この日、中国地方から上京されたH様はこれまで複数回受験されて惜しくも敗退してきました。その背景にはかって先輩から教わった、暗記やキーワード中心の答案作成を続けてこられた経緯がありました。
ところが、今年の選択科目の試験では大きな問題にぶち当たりました。設問(2)の題意がわからず、結局本文とは関連の薄い関連情報で答案をまとめるしかなかったといいます。ちなみに、今年の問題はこうでした。
I−2
(1)以下について説明せよ。
①「液状化の発生メカニズム」
②構造物の耐震設計に用いる「耐震法」
ただし、②の説明には設計震度並びに強震帯、中震帯及び弱震帯という言葉を含むこと。
(2)東北地方太平洋沖地震も踏まえ、今後の構造物の耐震設計のあり方について、あなたの考えを想定する地震動の強さに応じて具体的に記述せよ。
この体験を経て、これはもはや
- 明らかに、昔とは出題傾向が違う
- 系統的に合格できる方法を習う以外には合格できない
と決断されました。また、
- 一般の添削講座も受けたが、経験で教える先生からは正しい論文の考え方の指導はなかった
と感じられているとのことでした。
一方、こうした試験の戦略は、実務での事業者からの要求とも符合しているそうです。
H様は実務では国土交通省の担当官と折衝されて、いつもプロのコメントを求められていたようです。
- 前置きは要らないからこの物件で何が問題点か言ってくれ。
- 実施した物件について、何か改善点や提案はないか。
というように担当官は求めてきます。こうした、事業者の要求にコンサルタントとして答えていくには本質的な問題点をとらえられる力、すなわちコンピテンシーの考え方を身につけていくしかないと感じられたようです。
また、H様は会社の経営者でもあるため、人材育成のため自らが技術士指導を行う必要もありました。経験で教えるのではなく、部門・科目の枠を超えた論理的な問題解決によって指導していくしかないと考えたようです。
そこで有効なのがコンピテンシー理論です。講座の指導として行っている
- 出題者の意図を読み取れる
- 問題、課題、対策の論理的展開
- 技術応用による問題解決
- 簡潔、単刀直入に述べる
- 成果につながる具体的手段、ノウハウを示す
というような力をつければ、プレゼンはいつも楽勝できると確信されたとのことです。
滞在時間は約2時間、試験合格テクニックから講座の説明、敗因分析、試験問題傾向、試験官の考え方など、疑問点はあらかた解決したかと思います。ここセミナールームでは疑問を持った方々に対して合格法の提案を納得するまでご説明しております。