「知るところを述べよ」とは「知識」ではなくノウハウ」について詳しくご説明します。

3. 合格に必要な要件その5「知るところ(留意点)を述べよとは「知識」ではなくノウハウ」  

 技術士試験では問題文がただ「〜について述べよ」とかあるいは「留意点」、「知るところを述べよ」といった形式となっている場合があります。試験官が何を求めているのか解らないために答えが定まらず、

  • 知っていることなら何でもよい
  • できるだけ詳しく書かねばならないのではないか
  • 他の人が知らないスペシャルな情報を披露しなければならない

とか考えて苦慮された方も多いかと思います。   しかしこれは、説明せずともその辺をくみ取って答えてもらいたいという試験官の趣旨の表れでもあります。技術士試験はプロの試験でもあるため、答えのバランスや深さも採点対象の一つです。答え方の全てを説明したら問題にならないということもあります。逆に細かい説明なしに解答すれば技術者が自然にふるまってありのままの能力が表れるというメリットもあります。

   試験官としてはこのような受験者の自然な対処姿勢から、技術者の能力を把握しようとしているのです  ここから言えることは技術士試験では、試験官が採点の尺度としているものは何かを意識して、そのことを論文中で読みとれるように表していけば良いということです。そしてそのポイントはコンピテンシーであるということです。 

4. 見識問題で試験官が技術士に最も求めたい知識とは 

 見識問題で求められていることは次の3つと言えるでしょう。

(1)正確な知識

(2)問題解決方法に関する方法や考え方

(3)問題解決を上手に進めるためのノウハウ 

 このうち、(1)正確な知識 の重要性は説明不要です。専門技術の正しい情報を反映すれば良いでしょう。「(2)問題解決方法に関する方法や考え方」も難しいものではありません。選択科目ではいつも題材になっていることです。一方、「(3)問題解決を上手に進めるためのノウハウ」は意外と解りにくいようです。 

 問題解決を上手に進められるためには、その問題に関する専門的な経験や知見がなければできません。逆に何度も体験して痛い思いをして学んだ知見というものは、いつの場合でも役に立つものです。

  そして、こうした体験から学ぶということは「体験学習」と呼ばれており、高い能力を養うための定石となっています。技術士のような専門的な職務では教科書から学ぶだけでは高度な技術を習得することはできません。なぜなら、それぞれの業務が専門的であるため教科書と呼べるものが無いからです。

  このため、試験官は受験者の「ノウハウ」をチェックすることにより、自らの体験から体験学習をしているかを確かめて、専門家としての能力を判定しているわけです。 

5.  ノウハウの具体的な書き方

  問題解決を上手に進めるのに有効なノウハウの表現方法は、次のような定型文で表現すればわかりやすいでしょう。 

  • 経済性を高めるために〜をする。
  • 品質を高めるために〜する。
  • 安全性を高めるために〜する。
  • 環境負荷を低減するために〜する。

 「経済性」などの目的には事業のいろいろな要求事項や機能項目が当てはまります。  問題によっては直接的に「留意点を述べよ」と求められる時もあります。留意点とは前提条件付きのノウハウと考えればよいので、 

  • 〜の場合は、経済性を高めるために〜をする。
  • 〜の場合は、品質を高めるために〜する。
  • 〜の場合は、安全性を高めるために〜する。
  • 〜の場合は、環境負荷を低減するために〜する。 

 ここで言う「〜の場合」とは、対象するケースの経済性や品質に支配的に関係していることを取り上げるのが良いでしょう。

  以上のような見識の表現方法を実際の答案例から見てみましょう。

5.1 応用理学部門選択科目(地質)の例 H21応用理学部門、選択科目問題-

 次の項目について定義及び内容を解説し、応用理学部門地質科目の技術士の立場から考えるところを述べよ。
・地下水の流向流速

  この問題の解答として次のような答案を書けば良いのです。答案を要約しています。 


1.定義および内容・地下水の流向は、水頭が高い方から低い方へと流れる。
・地下水は飽和された地盤であっても、地下水が流れる有効な間隙がある。この間隙の割合を有効間隙率という。地下水の流速(V0)は、見かけの流速(V) を有効間隙率(ne)で除した値、V0=V/ neで与えられる。
2.技術士の立場から考えるところ
・地下水の流向流速を捉えるための試験には単孔式(流向流速計)のものと多孔式(水位測定法、トレーサー試験)のものがある。
・地下水の流向流速を的確かつ効率的に捉えるためには、地盤の粒度分布や現場透水試験から地盤の透水係数を求め、地形勾配から動水勾配を予測し、大まかな流速を想定し、単孔式、多孔式を使い分け、もしくは併用することが必要である。

・地下水の流向流速を的確にとらえることは、揚水井戸の配置や取水深度、揚水による周辺地下水の低下予測および地下水の塩水化予測、ダム基礎および貯水池周辺地山からの漏水予測、地下水汚染の範囲予測等に応用することができる。


 「地下水の流向流速」など言う一般的な言葉ですが、応用理学の立場から、その定義や原理、活用法、実務的な測定法や応用の仕方を述べれば良いのです。

 5.2 建設部門選択科目(コンクリート)の例

 プレストレスコンクリート(PC)ついて、以下の問いに答えよ。(1)耐久性が損なわれた事例を1つ挙げ、概説せよ。(2)構造物の耐久性を向上させるための設計上の留意点と対応策について示し、今後のあるべき姿について、あなたの考えを述べよ。

  この問題の解答としては次のような答案を書けば良いのです。答案を要約します。 


1.   PC構造物の耐久性が損なわれた事例

1−2 推定される原因 (省略)

1−3 補修・補強方法 (省略)

2.   PC構造物の耐久性を向上させるための設計上の留意点と対応策

2−1 グラウト充てん対策

(1)材料:高粘性ノンブリーディング型グラウト材、ポリエチレンシース

(2)施工:流量量を自動管理する流量計の設置、真空ポンプの採用、注入後の非破壊試験による確認

2−2 塩害・中性化対策

(1)配合:水セメント比の低減、単位水量の低減

(2)設計:かぶりの増厚、ポリエチレンシース等非鉄筋シースの使用

2−3 外部からの水の浸入対策 外部から水が緊張材や鉄筋などの鋼材に到達する経路を把握し適正な遮へい対策をとる。例えば、定着部は、水が直接かからない位置に設置する。

3.PC構造物の今後のあるべき姿 PC構造物の長寿命化をはかるため、以下の材料、工法を採用する。

(1)中性化、塩害、凍結融解作用に対する抵抗性が極めて高く、引張鋼材としてはPC鋼材の使用を標準とする超高強度繊維補強コンクリート(圧縮強度の特性値150N/mm2以上)を採用する。

(2)グラウト不要のPC鋼材を採用する。湿気硬化型のプレグラウトPC鋼材やポリエチレン被覆全素線塗装型のアンボンドPC鋼材など。


  ここでは「留意点」として、コンクリートの性能を左右する危害要因を塩害・中性化と定義して、それらに対して有効な「水の浸入対策」を提案しています。  そして「今後のあるべき姿」としては、必須アイテムである「繊維補強コンクリート」や「プレグラウトPC鋼材」などの専門技術を挙げています。このように、見識を求める問題では、 

正しい技術情報に基づいて示す

  • 支配的因子について述べる
    ・改善方法やよりよく管理する方法わ示す 

ことなどがいつでも求められていると考えれば良いでしょう。 

6. 「知るところを述べよ(留意点)とは「知識」ではなくノウハウ」のまとめ

  技術士試験問題では、 

  • 高度な知識を求められるから暗記しなければならない。
  • 他人の知らない特別難しいことが求められる。
  • 専門分野の玄人の知識を披露することが必要。 

とお考えの方が多いようです。技術士試験が特別高度な試験であることには違いないので、知識は正確に書かねばなりません。しかしそれは最低限、かつ一部にすぎません。暗記に頼って知識、情報を書き連ねるのにも限界があります。

  技術士試験はプロのコンサルタントとしての対応能力を測る試験であるため、実際に必要とされていること、実際の仕事の品質を高められる方法が求められています。試験官はそうした答えの内容を文面から読みとろうとするので、 

  • まずは知識を正確に示す
  • 次に、問題やその解決方法を述べ、
  • 最後にその問題解決を上手に進めるためのノウハウ示す。 

というように、普段からいかに上手にマネージメントしているかということを表していけば良いのです。 


■最近の指導より 

 さてみなさんは今年の予想問題は作られましたか。技術士合格への道研究所の講座指導では、現段階では予想問題を予測して、それら解いて練習している段階です。今年の新規の出題傾向に対応した指導に入っています。

  技術士試験を難しくしている要因の一つは、毎年出題される問題がわからないことです。このため問題を予測してかからなければ絶対に合格できません。しかも、その難しさは、 

  • 単に知識を求める問題ではなく、「社会的状況の変化」などの付帯条件を与えられるため、暗記した 答えでは役に立たない。
  • 具体的な例を挙げて答えるのではなく、抜け落ちの無い一般論として答えなければならない。
  • 逆に、出題者が求める条件に該当する具体例を挙げて、一般的法則をあてはめる。

 といった問題形式にも依存しています。こうした問題での対処方法を身につけるため、講座では、 

  • 過去問を分析して、出題者の気持ちになって今年の問題を予測する

 ことをコーチングで進めています。具体的にはこれらの様子を次のコーチング動画でご覧になってください。
http://www.gijutsushi1.com/category/1491372.html 


技術士合格への道研究所
代表者 佐武良祐
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